邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「どん底」(観劇)

2008年04月18日 | ★人生色々な映画
全員が難有ながらも
のんきに暮らしていた貧民窟に
ある日、救世主のような老人がやってきて
みんなの心をかき回して去っていく。

ぐちゃぐちゃながらもそれなりに均衡を保っていた世界は
刺激が加わって
バランスを崩してしまうのだ。

ケラリーノ・サンドロヴィッチこと
ケラ演出・脚本。ロシア人ではありません。

黒澤明も映画化したことで有名なこのお話。
ケラ脚色演出で
駄洒落も乱れ飛ばし人生訓も散りばめられていて
かなり明るめ、
しかしよくよく台詞を聞くと
ロシア人ってなんでこんなに暗いの?」と
思うほど救われない。

黒澤版と比較してみよう。

泥棒ペーペル(江口洋介) 黒澤版では三船敏郎
大家(元天上棧敷の若松武)→ すごいメイクだった中村鴈治郎 
ワシリーサ(荻野目慶子)→山田五十鈴 
ナターシャ(緒川たまき)→香川京子
巡礼の老人ルカー(段田安則)→左卜全
アル中の役者(山崎 一)→藤原釜足
錠前屋(大鷹明良)→東野英治郎
瀕死のその妻アンナ(池谷のぶえ)→三好栄子
自称・元貴族の男爵(三上市朗)→千秋実

などなど。
大筋は同じだが別の味。

謎めいた巡礼老人は段田安則
台詞のキレがよくて
よちよち歩きが可愛いらしかった。

江口洋介はさすがに、
出てくるとぱあっと華やぐ男前。
声も図太く、舞台映えがする役者さんだ。

荻野目慶子は「魔性の女」そのものをナマで見せ付けてくれて満足満足。
この方は舞台だとよりおどろおどろしく時には天使にも見えて素晴らしい。
声が楽器のようで、綺麗なのよね~。
ど迫力あるしね
胸がすくようなキレぶりで、
この方がわめけばわめくほど
スカッとしてくる

思いっきり暴れてくれい!」
と声をかけたかった。

妹役の
緒川たまきのことを私は「モデルさん」と思っていたのだが
ちゃんとした役者さんなのだった。
どんでん返しがある難しい役で、ちょっと激しい表現に
無理があったように思う。

群像劇とあって色んな人物が次から次と登場して
色んなことをしゃべりまくるが
にぎやかな
台詞の応酬がピタピタと決まって
リズムとバランスがとても良かった。
メリハリがついた演出。

夜の部は7時から開演で終わると10時過ぎ。
渋谷は真昼間のように明るく人でごった返していた。

シアターコクーンにて。

ブログランキングへ応援オネガイシマス