オンマは辛いよ

~グチはゴミ箱へ、思い出は宝箱へ~

巣立ち

2008年09月14日 22時27分18秒 | アッパ君の話
 アッパ君が、最近不調を訴え続けている。

 「出産」は済んだハズなのに、腎臓の辺りが痛いと言い、それが済んだら手足のしびれ、またある日は歯が疼くと言い出す。

 最初は側でしていた私だったが、次第にただ悩んでいるだけのアッパ君に苛立ち、
 「今日はどこが痛いの?」
 と聞く始末。

 全く、我ながら優しさのカケラもないのだが…

 こんなに時間があるのだから、病院に行くなり、人間ドックに入るなり、自分で動けばいいものを…

 「だって、そうでしょぉ?私は医者じゃないんだから、痛い言われても分かりませんやん」

 グチる私に苦笑しながら奥様は諭すように言った。

 「まぁ、そりゃそうやけど、そない言ってしもたら元も子もないやん。あんた、自分の子が痛い言うてもそない言う?言わへんやろ?」
 そして、車だって、ずっと動いてたら少々部品にガタがいっていたって動くが、ずーっと停めっぱなしの車を動かそうとしたら動かないように、人間だって動いてないと、あちこちの痛みを敏感に感じ取るものだと言い、

 「もう、働きに出れるんとちゃうん?働きぃって言い」

 おぉ、鬼がここにも一人…

 
 まぁ、こんな優しくない妻のせいで、アッパ君は結局あちこちの病院通いを始めたのだが、血液検査で手のしびれが糖尿病か、もしくはのせいではないかと言われたそうだ

 まぁ、糖尿はカンペキ予備軍ではあるが、今すぐどうこう、というほどのものでもないそうだ
 
 今まで周囲に「肥えたなぁ」と言われても、全く認めなかったアッパ君が、初めて自覚し、数日前からにわかに青汁を飲み、ウォーキングを始めた。

 「急に無理しても、続かんで~」

 と言いながら、昨日、そのウォーキングに付き合ってみた。
 
 …結構、ハードです。達者に歩きます。

 私は、隣を歩きながら、事故からの数ヶ月間を思い出していた。

 自分に人一倍厳しいアッパ君。
 事故の日から、たばこは一切吸っておらず、現在も禁煙継続中。
 不調を感じた日から、酒も一滴も飲んでいないし、食事も気を遣うようになった。

 「…オンマ、速いなぁ。…オレがペース落ちたんか?」
 ふと、気づくと、アッパ君が3歩ほど後ろにいた

 「あぁ、ごめん。ボーっとしとったから。」

 ちょっと前まで「オレも族」だったアッパ君。
 巣立ちの日も近い