邦画ブラボー

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「冬構え」

2009年09月30日 | ●面白かったTVドラマ
久々に
ドラマを見て泣きそうになった。

とは言っても今のじゃなくて
昭和60年のドラマ。
NHKアーカイブスからの「冬構え」

脚本が山田太一

冬とは人生の冬 すなわち老年期のことを指す。

笠智衆演じる老人が
秋の東北をひとり旅する。
つまり
ロードムービーっちゃあ、ロードムービーなわけだが・・

中禅寺 八戸 恐山 
美しい風景の中をステッキに帽子、ロングコートの
笠さんは
歩いているだけでひとつの「絵」のよう。

ただ、おじいちゃんが持っているボストンバッグの中には
お金がいっぱい入っていた!

段々と老人の旅の目的があらわになってくる・・

途中で出会う人々とのエピソードがしみじみ良い。
ひとり旅の婦人(沢村貞子)をナンパして宿を共にする・・
っていうところは
んなわけないだろう~~ありえ~~ん!とは思ったけど
そういうのも楽しいかもと思えたり。

沢村さんは結い上げた黒髪、細い縞の着物、襟元からのぞく色半襟、
浅草美人という設定がそのまんま沢村さん。
二人が差し向かいでおそばを食べている場面を見ているだけで
国宝!を見る思い。

旅の途中にたずねた友人(小沢栄太郎)は入院していた。
いつも傲慢な役どころの小沢さんが
ひげぼうぼうで「死ぬのを待つだけ」の重病の老人を熱演。
入れ歯を取った迫真の姿に見るほうも
芝居と思えなくなり、胸が苦しくなるほどであった。

入れ歯といえば
最後に出てくる藤原釜足も入れ歯無し!

あの「赤ひげ」の「隠し砦の三悪人」の「椿三十郎」の
藤原さんだ。ニッと笑うだけで後光がさすようだった。
このドラマが遺作となったそうだ。

老人を追いかける温泉女中と板前に岸本加世子、金田賢一。
若い二人がはしゃぐ場面と老人との対比は
わざとらしいっちゃあ わざとらしいが・・

老いの孤独、さらには生きていくことの哀しみ
苦しみを真正面から描いた作品としてずっしり見ごたえがあった
どきっとする台詞が沢山あった。

山田太一はこの脚本を書いた当時、50代だったそうだが
主人公の笠さんと同じ年代になって心境の変化は無いのだろうか?

笠さんの顔は美しい。能の翁の面のよう。
その
涙は見たくなかったなあ・・・悲しすぎるもん。

演出 深町幸男

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