ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝氏が語る、大きな曲がり角に来ている戦後の安保・防衛政策

2013年09月10日 | Weblog

 平成二十五年八月二十三日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝氏が語る、大きな曲がり角に来ている戦後の安保・防衛政策」
 
を聞き書きしました。

 

 各メディアが報じたので、一連の経緯をご存知の読者も多いと思う。安倍晋三首相は8日の閣議で、内閣法制局長官に集団的自衛権の行使容認派の小松一郎駐仏大使を充てる人事を決定し、同日付で発令した。

 内閣法制局の長官人事は、ナンバー2の次長が昇進する人事が慣例で、小松氏の就任は異例の事態である。「憲法の番人」と呼ばれる内閣法制局は、憲法解釈の見直しには強く抵抗してきた。これに対し、外務省は解釈変更に前向きで、これまで政府内で何度も意見対立が表面化してきた。なかでも今回就任した小松氏は、外務省国際法局長当時、第1次安倍内閣で発足した首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)に事務方として参加し、解釈見直しの提言にも深く関わってきた人物。

 憲法と集団的自衛権――。この問題は安倍政権が発足して、にわかに話題になっている。安倍首相はこれまで、憲法九条の改正について①改正手続き法である九六条を変える(国会議員の3分の2以上の賛成を2分の1にする)②従来の憲法解釈を変えて、自衛隊を海外に出せるようにする、の二面作戦を取ってきたが、7月の参院選で改憲に慎重な公明党を除いて3分の2の議席を確保できなかったことから、②の解釈改憲路線へとシフトしたようだ。すでに今年2月には憲法解釈を見直すための有識者会議(安保法制懇談会)を立ち上げて、議論を進めていて、近く答申を出す予定。

 一方、小松氏の内閣法制局長官就任により、退任となった山本庸幸前長官は、最高裁判事に就任した。その就任早々の記者会見で、山本氏は異例に踏み込んだこんな発言をした。

 「集団的自衛権の行使は、従来の憲法解釈では容認は難しい」「実現するには憲法改正が適切で、それは国会と国民の判断だ」

 さらに、「憲法九条は武力行使や実力装備を禁じている。しかし、わが国自身が攻撃された場合は、憲法前文の“平和的生存権”と一三条の“国民の生命・自由・幸福権の最大限尊重”を根拠にして反撃が許される」「一方、集団的自衛権は、わが国との密接な関係国が攻撃された時に共に戦う権利だから、従来の解釈では難しい」「地球の反対側まで行って同盟国と戦うには、やはり憲法改正した方が適切で、それしかないと思う」

 この秋、安倍内閣は、小松氏の起用を布石として、解釈改憲で集団的自衛権の行使の合法化に進むと見られている。

  しかし、これには自民党の改憲論者からも「自分に有利な審判を変えてゲームをするのはアンフェアだ」「正々堂々と憲法改正をしないと禍根を残す」といった慎重論も多い。いずれにしても、戦後の安保・防衛政策は大きな曲がり角に来ている。


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