邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「忍びの者・霧隠才蔵」

2006年08月10日 | ★ぐっとくる時代劇
シリーズ第4作目。

あれあら?石川五右衛門は何処へ?

実は今回からは主役が
霧隠才蔵
(市川雷蔵)に変わる!

ただし時代背景は受け継がれて
秀吉が死に、家康(中村鴈治郎)
が難攻不落といわれた大阪城を攻めるところから始まる。

のっけから大砲どかんどかんとぶっ放す合戦シーンである。
豊臣方で、根性があるのはもはや
真田幸村(若山富三郎)くらいしか残っていなかった。
忍者を手足のように使い家康を攻めるが、
敵は一枚も二枚もうわてだった!

カリスマ忍者、霧隠才蔵の忍術の冴えも見られるがしかし
全体にトーンが暗く、
三作めまでの派手さが抜けて生真面目な印象だ。
脚本は同じ高岩肇なのだが。

磯村みどりが艶のある声で「霧隠さま!」と、
才蔵を慕う薄幸の女を演じる。美人です。

1964年 
田中徳三監督
脚本 高岩肇

撮影 武田千吉郎
音楽 伊福部昭
美術 内藤昭

忍びの者
続忍びの者
新忍びの者


バラバラに見ても面白いけど、
1,2,3は順番に見たほうが◎です。忍び→続→新

*映画の中のイイおんな*
磯村みどり:瞳がうるうるといつも輝いています。
声も甘く潤んでいて色っぽいです。うるおいたっぷりの美人でありながら
演技派女優さんでもあります。
脇役が多かったけれど、確実で安心感がある演技をされる人ですね~

ブログランキングへ
応援していただけると嬉しいです


川島雄三の「特急にっぽん」

2006年08月09日 | ★痛快!な映画
昭和30年代「こだま」が東京大阪間を6時間半で走った。
当時まだ新幹線は開通しておらず、
驚異の速さであったのです。

時代の最先端を行く「こだま」号内でのドタバタを描く
ロード・ムービーならぬレイル・ロードムービーだ。

川島雄三のセンスが光る楽しいコメディ。

関西弁が飛び交う「こだま」出発進行!
様々な人々がチン騒動を繰り広げるという川島監督
お得意の群像劇だが
なんたって芸達者が揃っているしテンポがいいので
ついつい引き込まれてしまう。

当時大ヒットしていた「ありがたや節」を歌いまくる謎の団体、
女(中島そのみ)にべったりはりつく小沢栄太郎、
コックのフランキー堺と、コック長森川信の芸術的な爆笑やり取り、
可愛いおネエちゃん団令子、
小鳥のようにうるさい食堂車ガールたち、
マザコン男と母親(滝田祐介・沢村貞子)、
サングラス姿の男たちなどの
ワイワイドタバタ、めまぐるしい会話を聞いて大笑いしているうちに
列車は名古屋~京都~へと進んでいく。

観客も列車の中にいるような臨場感を味わえる洒落た趣向だ。
限られた空間なのに息がつまらないのはさすが。

それにしても小沢栄太郎は助平親父がなんでこうも似合うのだろうか。
女とデレデレしながら「ちゅーちゅー・・♪」というチューインガムのCMソングを歌い、
鳴くな小鳩よ」に次ぐインパクトを与えてくれる。
捨て身というほかは無い役者魂だ!

*映画の中のイイおんな*
団令子:思いっきりお転婆で明るいお姐ちゃんしてます。
ちょっとハスキーな声が魅力的。
この人見ると、「イエイエ」とか「サイケ」とか
連想するんだな~~「モダン」って言葉も似合います。

郷ひろみの元妻「リー」のお母さん、
白川由美も出てますが背がすらりと高くてスタイル抜群。
娘さんとは違うタイプのクールな美女ですね。ツンとすまして
コンパクトを覗くの、真似してみよう~~!?

1961年川島雄三 監督作品
原作 獅子文六 脚色 笠原良三 撮影 遠藤精一 音楽 真鍋理一郎
美術 小川一男

ブログランキングへ
応援していただけると嬉しいです

「Tomorrow 明日」

2006年08月08日 | ★人生色々な映画
みんな
明日を願って
明日を夢見て
明日になったら・・と思い・・

でもその明日に起こることは・・・

先ごろ亡くなられた黒木和雄監督の作品。
長崎に原爆が落とされた前日から次の朝までを描く。
61年前の今日から明日だ。

庶民のごくごく当たり前の日常が
淡々としみじみと描かれていく。いたたまれない映画

桃井かおり演じる妊婦は、母親と産婆に勇気付けられながら
難産の果てに赤ん坊を産み落とす。
真っ青に晴れた朝に赤ん坊に乳を含ませる若い母親は
もちろんその数時間後の運命を知らない。

捕虜のアメリカ兵を見殺しにしたことを苦にする将校(黒田アーサー)は
うさを晴らすために娼婦(伊佐山ひろ子)と一晩を過ごす。
(そんなこと悩んだって、次の日に
自国の捕虜もろともぶっ飛ばすんですからアメリカは~)

皮肉過ぎる。

初夜を迎えた新婚カップル(佐野史郎・南果歩)もいた。

子供たちは蝉が鳴く中、ひなたで無邪気に遊んでいる。

エピソードが静かに進んでいくにつれ、
見ている方は緊張していく。

もおうやめてくれえ~~!!(自分)

空がぴかっと光り不気味な雲がもくもくと現れ、映画は終わる。

愛すべき人々が次々現れる中、唯一
憎たらしい役で荒木道子がちょっとだけ出るが、
その憎たらしさも人間臭く、愛おしいと思える、残酷な話である。

そして時は過ぎ、我々がおかれている現実とは。

戦争体験がある黒木監督ならではの力のある作品だ。

*映画の中のイイおんな*
桃井かおり:煙草を吸わない桃井かおりがいる。
いつもの屈折したキャラではなく、
珍しくまっすぐな(失礼)額の汗をぬぐおうともしない
素直な娘さんの役がこれまた上手いんだなあ~~
出産経験は無いと思うが???????
分娩シーンはすごい迫力である。

黒木和雄監督作品

原作:井上光晴
脚本:黒木和雄 井上正子 竹内銃一郎
撮影:鈴木達夫 音楽:松村禎三
美術: 内藤昭

ブログランキングへ
応援していただけると嬉しいです

松本清張の「虚飾の花園」

2006年08月07日 | ★人生色々な映画
高級マンションの屋上で
若い女が殺されていた。

最上階に住むのは女性ばかり。
刑事(内藤武敏・河原崎健三)が調べを進めていくうちに
うわべの華やかさとは裏腹な女性たちのプライバシーが明らかになっていく。

さて誰が犯人か。
舞台劇にもなりそうな密室劇。
往年の大女優岡田嘉子
事件の鍵を握る上品な老女に扮している。

落ちぶれたモデルの女(重山規子)と
洋裁学校の教師(奈良岡朋子)は、
一人の中年男をめぐって
取った、取られた、貢いだ、貢がれたと激しく争っている。
どんなイイ男かと思ったら、なんとそれが
松本清張だったのには大爆発!!爆笑!

それまでが大真面目な芝居だったので
一気にチカラが抜けたものだが、
物語はそこからずんずんと佳境に入っていった。

二人の女優のバトルも十分迫力があったが
やはり岡田嘉子がひとり舞台を勤める終盤が圧巻だった!!

この方の人生こそドラマより奇なりだ。

先日も岸恵子が彼女の足跡をたどる
ドキュメンタリーを放送していた。

美しい銀髪と整った顔立ち、芝居も大変立派で心を打たれました。
ソビエトに亡命、独房に幽閉されていたために中断されていた、
女優としての作品をもっと見たかった。

*映画の中のイイおんな*
岡田嘉子:恋人とロシアとの国境を超えて亡命したことでしられる
戦前の大女優である。
スパイ容疑をかけられ、恋人は即座に銃殺され、
ご本人はそのことを知らされず
極寒の独房に何年も入れられていたそうだ。
戦後ようやく帰国して女優業にも復帰したが、
その後また向こうに渡って、生涯を終えたとか。
そんな波乱に満ちた過去と役柄がオーバーラップして
なんともいえない存在感を示しています。

ブログランキングへ
応援していただけると嬉しいです



「座頭市逆手斬り」

2006年08月06日 | ★ぐっとくる時代劇
ビッグな喜劇人藤山寛美勝新太郎の異色取り合わせが
目玉の作品。

シリーズ11作目。
安定したファンを掴み、スタイルが確立している頃です。

にせ座頭市を目論む百太郎(藤山寛美)の
軽妙な芝居と市(勝新太郎)の掛け合いが
大きな見所で、
按摩が按摩を按摩しているシーンは爆笑ものだ。

すごい取り合わせであるにもかかわらず、
脚本にイマイチ迫力と新鮮味が無く、
肩すかしを食らう。
音楽も平凡だった。

たちまわりは座頭市だから
必須であるが、
ぴかりと光る魅力的な敵を出さなかったのはパンチ不足の要因だと思う。

藤山寛美と斬り合いさせるわけにはいかないですしね。

*映画の中のイイおんな*
滝瑛子:ちょっと崩れた感じのする美人で
色気のある女が似合う人です。もうひとりの純な娘っこ役の
明星雅子とは対照的な役回り。

監督 ................  森一生
脚本 ................  浅井昭三郎
撮影 ................  今井ひろし
音楽 ................  大森盛太郎
美術 ................  太田誠一

ブログランキングへ
応援していただけると嬉しいです