ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝氏が語る、羊の毛を少しずつ抜くが如く…消費税増税のカラクリ

2013年09月27日 | Weblog

 平成二十五年九月十三日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝氏が語る、羊の毛を少しずつ抜くが如く…消費税増税のカラクリ」
 
を聞き書きしました。

 

 かつて大型間接税を導入しようとした中曽根康弘元総理が、国会でこんな答弁をして物議を醸したことがある。「税の極意は、羊がメェーと鳴かないように、少しずつ毛を抜いていくことにある」

つまりは、一度に痛みを感じさせず、少しずつ税を負担させることにある、という趣旨だ。消費税増税の動きをみて、そんな中曽根氏の言葉を思い出す。

 昨日、読売新聞が一面トップで、安倍晋三首相が3%の消費税増税を決断した模様だと報じたことを受けて、各メディアが、安倍総理決断の報道を後追いしている。

 安倍氏の増税表明は、10月1日になる模様だ。自民党政権にとって、消費増税が“鬼門”であることは間違いなく、88年に消費税増税法案を可決した竹下登政権は潰れ、97年に3%から5%の増税に踏み切った橋本龍太郎内閣も選挙で惨敗して退陣している。そんな“消費税トラウマ”もあってか、安倍首相はぎりぎりまで判断を保留している。

 問題は、アベノミクス成長戦略が、消費税増税で腰折れをしないかどうかの懸念である。

 政府は、消費税3%分の引き上げによる財源8兆円程度に対して、公共投資や経済対策に2%分の5兆円程度を回すという。残りの1%、2.7兆円分が社会保障の財源になる、ということだが、そもそもこの消費税増税は、去年夏の「税と社会保障の一体改革」で出てきたもの。つまりは、増税分は、増え続ける社会保障に回されるというのが約束だった。にもかかわらず、増税分の3分の2を、景気対策や個人向けの手当に回すというのは、許されることなのか。

 実は、去年の増税法にちゃんと“抜け穴”がつくってあった。付則に「成長戦略や防災および減災に資する分野に資金を配分する」と明記されて、公共事業などへの“転用、流用”が可能になるような文言がゴッソリ付け加えられていたのだ。

 消費税が上がることに、やむなし、と思っている人は、それが、社会保障、つまり、医療、介護、年金、子育て、雇用に回されるとしたなら、仕方なし、と考えていたはずだが、この増税分の5兆円が公共事業に回される、というカラクリになっている。単純な話、増税分は社会保障には回らないということだ。

 来年春には3%上がり、再来年の秋にはさらに2%上がる。国民がメェーと鳴かないカラクリである。


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