博多住吉通信(旧六本松通信)

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応訴義務

2012年09月21日 | 時事

 読売新聞の報道によれば、野田首相が26日に行う予定の国連総会の一般討論演説で、国際司法裁判所(ICJ)で他国から訴えられた場合に応じる義務が生じる「義務的管轄権」の受諾を、各国に呼びかける意向であることが分かったそうです。同記事によると、日韓の間の島根県・竹島や、中国と周辺国の間の南シナ海の領有権問題などを念頭に、国際法に基づく平和的解決の必要性を訴える。同時に、義務的管轄権を受諾していない韓国や中国と、受諾済みの日本との国際法に対する姿勢の違いを際立たせ、日本の主張の正当性を国際社会にアピールする狙いもありそうだ。ICJが領有権問題の裁判手続きに入るためには、紛争当事国間の同意が前提となるが、一方が提訴しても、他方が義務的管轄権を未受諾ならば応じる義務がなく、制度上の課題となっている-とあります。

ソースです ⇒http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120920-OYT1T01562.htm

 現状において野田首相の演説はかなり重要性を持っていると思います。国際的な領土紛争に法の支配の原則をかぶせることを国際社会に要求するという意義を持つからです(藤村修官房長官の談話)。日本政府は竹島問題をすでにICJに提訴しています。しかし当事国である韓国が応訴しないので先へ進まない状態です。

 さて、2年前にブログ主は尖閣問題もICJに提訴してはという意見をこのブログに書きました。もしも日本政府として尖閣問題も、竹島問題と同様にICJに提訴するとなった場合、従来の政府見解(日中間に領土問題は存在せず)から一歩後退することになります。これは日本側外交の失点になりますが、今の状況ではやむをえないと思います。

 私個人としては、野田首相の働きかけが功を奏して、実際に各国の応訴義務が確立した場合、もう一点アイディアがあります。訴訟期間中、係争案件の土地はICJが管理するものとして、ICJが監理官を派遣し同地に常駐するものとするという原則です。その場合、係争地は提訴後、判決が下るまでは国連の管理下に入ることになります。竹島には現在韓国政府が武装警察官(独島警備隊)を常駐させていますが、裁判がはじまれば撤収してもらいICJの管理に引き渡すことになります。ですから韓国はかなり応訴義務に抵抗するでしょう。しかし、抵抗するという行為自体が国際社会では心証を悪くすることにつながりますから、韓国政府にとってはつらいことになります。

 中国の場合は、そもそも国連の常任理事国でICJに裁判官(薛捍勤氏)を出している立場上、日本政府が現在の立場から一歩後退して尖閣問題をICJに提訴した場合、拒否はできないのではないでしょうか。今は無人島の尖閣諸島にICJ監理官が上陸するという場面はかなり歴史的な場面になるでしょう。


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