邦画ブラボー

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「続飢える魂」

2012年05月02日 | ★愛!の映画

鬼才川島雄三にかかると

男女の愛憎ドラマも哲学的で

とびきり洒落て見える。

 

青年実業家でプレイボーイの三橋達也(元祖ソース顔)と

暴君(小杉勇)に仕える従順な人妻 南田洋子との愛と

その周りの人々の人間模様を描く。

軸になる二人もさることながら

小杉勇のいやらしさと俗物ぶり、

轟由起子(味がありますねえ)と大坂志郎の熟年カップル、

学生服の小林旭(すでに貫禄あります)、

渡辺美佐子(ものすごい表現力です)、

若い頃から老け役の金子信雄、

なんて台詞が上手い女の子だなと思ったら桑野みゆきだったり、

にくいほどの芸達者ぞろいで

楽しくなってしまう。

 

主人公を取り巻く人たちの内面も丹念に浮き彫りにするのは

川島雄三ならでは。群像劇的メロドラマと言おうか・・

 

カット割り、テンポの良さ、

おのおののエピソードを挿入するタイミングは

最近のアメリカンドラマ、「プリズン・ブレイク」とか

「トゥルーブラッド」も真っ青の切れの良さ。

まるで小気味よい音楽を聴くようなシャープな展開なのです。

 

家の中を輪切りにするように流れるカメラワーク、

センスありすぎ。

この映画が公開されたのはなんと50年以上前なのに!!

 

川島映画でおなじみの

フランキー堺、岡田真澄、小沢昭一などの顔が見えるのも嬉しい。

夜間飛行の機内から見えるテレビ塔や

全国ロケの貴重な映像も盛り込まれている。

 

ラストまでジメジメせずに

ドライに仕上がっているのも川島流。 

 

南田洋子、カンペキな骨格で綺麗です!!

 すごいタイトルの原作は丹羽文雄。

 

1956年公開

川島雄三監督