ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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レディーガガ“いじめ根絶”を叫び財団設立

2011年12月31日 | Weblog


 2011年11月04日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事
 
「新聞や週刊誌が報じる大学生の“実態”」
 
を企画、取材、執筆しました。
 
 
 
 キーワードは「いじめ」…。
  
 

 11月04日付の産経新聞に米ミュージシャン・レディー・ガガの顔写真入りの記事がある。これによると、レディー・ガガは、子供たちのいじめ防止の啓発活動をする財団を設立するという。

 これに関連する3日付CNNの記事によると、もともとレディー・ガガは、いじめ防止に熱心な人物で、こんなエピソードもある。米国で9月にニューヨーク州で14歳の少年がいじめを苦に自殺して社会問題となった。この少年が生前、レディー・ガガの歌に勇気付けられたとのメッセージを残していたことが発覚。それを知ったレディー・ガガはツイッターで「この数日間、私は思い出しては泣き、叫んだ。強い怒りを感じた。いじめは禁止しなければならない。これはヘイトクライム(憎悪による犯罪)だ。私は戦いをやめない。これを終わらせなければならない」と訴え、法律でいじめを禁止すべきだと提言したという。

 レディー・ガガの叫びは日本にも向けられている。「いじめ問題」は、日本にも存在するからだ。例えばつい先日も、長野県の高校で、男子生徒が別の生徒に平手打ちをしている映像がインターネットで流れていたことが判明。2日付読売新聞夕刊によると、この動画の長さは2分34秒。机に座った生徒が、向かい合って椅子に座る別の男子生徒に一方的に話し続け、突然、髪の毛をつかんで顔を上向きにし、平手でたたく様子が映り、周囲の笑い声も交じっていたという。

 また、けさの日本経済新聞よると、大津市尾花川のマンションで先月、中2の男子生徒(13)が転落死した事故で、「いじめがあった」と市教委が認めた。自殺した男子生徒は校内で複数の生徒から殴られたり、ズボンをずらすなどの嫌がらせを受けたりしていたという。

 日本では、「小学4年から中学3年までの6年間の間に、いじめと無関係でいられる児童生徒は1割しかいない」という衝撃の結果もある(国立教育政策研究所「いじめ追跡調査」2010年6月公表より)。日本は“いじめ大国”といえそうである。

 「いじめと民俗学」(編著: 礫川全次・田村勇/批評社刊)によると、民俗学と照らし合わせて、学校のいじめの特徴を五つ挙げている。一つは「供養」。これはクラスなどの共同体の意思で、犠牲(いけにえ)をささげることをいう。二つ目は「祝祭」。これは、お祭り騒ぎで、共同体の全員が参加し、高揚とした気分になる時空間のことを指す。三つ目は「嗜好(しこう)」。これは、加虐に快感を求めることをいう。四つ目は「差別」、五つ目は「制裁」。 

 礫川氏によると、供養、祝祭、嗜好の三つを合わせて「嗜虐型」のいじめという。一方、差別、制裁型のいじめは「古典的」ないじめで、これは村落共同体の村八分に見出すことができるのだという。

 そして、近年のいじめは、古典的ないじめというよりも、いじめの対象が数週間、数が月ごとに替わるような、供養、祝祭、嗜好を特徴とする「いじめのためのいじめ」の傾向が強い、と結論づけている。

 無論、お祭り気分や快感、犠牲(いけにえ)で人をいじめていいわけがない。レディー・ガガは「力を合わせて勇気と思いやりの標準を打ち立て、他者を守り助ける世界中のコミュニティーを形成して、いじめや仲間外れに対抗したい」と話したという(CNN)。この言葉を「いじめ大国・日本」は真剣に受け止めていく必要があるのではないか。


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