博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

ヘリウム3(3He)はどこにあるのか。

2024年03月23日 | 環境・エネルギー
(昨日の続きです)
 重水素とヘリウム3(D-3He反応)の核融合への道が拓けたとなりますと、核融合発電の実用化に新たな展望が見えてきたということで、いろいろな意味で人類の未来にとっておめでたいことではあります。D-3He反応には大きな課題が二つありました。一つは核融合反応を起こす温度が重水素・トリチウム反応(DT反応)では摂氏1億度程度ですが、D-3He反応では摂氏十億度程度という途轍もない超高温にする必要があることです。これは技術的にかなり高いハードルですが、今回のヘリオン・エナジー社の成功で可能性が見えてきたことになるようです。もう一つの課題は燃料の問題です。重水素は海水に大量に含まれていますが、ヘリウム3は地球上にはごく微量しか存在しないのです。この二つの課題のためD-3He反応は、これまで実現性が低いと見られ、DT反応の研究開発が世界中で先行してきました。
 このヘリウム3が豊富に存在する場所があります。それは月面です。月の表面に存在する細かい砂ーレゴリスと呼ばれていますが、このレゴリスにヘリウム3が付着していることがアポロ計画の月探査で分かっています。上の写真はアポロ11号のアームストロング船長が月面のレゴリスに刻みつけた足跡の写真です(NASA)。月面のヘリウム3は、太陽からの太陽風が起源です。太陽風の成分はプラズマ化した水素、ヘリウム、ヘリウム3などです。数十億年にわたって月面に蓄積されたヘリウム3の量は膨大だと推測されています。レゴリスを数百度に加熱するだけでヘリウム3を取り出せるそうです。加熱はレンズや鏡などで太陽光を集めれば良いようです。
 D-3He反応核融合の実用化の可能性が見えてきたとすれば、月は新たな資源供給地として重要な意味を持つことになるかもしれません。(続きます)

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