オンマは辛いよ

~グチはゴミ箱へ、思い出は宝箱へ~

泣いた鬼嫁

2008年05月07日 23時07分17秒 | オンマの話
 退院するアッパ君を病院まで迎えに行き、家に到着した瞬間、待ってましたとばかりに、私の携帯が鳴った。
 奥様からのメールだった。
 「手が空いたら電話ください」
 でも、よくよく考えてみると、連休前の忙しい日に休みをもらったのだ。
 仕方がない。
 私は、アッパ君を家に放り込み、わざわざ会社へ出向いた。

 会社へ着くと、鍵がかかっている
 開けて中に入り、奥様に電話した。
 奥様はびっくりしながらも、「あと30分位で戻るから、それまでおってくれへん?」と言った。

 奥様が戻るまでの30分間、電話はジャンジャンかかってきた。
 私は、せわしなく応対しながら、タイムカードを押さなかったことを、心底後悔した

 何故、電話をかければよかったのに、わざわざ会社へ行ったのか?
 実は、私は、奥様に、「辞めたい」と言おうと思っていたのだ。

 しかし、電話を受け、業務をこなしながら、激しく揺れていた。
 やっぱり…やっぱり、この仕事、この仕事は、嫌いじゃない。
 でも、でも、これから先、アッパ君の病院への付き添い、どうすんの?

 「ごめんなぁ。わざわざ来てくれたん?アッパ、どないしてんの?」
 奥様が戻ってきた。
 「いえ、大丈夫です。今は家で休んでます。ところで、用件は何やったんですか?」
 「H(従業員)があんたに聞いてって言っとってんけど、Sマンションの来月の点検日の報告…」
 「あぁ、それ、さっきやっときました」
 「ほんま?ありがとう」

 今だ。
 大きく息を吸って言葉を発しようとしたその時、奥様が私に封筒を差し出した。
 「よぉけ入ってないけど。退院祝い。これで、おいしいもん食べておいで」
 

 「あ、ありがとうございます…」
 
 何?!ズルい。このタイミング。

 涙が溢れた。

 「何で?どないしたん?何も心配ないやん。労災下りんねんやろ?給料も入ってくるって」
 お金をもらって泣き出したからか、奥様は的外れな慰め方をした。

 「いえ、あの…不安なんです。これから仕事と両立できるかどうか」
 「そんなん…会社抜けて送り迎えしたったらええやんか。ほんで二人で昼ごはん食べて帰ってきたらええやないの」
 
 「…」
 「ほら、アッパ待ってるで。早よ帰ったり。お疲れさん」

 あぁ、言えなかった…
 1回目の通院は連休明け。
 そう、あなたが、私に、1ヶ月も前から残業を頼んできていた日です。
 それでも、あなたは、快く行かせてくれますか?

 

 
 


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