いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

夢と自信に満ちた女性たち

2006年05月10日 08時52分00秒 | ハマ風は踊る
 ドイツの動物学者ヘッケル(1834~1919)曰く、生物の個体発生は系統発生を
反復する。つまり我々は、母親の胎内にいる10ヶ月ほどの間に、数億年の生物
の進化を早回しで追体験するのだそうだ。因みに、生物が海から陸に上がり、え
ら呼吸が肺呼吸に切り替わる際の苦闘のしるしが「つわり」だという。35億年
前、生命は海から生まれた。だから「海」という字の中には「母」がある。
 近年、日本人の平均寿命は、男女とも年々延びている。その平均寿命は、縄
文時代が約29歳で弥生時代以降ゆるやかに延びてきた。明治24年から31
年までの7年間では男性42.8歳、女性44.3歳で、男女共に50歳を越
えたのは昭和22ねんであった。そして、男女の寿命差が5歳以上になったの
は昭和50年(1975)で、それは毎年拡大の傾向にある。
 (財)岐阜国際バイオ研究所では、人間の細胞内にある「ミトコンドリア」
の遺伝子の塩基配列の違いが、人が長生きするかどうかに影響を与えていると
言う。塩基配列を大別すると「アデニン」を含むA型と「シトシン」を含むC
型があり、A型が成人病に強く、長寿であること。この塩基配列は、母親の配
列の仕方がそのまま子供に受け継がれるそうだ。
名古屋の長寿姉妹だったきんさん・ぎんさんは、A型遺伝子を持っていたそ
うで、この研究結果を英医学雑誌ランセットに発表した。
 また、生物が持つ一日の体内時計を働かせている遺伝子を東大医学科研究
所が発見したとの報道があった。それによると、生物の体内時計は、人で
25~26時間の周期を持ち、日中の光りなどとともに睡眠など体全体のリズムを
調整していると言う。
 そして、『時間医学がつくる自然治癒力(田村康二著)』によれば、生体リ
ズムは、ほぼ秒単位の脈動、ほぼ1日単位の睡眠と覚醒、ほぼ月単位の女性の
生理など生命と時間とには強い繋がりがあって、病気にも起こりやすい時間が
有ると言う。例えば、心筋梗塞、狭心症などの血管系の病気は朝方に発症しや
すく、がん細胞は夜に増殖し、胃潰瘍も夜進行する。がから抗がん剤も、時間
に構わずむやみに使うよりも、夜間に投薬すると効果が大きいそうだ。そして、
アメリカでは、ひざの裏に光りを当てると、眠りや目覚めなどの生活リズムを
刻む「体内時計」を遅らせたり、進めたり調節できることを突き止め時差ボケ
防止にも応用できるなどの報道があった。
 ところで、年々、時間のたつのが早く感じられるのは何故だろうか。時間の
長さは、年齢の逆数に比例するとの説がある。例えば、10歳の子供の1年間
は、それまでの人生の10分の1だが、50歳の人の1年は50分の1にすぎ
ない。それだけ時間の流れを早く感じ、50歳の1年は10歳のときの5分の
1にしか感じないと言うことだ。これは、年を取って新陣代謝が弱まり、体内
時計がゆっくり回るため、相対的に周囲の時間を早く感じるのだと言う。
 グリム兄弟(兄1785年生)が集めたドイツの民間話「グリム童話集」のなか
に、お馴染の「寿命」という童話が収められている。それは『神様がこの世を
作り、生き物の寿命を決めることにした。ロバや犬や猿に30年の寿命を与え
ようとしたが、生きている間の苦労を嘆き、それぞれ18年・12年・10年
に縮めてもらった。人間だけは30年では短すぎると、ロバなどの寿命を足し
てもらい、70年生きることになった。そして、人間は最初の30年間、健康
で楽しく人生を楽しみ、続くロバの18年は、次々と色々な重荷を背負わされ、
他の人に食べさせる穀物を運び一生懸命働いても殴られたり蹴られたり、次の
犬の12年は人間は隅っこに寝転んでうなるばかりで、物を噛む歯も抜け、最
後にくる猿の10年では、人間は頭がにぶくなり、ばかみたいになる。そして、
いろいろ変なことをして子供に笑われる』というものである。
 確かに年をとると、ぼけたり愚痴っぽくなるが、経験や知恵など老人にはそ
れなりの力を持っている。
 だが、近年の熟女のあのエネルギーはなんなんだ。シルバー社交ダンスで実
感している。この活力は持って生まれた遺伝子によるものなのか。最近、横浜
関内で昼間店を空けておくのは勿体ないと手料理による10人限定昼食を始め
た女将は、65歳を超えるも溌剌とし、好きなオペラのレッスンを受けている
と言う。
 アメリカの「ワーキングウーマン」誌では、『日本の女性たちは今、男性た
ちよりエネルギーと夢と自信に満ちている』と具体例を挙げて語っている。男
が今までの価値観で、家庭生活を犠牲にして、趣味も友達も持たない会社一辺
倒の往復生活を続けていると、パワーに溢れ、柔軟性に富んだ女性に見放され
かねない。
 夫婦は、それぞれが確かな生きがいを持って過ごしたいものである。
来週の、5月14日は母の日です!
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