博多住吉通信(旧六本松通信)

 ブログ主が2022年12月から居住を始めた福岡市博多区住吉の生活や都市環境をお伝えします。

土星マンション 2

2007年08月13日 | SF
 以前このブログで御紹介した岩岡ヒサエさんの『土星マンション』の第二巻が発売されました。
 第一巻でも示唆されていましたが、このリング状の人工世界には階級もしくは階層のようなものがあるらしい。居住する階層によって、上層、中層、下層に分かれていて勝手に行き来ができないようになっているらしい。ざっと読んでみた所ではこの世界のそれは単なる階層分化ではなく、階級分化が起こっているらしいのです。このような人工世界でなぜこのような階級分化が起こるのか興味をそそります。
 ところで階級と階層はどう違うのか?ここで史的唯物論的な定義を持ち出すと話が長くなるので、思い切り乱暴に説明すると階級が固定的であるのに対して階層は半固定的であるということらしいです。Aという階級とBという階級は、全く別個の文化、習慣、居住地域を持っていて相互の交流がほとんどないらしい。この点で最近格差社会化が進行してると言われる日本は、階層分化が進んでいるとしても階級分化が進んでいるわけではないと言えます。なにしろ六本木ヒルズの住民でも、家賃1万円の家に住む私でも、おそらく同じテレビ番組を見て、大して変わらない新聞を読み、同じ流行を追う訳です。もし彼らが違う階級であれば、ヒルズ族専用のテレビ局、新聞社、専用の百貨店、マーケットを所有しているでしょう。そして、そういうことは多分なさそうですね。典型的な階級社会と言われるイギリスを例にとるとそういうことが良く見えるらしい。イギリスでは労働者階級と中産階級、貴族はそれぞれ全く違う文化を持ち、生活圏を分割しているらしい。そして階級が上になればなるほど社会的な義務が増え、窮屈になっていき、同じ商品を買う時でさえも、より高く払わないといけないのだそうです。例えば戦争の時は真っ先に死なないといけない。第一次世界大戦では長期に渡る消耗戦でイギリス貴族が大量死したために、戦後巨大な植民地帝国を維持する人材が枯渇したと言われます。しかも彼らはほとんど男性だったので、それが1980年代にサッチャー女性首相を生み出す原因になったと私が学部生の時に保健の先生が真顔で説明していました(ほんとかな)。それと全く同じ商品でも下層階級の倍以上の金額を払わないといけない。同じ商品というのがポイントで例えば1本130円のコーラでも(別に特別なコーラという訳では全くない)400円くらい払わないといけないそうです。これは岡田斗司夫さんの著作(こちらはこちらで大変面白かったので今度紹介します)で読みましたが、岡田さんの実体験だそうです。一般的にはノブリス・オブリジェ(高貴なる義務)と呼ばれるものですね。そういうわけでイギリスの貴族はあまり楽しそうではないですね。窮屈なばかりで。我が国では、憲法第14条でそもそも貴族が禁止されているので、そういう立場の人間が発生する心配は無いのですが。  

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