邦画ブラボー

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「女であること」

2006年09月24日 | ★人生色々な映画
妖艶なポーズで主題歌を歌う
美輪(丸山)明広のアップで始まる。
なんとも思わせぶりな憎い出だし。

屈託のないコメディ、メロドラマ、様々なテーマを扱いながら
胸に残る愛しい作品を撮ってしまうのが
川島雄三という監督だ。

夫(森雅之)は有能な弁護士、
妻(原節子)との間には子はないが、
弁護中の殺人犯の娘(香川京子)を引き取って
夫婦円満に暮らしていた。
そこへ台風のように現れた
お転婆娘(久我美子)が家中を引っ掻き回す。

森雅之と原節子と久我美子といえば、
黒澤明の大作「白痴」を思い出す人も多いだろうけど
ここでは猛吹雪の中で
大声で叫びあったり怒鳴りあったりなどといった
ことはなく
登場人物たちの感情の機微を静かに追う。

久我美子はむちゃくちゃな役ですが。

上記の三人が揃った上
香川京子も出ていて
おとなしい女の子が、初めて燃え上がった恋について
語る台詞にははっとさせるものがあった。

みんな目イッパイ女。

お手伝いさんにはこれまた上手い、中北千枝子。
後姿だろうと、横向きだろうと
360度◎の演技が出来る女優さんだ。

川島作品の常連、三橋達也も
さらりと登場する。

久我美子でなければ張り倒したくなるような
メチャメチャ娘は
支離滅裂過ぎて可愛らしいという域までいっている。
ちょっと爆笑
いたずらっぽくきらきら光る瞳、
ヘップバーンファッションで跳ね回る。

森雅之はいつもどおりモテモテオヤジ。

原節子の「むっとした顔」は恐ろしい。
しとやかな顔がみるみるうちに曇って、
今にも爆発するか!と思わせるからである。
だけど爆発はしない。
暗い影がさすのはほんの少しの間だけで、
整った眉は元の形に戻り
またいつもの美しい顔になりほっとする。

成瀬巳喜男の映画にも
似たテーマがあった。
夫婦の関係はちょっとしたきっかけでバランスを崩し
ちょっとしたことで元に戻っていく。
かすり傷を追うこともあるけれど。

「ほんのちょっとしたこと・・」
これが意外と人生を左右しているのかもしれないデスネ。

*映画の中のイイおんな*
久我美子:この映画では大美人女優原節子を完全に食っとります。
というのも気性の激しさプラス
思春期の娘特有のホルモンのアンバランスによる
制御不能のハチャメチャぶりがとんでもなく愉快だから。
「おじさま大好き、おばさまも好き。
おじさまが好きなおばさま嫌い、おばさま大嫌い」って・・
まったくワケわからんです。
細い体にタートルのセーター、サーキュラースカート・・ヘップバーンファッションが
似合いすぎるくらい似合っています。

川島雄三 監督作品
脚本 .. 田中澄江 井手俊郎 川島雄三
原作 川端康成
撮影  飯村正
音楽 .  黛敏郎

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