片腕の戦士（笑）

帰り道、から電話がかかってきた。
「もしもし、もうすぐ家着くわ」
「オンマ、残念なお知らせがあります」
「何よ、かしこまって」
「今日な、突き指した」
「へ～」
「Ｍ先生（保健の先生）はな、『先生が親やったら、絶対空手なんか連れて行かへん』って」
「ふ～ん。…ちょっと待っとって。もう家着くから」



家に帰ると、右の親指を木で固定され、包帯でぐるぐる巻きにされた息子が出迎えてくれた。
「何やっとって？」
「ドッジ」
「ア」

「ホやなぁ！」と言いたいのをグッとこらえ

「よかったなぁ、手で！はい、準備しよ！」

「だってぇ、でもぉ、Ｍ先生がぁ～」
「じゃぁ、組手は休んだら？形はできるやろ？」



テンション低い息子
「痛くてＡボタン押されへん」と、大好きなゲームもやってない位やから、よっぽどなんやろう。
こんなんで行っても意味ないんやろうな

私も内心迷いながら道場へ。

「よかったなぁ、手で！足は大丈夫なんやろ？さっ、そこで四股立ちやっとこか！」

お、Ｍちゃん先生にも同じこと言われてます

「どないしたん？」「大丈夫？」

あかんあかん、そんな情けかけたら

「オレ、骨折しとぉかも知らん」

ほら、出た「かわいそうなボクちゃん」アピールが

「あははは、おもろいなぁ、Ｙは！」「早く行っといで！」かーちゃんズも容赦ないです



開き直ったのか、形の練習はすんなりやっていた息子。

「防具付けて！」
師範の号令で我に返ったか
「なぁ、オレ、組手はせんでええよな、な？」
「先生に聞いておいで」

師範の元へトテトテ走って行った息子、こちらへ戻ってきた。
「防具取って」
「え？先生組手せーって？」
「『左手と足あればできるやろ』って言われた」

「早よせーっ！」師範の怒鳴り声を背に、防具装着！（爆）



かねてから師範には、息子の「はらうばかりで全く突かない（笑）」前拳（左）をずーーーっっと注意されていた。
右手が使えない今、ある意味今日の練習はチャンスだったのだろう。

「いたっ！…あ。」

とはいえ、やってたら右手は出てしまう。

右手を後ろに隠し、左手と足のみで向かう息子。

右手が使えないと、いやでも左手は出るもんだ



試合形式での練習が始まった。

さすがにこれは息子は出んやろう…と思った私は甘かった。

ちゃーんと参加させられてましたよ


１回目。相手はＭたん（６年女）２－１で勝ち
上段突きが２回入ったの…苦手な左で…
Ｍたん、遠慮してくれたん？それとも、先生の審判が甘かったん？

２回目。相手はＲ君（６年男）２－２で引き分け
これは中段蹴りで入ったの…




帰り道、「オレ、ちょっと左で突くの自信出てきた」だって。




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