ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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石破幹事長「デモはテロと一緒」発言の波紋

2013年12月17日 | Weblog

 平成二十五年十二月二日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「石破幹事長「デモはテロと一緒」発言の波紋」
 
を企画、取材、執筆しました。

 

 けさの新聞は「デモ『絶叫戦術、テロと変わらず』石破氏発言 与党も困惑」(朝日新聞)、「私たちはテロリスト? 聴衆から批判相次ぐ」(東京新聞)といった見出しで、自民党の石破茂幹事長の「デモはテロと一緒」発言を報じている。

 これは石破氏が11月29日付の自身のブログで「今も議員会館の外では『特定機密保護法絶対阻止!』を叫ぶ大音量が鳴り響いています。いかなる勢力なのか知る由もありませんが、左右どのような主張であっても、ただひたすら己の主張を絶叫し、多くの人々の静穏を妨げるような行為は決して世論の共感を呼ぶことはないでしょう。主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます」と記したことに端を発する。

 奇しくも昨日付の当サイトのコーナー・ウワサの現場にあるように、特定秘密保護法案の条文にはテロリズムの定義について、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」という一文がある。これは字義通りに読むと、政府の法案や政策に異議を唱え、世の中に訴える人はテロリストということになる。

 そして、テロ捜査は、全国の公安警察が担当している。公安の流出資料によると、テロ捜査は、尾行による24時間監視を柱に、政府、自治体などの公的機関や、金融機関、レンタカー、レストラン、IT企業、大学などから個人情報を取っており、別件逮捕もしていた。

 そのため、この法案が通ると原発、イラク派兵、消費税、安倍政権、秘密保護法案などの反対を世に訴えただけで、公安捜査の対象になる、とジャーナリストの青木理氏は指摘していた。

 要するに、石破氏は、同法案のテロリズムの定義を念頭において発言したのではないか。そう見る人は多い。

 例えば、けさの東京新聞一面も、上記テロの定義の条文に言及し、「法案が成立すれば、原発反対のデモを含め市民の訴えを、政権が『テロ』とみなして監視し、取り締まりをしかねない」とある。

 昨日、日本弁護士連合会が行った新宿西口の街頭演説でも、「ブログでの発言が何を意味するむのか。それはこの法律が成立したら、市民運動で声を上げた人が捜査されたり逮捕されたりすることを石破氏が認めたということだ」と江藤洋一弁護士は発言。聴衆からも石破氏について「あんな人が国の中枢にいるかと思うと気味悪い」(豊島区の男性会社員40歳)、「政府の本音が出た。石破幹事長はある意味正直な人だ。要するに今日の演説会に顔を出しているような私たちをテロリスト呼ばわりするつもりだったということでしょう」(港区の大学教授の男性57歳)といった声があったという。(同紙)

 また、「デモとは何か」(NHK出版刊)の著者である五野井郁夫・高千穂大准教授(国際政治学)は「議会の外にも民主主義はある。(デモを)『絶叫戦術』というが、やむにやまれず声を出すのであり、『テロ』と評するのは民主主義を愚弄している」と指摘(1日付の朝日新聞より)。ジャーナリストの大谷昭宏氏は「国民の知る権利が奪われる重要な問題なのに、異論を唱える人たちを切り捨てている。そういう発想の人たちが法案を通そうとする恐ろしさを感じる」と語っている。(同)

 ちなみに、石破氏は昨日、ブログの発言を謝罪したが、デモについては相変わらず「一般の方に大音量という有形の圧力を加えるという点で、(街頭デモは)民主主義と相いれない部分があり、(テロと)相通ずるものがある」と述べている。(同紙)

 果たして、石破氏の陳謝によって懸念は払拭された、といえるだろうか?(佐々木奎一)

 

 写真は、安倍政権の代表の面々。


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