東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

ハイボール

2013-01-11 | 経営の気づき
交渉テクニックの一つにハイボールという方法がある。ウィスキーの飲み方ではなく、相手方が到底選択しないレベルの難しい条件を最初に投げかけておくという、折衝術の一つ。特にアメリカ人が好んで使う手法であり、別に高度な方法ではない。しかし、結構簡単に相手方を誘導できるので、実利度は高い。

例えば、営業部長が新商品の来年の販売高を上げたい時、「年間目標は2億円にしよう」と言うと、営業部員は「いきなりそれは無理ですよ」と現実的な数字を希望したがる。

アメリカ感覚の交渉術をマスターしている部長は、ずっとハイボールを投げ続ける。しかし、いきなり高い数字に自信のない営業マンたちは、交渉しながら少しずつ妥協点を模索していこうとする。しかし、部長が折れないで頑張っていると、営業マンは妥協点を少しずつ上げて来る。そして、お手上げ状態になったタイミングで、お手上げ状態よりさらに少しだけ上の数字で両者が妥協する。

この部長の描いた筋書きに乗る営業マンは、協議して出して答えだから、自ずと頑張らざるを得ない。交渉術を知っていると知らないとでは大きな差が出る。