オンマは辛いよ

~グチはゴミ箱へ、思い出は宝箱へ~

七夕にはちと早いけど…

2008年06月18日 00時58分17秒 | オンマの話
 私が教師1年目にもった子達は、当時4年生だった。

 4年生というと、10歳

 私は、「1/2成人式」を企画し、生徒達に「10年後の僕・私へ」という手紙を書かせ、10年後、成人式を迎える年に必ず君達の元へ届ける、と約束した。

 その後、結婚し、引越しも数回したが、その手紙だけは、絶対に失くしてはいけないと、大事に、大事に保管しておいた

 手紙には、私の住所、電話番号、メールアドレス等を記載し、届いたら、どんな手段でも構わないから、一言、「届いた」と知らせてほしいと付け加えた。

 その年、順調に生徒達から連絡が届いた

 10年ぶりに声を聞くと、喜びもひとしおだった。

 しかし、一人の生徒だけが、いつまでたっても連絡が来なかった。

 私は、業を煮やして、連絡をとった。

 「えっっ?!来てないです!!」

 大変だ

 彼の両親が離婚し、家族は離れ離れになってしまっていたのだ。
 そりゃぁ、10年もたてば、いろいろあらーな

 幸い、あて先は私の実家の近所だったので、ついでに寄ってみると、全然知らない人が住んでいた。

 「すいませんが、数日前、手紙が届きませんでしたか?」
 「?いえ、来てませんよ」

 どうしよう…

 私は、自分が投函した管轄の郵便局と、あて先の管轄の郵便局に電話し、やっと手紙が「迷子郵便」として、保管されていることを突き止めた

 彼に連絡をとり、現在住んでいる場所に送り直し、やっと全員、手紙が手元に届いたことを確認した。

 彼は、学校のヒーローだった。
 勉強は、正直できなかった。
 でも、スポーツは万能で、特に短距離は当時で100Mを10秒で走っていた。
 サッカーが得意で、某Jリーグのユースの入団テストも受けに行っていた。
 やんちゃ坊主だったが、愛嬌があり、誰からも好かれていた。
 みんなの期待の星、といっても過言ではなかった。

 しかし、卒業後、私も退職し、風の噂で入ってくる彼の話は、決して良いものではなかった。
 高校を辞めたい、と電話をかけてきたこともあった。
 
 私は結局何もできなかったが、この手紙騒動をきっかけに毎年、彼の誕生日にメールを送っている。
 彼も、必ず返事を返してくれる。
 別に、しょっちゅうやりとりしている訳ではない。
 本当に、年に1回だ。

 送ってくるメールの文章は、当時の彼からは想像つかない、礼儀正しいもので、彼も年に1度の私からのメールを待ってくれている。

 ちょっとした織姫彦星みたいでしょ?

 ところが、今年の返事には
 「彼女ができました」との報告が

 なぁんちゃって、とっても嬉しかったですよ