博多住吉通信(旧六本松通信)

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東洋医学とノーベル賞

2015年10月06日 | 科学

 北里大学の大村智特別栄誉教授が、ノーベル医学生理学賞を受賞され、実に素晴らしいことです。熱帯地感染症対策は温暖化等の気候変動が予測される人類の未来に、益々重要になることは間違いありません。今年は、中国中医科学院の屠ユーユー氏(84)が大村氏と一緒に、やはり深刻な熱帯地感染症のマラリアの治療法開発で受賞しました。

 屠ユーユー氏の受賞には驚きました。まず中国の研究者としては、初めてのノーベル医学生理学賞の受賞者であることです。ノーベル医学生理学賞受賞者は、1901年のフォン・ベーリング(ドイツ 血清療法の開発)以来、ほとんど豪州を含む欧米諸国の研究者によって占められてきたからです。日本人でも、利根川進氏(1987年)、山中伸弥氏(2012年)以来3人目です。アジア出身者は他には0。欧米諸国以外の受賞者は南米のアルゼンチンから2人だけのようです。

こちらのサイトから、ノーベル医学生理学賞受賞者の1901年~2015年の一覧が閲覧できます ⇒ http://www.nobelprize.org/nobel_prizes/medicine/laureates/

 中国の自然科学系ノーベル賞受賞者は、物理学賞ですと楊振寧氏と李政道氏(1957年受賞)がいますが、お二人とも、20代で中国を離れ、そのままアメリカに移住帰化しているので「中国人の受賞者」と言えるかどうか難しいところです(アメリカでの研究成果に対する授賞ですし)。中国出身・在住者の自然科学系ノーベル賞受賞者は屠ユーユー氏が初めてのようです(平和賞・文学賞はいますが)。

 もう一つの驚きは、屠ユーユー氏の所属が「中国中医科学院」であるということ。「中医」つまり東洋医学の研究機関所属であるということです。これは史上初めて東洋医学がノーベル賞の評価を受けたということなのでしょうか。東洋医学の研究所に勤めていても研究の方法論は西洋医学であるということはありえるので。そう考えていたら産経新聞の記事が目に留まりました。同記事には「屠氏は、古来より伝わる中国全土の漢方薬を試し、1600年前の文献からマラリアに効果がある調合法を見つけ出した」とあります。

 ソースです ⇒ http://www.sankei.com/world/news/151005/wor1510050045-n2.html

 どうやら本当に東洋医学の研究成果にノーベル医学生理学賞が授賞されたということのようです。これは大変画期的なことだと思います。


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