スパイ(諜報)活動といえば007をイメージされる方が多いようだ。だが実際は日常情報の中に必要な情報の9割があるそうだ。007の様なスパイに頼る情報の入手はスパイ活動の1割程度しかないそうだ。名前を忘れたがCIA元長官が何かの講演で話していた。重要な事は入手した情報を「分析」する分析官が優秀か否かでありその人員数や部門のバラエティ度によるようだ。
第二次世界大戦中、Uボート基地のクリーニングの納品日から出航予定日を割り出したり、購入した食料や飲料水の量から作戦可能半径(日程)を割り出し、更にその目的地まで割り出したケースなど英国情報部(MI-6)の力量は、さすがシャーロック・ホームズの国と驚愕する。
新聞の経済情報から、多くの爆撃機の飛行場を割り出した英国情報部(MI-6)、ヒットラーはスパイがいると思い込み多くのドイツ兵や軍属を処刑した。
戦後(1950年代末)、チェコ・スロバキアの空軍基地で配備されたばかりのMIG-21戦闘機。そのメンテナンス部品で整備兵が作ったハンガーを入手した、英米の情報部(MI-6とCIA)。彼らがそのハンガーに使われていたジラルミンから(厚み、強度、比重、合金率、工作の精度等々)、MIG-21戦闘機の大まかな性能を割り出したことは有名な話である。
MIG-21
現代の情報戦では素材の欠片一つからでも、目的の機器の性能を割り出す事ができる。その能力は、英米イスラエルの情報機関、ついで露仏の情報機関が続く。日本はこの情報分析がどれほど得意か?不明である。
因みに素材等の分析とその製作とでは天地の開きがある。中韓が日本からパクルことが容易な物はコピーが簡単なソフト等である。素材などの基礎工学が必要な物はパクルことができない。
情報戦は、情報収集と情報分析(情報構築も含む)と情報管理(再利用を前提とした管理、俗に言うデータベース、図書館等)に大別される。この情報収集に光を当てたのが007等のスパイもの、情報分析に光を当てたのが、「レット・オクトーバーを追え」などである。
大使館によるスパイ活動、国際社会では当たり前のことであり、その国のお天気も大切な情報である。異常気象で「ぶどう」のできが悪ければ、その年(ビンテージ)のワインは値が下がるなど、日本の商社の情報収集能力や情報分析も非常に優秀である。
情報収集され分析された「情報」の価値はそれぞれ必要とする所で異なる。情報学では「情報とは価値のあるデータ(信号)である」と言う定義がある。価値無き所では「情報」にはならない、データのままである。価値を認めなければ目に入っても覚えてもいない。
データを価値あるモノとして「情報」にするのは受け取る側の問題でもある。ここでも「情報」と「データ」とをゴッチャに報じるマスコミのマイナス面の影響が大き過ぎるように思える。
いずれにしろ日本は、この対情報戦に関する環境が最悪である。東京は、大使館の多い千代田区や港区はスパイ銀座とも呼ばれている。お花畑の方や左翼の方は聞いたこともないであろうが。