オンマは辛いよ

~グチはゴミ箱へ、思い出は宝箱へ~

神戸時間。

2007年11月14日 22時19分00秒 | オンマの話
 昨夜、アッパ君と何気なしにテレビを見ていたら、震災特集をやっていた。

 アッパ君は、毎年、震災の時期が来ると、震災当時の話をする。
 昨夜もしかり、テレビを見ながら淡々と体験を語っていた。

 私は、隣の市に住んでいたので、被害は少なかった。
 だから、そういう時は、ただ黙って、アッパ君の話を聞く。

 今日、会社で、昨夜の話をすると、奥さんも、何かのスイッチが入ったかのように、早口で当時の話を始めた。

 この地域では、誰もが自分の「被災体験」を持っていて、お近づきになったら、まず、しゃべるのは、被災体験だ。

 それは、あたかも、ママサークルに参加すると、初めに、各々が自分の出産体験を話すのに似ている。

 私がここで言っているのは、あくまでも、身内や知り合いが犠牲になった…という重度の被災ではなく、今では笑って話せる程度の「被災」である。

 神戸では、昔の話をする時、震災が基準になる。

 「待ってよ、あれは確か、まだ震災前やったから…」
とか、
 「いや、あれができたんは、震災後やろ。」
とか、

 神戸の人たちには、神戸だけの時間が流れているような気がする。

 震災は、神戸から、ありとあらゆるものを奪っていったし、自然の前で、人は無力だった。

 だから、

 震災のことを忘れたがっている人もいる。
 震災のことを忘れたらいけないという人もいる。

 私とアッパ君は、震災後に出会い、震災を知らない子ども達が生まれた。

 私の大好きな街、神戸。

 見た目は、きれいになりつつあるけど、「震災」は、いつも私たちのそばにいる。

 アッパ君の「被災体験」、次は子供たちにも聞かせてあげよう

 

 

個人懇談

2007年11月13日 00時48分31秒 | オンマの話
 とても悲しい週末だった
 
 事の発端は、木曜の保育参観。
 娘は、仲良しの女の子と、常に一緒だった。
 彼女、Aちゃんのママは、いつもの4人組の一人。
 「本当、仲良いよね~」なぁんて笑い合っていた。

 なのに。

 次の日のお迎え時に担任の先生から聞かされた話は、それはそれは、ショッキングな内容だった。
 実は、Aちゃんは、本当は他の子とも遊びたいのに、Yちゃん(娘)が二人だけで遊びたいと言うので、困っていると、Aちゃんママから相談を受けたと言うのだ。
 そして、それを聞いた先生も、その日娘を引き受け、「Aちゃん、好きなところへ行って遊んでおいで」と、二人を引き離したのだ。

 一番ショックだったのは
 「何でAちゃんママは、昨日半日一緒におったのに、友達なのに、直接言ってくれなかったのか」ということだった。

 先生も「え?!聞いてなかった?仲良いからてっきり聞いているものやと思ってた」とビックリしていた。

 そして、そのまま、週末へ突入。
 私の妄想は、落ちるところまで落ちた

 あんなに仲良さそうだったのに…
 Aちゃんも全然嫌がってなかったし、むしろ、Aちゃんの方が娘のマネばかりしていた時期もあったのに…
 娘も、Aちゃんを脅したり、言うことを無理矢理聞かせようとしたり、そんな素振りは全くないのに、…
 信じられない

 日曜の夜、娘が手紙を書いていた。
 覗くとつたない字で「Aちゃんへ だいすきだよ」と書いてあった。
 娘が不憫で、思わず涙がこみ上げた。

 朝、保育所で担任に会えない場合を想定し、手紙を書いた。
 保育所へ着くと、案の定先生はおられず、息子の担任だった先生に渡してもらうことにした。
 しかし、渡して事情を説明するよりも先に、涙が頬を伝った。
 話を聞いて先生が言ってくれた。
 「お母さん、大丈夫よ。Yちゃんも、Aちゃんも、友達の輪を広げてあげるのが私たちの仕事だから。」

 この言葉で、いくらか救われ、職場へ向かった。

 お迎えに行くと、担任が待っててくれ、職員室へ呼ばれた。
 先生は、娘のことで、不安をあおるような言い方をしたこと、Aちゃんママとの間にわだかまりを作る原因になるようなことを軽はずみに言ってしまったと、素直に謝って下さり、私の話を一通り聞いてくださった。

 私も、話している内に、いくらか落ち着いてきたが、やはり、無理やり引き離して、今度は娘が登園拒否にでもなったらどうしよう、とか、あと4ヶ月、何とか穏便に修了させてやりたいことをもう一度強調した。

 先生は、娘のことは任せてくれと言い、「子どもより大人の方がひきずるし、トラウマになりやすいから」と、私のことをとても心配してくれた。
 まぁ、でも、いくら何でも、私の人間関係まで先生に相談するのもどうかと思い、
 「大丈夫です、娘のことだけよろしくお願いいたします。」
と言い残して保育所を後にした。

 まぁ、結論から言うと、自分のショックのせいで、娘に過剰な肩入れをしてしまった愚かな母親なのだが、この一件を通して
 「子ども達が心身共に健やかであることが、どれだけ今の私の心の支えになっているか」
ということを、改めて痛感させられた。
 また、このAちゃんママに関しても、「やっぱり、言ってほしいよな」「でも、仲いいからこそ言われへんかも…」と、賛否両論だが、仮に、彼女が、私が思うほど思ってくれていなかったとしても、私には
 「私は、けろろさんが大好きやで。」と言ってくれる友達も
 「何があっても私だけは、あんたの味方やで。」と言ってくれる友達もいる。

 だから、きっと、私も、娘も、もう大丈夫


 

夢見る乙女の底力!

2007年11月11日 22時04分03秒 | 我が家の話
 今日は、以前からず~っと娘がアッパ君と約束していた、映画を見に行く日だった。
 「Yes!プリキュア5」の映画だ
 ところが、新聞の映画案内を見ると、何と、上映しているのは、1箇所のみ
 しかも、その映画館は、家から車で軽~く1時間はかかる

 しかし、約束は約束だ。
 いつも家族サービスを怠っているアッパ君に、罰があたったのだ

 午前は、息子の空手の練習があった為、正午に出発。
 現地に到着し、まずチケット売り場へ

 …すんげ~行列

 少々田舎とあって、市内の若者(特に中高生)が全て集ったようなカンジだった

 何とかチケットを購入し、ランチ…が、これまた、どの店も行列

 「仕方ない。夜においしいものを食べよう」と、マクドナルドで済ませた。

 ここから、息子とアッパ君はゲームセンターへ、私と娘は映画館へ、しばしの別行動になった。

 子どもの映画を映画館で観るのは、久しぶりだったが、娘のはしゃぎようを見ると、私も嬉しかった

 しかし、いかんせん、子ども映画なので、もちろん子どもが多い。
 私の後ろにも、子どもが座っていた。
 私は、頭がジャマになったらかわいそうだと思い、ずずず~っと尻を前にずらし、頭を低くして座った。
 なのになのに…
 ドンドコドンドコ私の椅子を蹴っているのだ。
 隣に座っている父親は、「やめなさい」と注意していたものの、これは、映画が終わるまで続いた…

 映画途中に響き渡る赤ちゃんの鳴き声。
 連れて出て行く様子もなく、延々泣き声は響いていた。

 まぁ、そんなこともあったが、映画を観ているお嬢らの一体感もスゴかった。
 オープニングとエンディング曲は、ライブ会場さながらの大合唱

 笑い声も、吉本新喜劇なみ

 ピンチの場面では「がんばれ~!」と叫ぶ叫ぶ。

 娘も、映画が終わる頃には、隣に座っていた見知らぬ女の子と微笑み合っていた。

 いやぁ、クソガキもいたが、なかなかおもしろい経験をさせてもらった
 

抜糸完了

2007年11月10日 22時34分57秒 | 娘の話
 今日、近所の整形外科にて、娘の抜糸をいたしました

 ただ、気になったのは、窓口にて、事情を説明したら、

 「今日は内科の医師しかいないんですけど…」

 あれここ、外科・整形外科だったよな、確か。

 じゃあ、いいです…と帰ろうとしたら、
 「お待ちください」だってさ。

 まぁ、抜糸位、どの先生でもできるんかな。3針やし…

 診察室に通され、ベッドに寝かせると、先生が入ってきた。

 先生は、チラリとこちらを見た後、娘を消毒していた看護婦に

 「何や。これ位やったらできるやろ?すればよかったのに。」
とホザキやがった

 しかも、抜糸も素人が見ても分かる下手クソ

 我慢強い娘、顔をイ~ッッとひきつらせていたが、無事終わった

 私の頭の中に
 「痛みに耐え、よく頑張った。感動した。」
と言う、某首相(当時)の言葉が、響き渡った

 何はともあれ、よかったです。
 眉毛が生えるかだけど、女はどっちみち、大人になると眉毛剃って、抜いて、描いて…するので、あまり、悲観しないようにしよう

保育参観

2007年11月08日 22時45分17秒 | 娘の話
 今日は、娘の保育所の保育参観だった

 いつもの保育所ママ友4人組の、久々の再会

 参観そっちのけでおしゃべりに夢中になった前科もあり、当時息子の担任だった先生に

 「今日は台風が来るねって職員らで言ってたんだ。」

 なぁんて言われて、ガァ~ン

 今日は、ちゃあんと、しっかり、参観しましたよ

 息子の時は、男の子の方が多く、全体的に明るく、子どもらしいクラスだったのだが、娘のクラスは、全体の3分の2が女の子。

 先生の話によると、今クラスは2大勢力の派閥があるそうだ。

 統計的に見ると、このクラスの女の子は、B型末っ子や一人っ子が多く、正に自己主張の塊なのだそうだ

 例にもれず、うちの娘もそうだったりする

 ただ、彼女は、とても仲良しの女の子がいて、片時も離れず、ず~っと一緒にいるそうだ。
 そして、どちらの派閥にも属さず、二人の世界なんだそうだ。

 先生に言わせると「争いごとが嫌いな、平和主義者」との評価だったが、家ではなかなかどうして、お兄ちゃんへの食ってかかりようは、とても平和主義者なんかではない。
 でも、クラスで一番デカい彼女が、体力ではケンカに負けるとは思えないのに、娘を上回る口の達者なお嬢さんたちの多いこと

 今日1日見ていると、やはり、その女の子と2人で行動していた。
 私は、娘の母親なので、「楽しそうだな。」で済む話なのだが、客観的にクラス全体で見ると、明らかに「よってない」風に見える。

 ほら、いたでしょ?どこのクラスにも

 教室の隅っこで、2,3人で固まって、自分らだけで盛り上がって、クラスには全然馴染んでいなかった子…。

 ちなみに、この派閥以外にも、1人の男の子をめぐって、10人ほどの女の子が熾烈な戦いの火花を散らしているのだが
 (これも、息子の時には見えなかった。本当に女の子って、怖い
 その戦いの中にも、うちの娘は含まれていなかった。

 「○○クンと△△ちゃん付き合ってるねん。」
 なんて言葉は一人前に言うが、中身はまだまだお子ちゃま

 でも、それでいい。もうちょっと、お子ちゃまでいてほしいな
 

恥ずかしながら…

2007年11月07日 21時35分02秒 | オンマの話
 夕食が終わり、くつろいでいるところへ、珍しく家の電話が鳴った。

 取ってみると、保育所のママ友、Fさんだった

 何でも、3年生の息子さんが、チヂミのレシピを書いてくる、という宿題が出たらしく、作り方を聞きたい、との事だった。

 そんな宿題、あんの

 普通の主婦なら、ここで快く教えるハズなのだが、私…

 むちゃくちゃ不器用な上にズボラなんです

 生まれてこの方、大さじや小さじなど、使ったことはございません

 それに、その上、問題なのは…

 市販のチヂミ粉でやってるなんて、言っても良いのだろうか…

 新婚の頃、小麦粉で作ったチヂミ、むちゃくちゃマズかった
 市販のチヂミ粉の方が、何ぼかおいしく作れる。

 でも、タネだけじゃダメ。焼き方にもコツがある。
 チヂムとは、「ペチャンコに押す」という意味がある。韓国には、「嫁はチヂムをペチャンコに焼けて一人前」というようなことわざがある位だ。
 だから、お好み焼きとは違い、てこでギューギュー押す。
 フライパンだと端が分厚くなってしまうので、ホットプレートがなおよろし

 私の母は、それはそれはおいしいチヂミを作っていた。
 ニラしか入っていない、シンプルなものだったが、私の「おふくろの味」と言っても過言ではない。

 習っておけばよかった…

 

 何とかかんとか、アドバイスらしきことは言って電話を切った

 だからぁ~、言ってるでしょ、中途半端な韓国人なんだって

余計な詮索

2007年11月06日 22時32分17秒 | 番外編
 うちが、今のところへ引っ越してきて、もう7年たつ。
 この辺りは、校区で全てが決まるとばかりに、不動産屋へ行くと
 「どの校区でお探しですか?」
 と聞かれるし、小学校に入る前から、
 「○○小学校?あ~、じゃぁ、○○中学校やなぁ。かわいそうに。」
 と言われたりした。

 山と海に囲まれたこの地域は、山手へ上がるほどセレブの住む場所であり、浜側へ下りる程「ガラが悪い」と言われる。

 ただ、それは東部の方の話であり、西部は、あまり関係なく、庶民の町だ。
 なのに、勘違いセレブがいるのも、事実だ


 2年程前に、向かいにある一家が引っ越してきた。
 おっさんとおばはん、犬2匹。
 それに、時折若い男女が4人程出入りしている。
 しばらくして、なんとなぁ~く、息子とその彼女、娘とその婿っぽいことが分かった。

 それにしても、この一家、何ともミステリアスなのだ。
 おっさんは、とても早起きで、犬の散歩や、家の周りの掃除、誠にマメである。
 その後、きれいに着飾ったおばはんを単車のケツに乗せ、でかけて行く。
 帰ってくると、子どもを保育所に送った後らしき娘がやってきて、また2ケツで出かけていくのだ。

 アッパ君が偶然、父娘を見かけたのが、パチンコ屋の前。
 開店待ちの列に並んでいたそうだ。
 しかも、1度や2度ではない。隣の奥さんも、ほぼ毎日見るらしい。

 一体このおっさんは、何の仕事をしているのだろう、というのが、ご近所一番の関心事だった。
 あくまでも私の推測にすぎないのだが、工務店の社長か何か、毎日仕事に出なくてもいい人っぽくも見えるし、はたまた定年後隠居しているようにも見える。
 おばはんは、家事をしている様子が全くない。恐らく、今はおばはんが働いているのか?
 いや、あれは、働きに行っている風には見えない。
 何なんだ
 なぜ、気になるのだろう。
 それは、彼らが、セレブとはかけはなれた容姿だからだ

 直球で言うと、正にガラ悪いのだ。
 だからと言ってヤクザとまでは、いかない。
 どちらかと言うと、「成金」「なんちゃってセレブ」という言葉のほうが、しっくり来る 

 まだまだ、この一家のウォッチングは、やめられない
 どう?私、2時間サスペンスドラマの名脇役になれそうだよね?
 

主婦の地雷

2007年11月04日 21時37分36秒 | 我が家の話
 主婦の仕事というのは、キツイ割になかなか評価をもらえない、地味な仕事だ。
 せいぜい、「お、この料理、イケるなぁ。」程度が関の山で、
 「今日は、布団を干したんだね。ふかふかで気持ちいいよ。」とか、
 「今日は、風呂の目地が真っ白になってたよ。掃除頑張ったね。」なんて言う夫なんか、いないと思う
 そのくせ、できていないと不満や文句が出るのだから、たまらない。

 私は、働いているのもあり、家の掃除は土曜日にまとめてやっているのだが、昨日は音楽会だったこともあり、今日は忙しくなるな…と覚悟していた。

 休日の遅い朝食が終わった午前9時半、看護婦をしている学校のママ友が、娘のことを聞き、消毒に来てくれることになった。

 え~今から?この汚い家に

 とりあえず、着替えテーブルだけでも片付けて…

 その時、アッパ君が言った。

 「カンベンしてくれ~。俺今から出て行くわ。」

 これが、私の地雷①を踏んだ

 一体、誰に対して「カンベン」なんだ。これが、今からお茶でも飲みに来ると言うなら、せめて、1時間後…とか言える。でも、わざわざ娘の為に、好意で来てくれると言う人に対して、何てこと

 玄関を掃除していると、一人小奇麗に身支度を整えたアッパ君が、靴を履きながら私の地雷②を踏んだ。

 「トイレも汚いで。」

 ドッカ~ン


 ムカつきすぎて、言葉が出なかった。

 私は結婚して以来、言われて掃除したことなど一度もなかった。
 汚いところは、言われなくても分かっている。
 何より、声を大にして言いたかったのは、

 汚しとんのは、お前じゃ~っっ

 その後、どうなったかって?

 もちろん、帰宅後謝ってもらいましたよ
 ネチっこいもんで。

 

 

音楽会

2007年11月03日 22時10分48秒 | オンマの話
 今日は、息子の学校の音楽会でした

 私は、中学時代は吹奏楽部、高校時代はコーラス部に所属していたのもあり、音楽はするのも聴くのも大好き

 なので、見る目は少しキビシイですが

 子ども達は、練習期間が極めて短い中で、よくここまで頑張ったなぁと思う、素晴らしい出来でした。

 歌声って、緊張すると、低くなるって知ってました?意識して高めに歌って、ちょうどピアノの音と合うのです。
 以上、トリビアでした

 なので、みんな、歌はビミョ~な音程の差があって、ハモってなかったりしたのが気持ち悪かったりするのですが
 (本当にキビシイよね?小学生相手に何言ってんだろ…でも、そんな性質なんで仕方ない)

 でもでも、なかなかどうして、合奏はみんな、素晴らしかった

 完成度もかなり高かったし…

 ただ、観ている親の態度は、よろしくなかった

 自分の子どもの番さえ終われば、どうでもいいのか

 携帯音切るのは、当たり前ちゃうんかい

 その、当たり前のことが出来ない親の何と多いこと。

 演奏中は出入りできないって、何度も言っているのに、平気で戸を開ける。
 ドアの前で見張っていた先生も、たいがい呆れていた

 ビデオ撮る席も譲り合わない。

 お前ら、何様なんだ。一生懸命練習してきた子ども達に失礼だ。
 お前らこそ、教育しなおしてもらえってんだ

 はぁ、スッキリした

 

予兆…だったのか?

2007年11月02日 21時50分12秒 | 娘の話
 今朝も、いつものようにギリギリで、慌てていた

 娘と一緒に、玄関を飛び出した。

 その瞬間、文字通りギョッとした。

 うちの前にあるゴミステーションに、…ゴミをあさっている男がいた

 ドラマでは見たことがあったが、目のあたりにしたのは、初めてだった。

 純真無垢な娘は、男を凝視していたが、ふいに言った。

 「なぁ、何か食べてる!」

 ゴミ袋の中からキャベツの千切りらしきものを、貪っていたのである。

 私は、それこそドラマの中の母親のように

 「シーッッ!見ちゃいけません!」
と言いたかったが、あえて無視を決めこんだ

 急いで娘を後ろに乗せ、チャリンコで逃げるように家を出た。

 後ろでは、まだ娘が「何食べとったん?」と聞いてくる。

 私は、吐きそうになるのを何とかこらえ、とにかく、あの男がここで「食事」をするのが今回限りになってくれることを祈っていた

 夕方、帰宅し、またバタバタと洗濯物を入れていると、いつの間にか娘が上がってきていた。
 アッパ君から帰るコール(死語)があり、焦っていた私は、娘に下に行くように告げ、子ども部屋へたたんだ洗濯物をしまいに行こうとした時だった。

 ものすごい音がし、泣き叫ぶ娘。
 階段で足を踏み外し、落ちたのだ
 娘より大声で泣く息子。
 大丈夫、と言いながらも私も動転し、救急車を呼んだ。

 生まれて初めて救急車に乗ったのに、それどころではなかった。
 夕方の混んでる時間帯、車は全然進まない。
 「お前ら、教習所で何習って来たんだ!!」
 気ばかり焦って、どうしようもなかった

 病院で、3針縫った。
 眉の上で、目立たなくなるよ、よかったね、と看護婦さんが言ってくれた。
 よかった

 落ち着いてみると、朝見たあの男が、悪い予兆に思えて仕方ない。
 言ってみれば、黒い猫が横切った、とか、いった類の…