邦画ブラボー

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「お琴と佐助」

2006年05月23日 | ★愛!の映画
先日から日本映画専門チャンネルで
衣笠貞之助特集が組まれている。

衣笠監督の世界は
一言で言ってしまえば「濃い!」
作品をひと目見れば、監督の研ぎ澄まされた美意識が
画面の隅々にまでいきわたっていることに気づくだろう。

カメラの構図、色の組み合わせなども絵画的だ。
着物の柄は言うまでも無く、ふすまの模様までも美しい!

「山本富士子」という女優を得て、
妖しいまでの美の世界を作り上げることに成功している。

原作は谷崎潤一郎の「春琴抄」。
これが映画化三作目だという。

盲目の琴(山本富士子)には、
使用人の佐助(本郷功次郎)が片時も離れず付き添っていた。
気性の激しい琴が、
佐助に厳しく三味線の稽古をつける場面が
サディスティックでドキドキものです。
佐助も佐助で、琴にバチで突かれても
「おっしょうはん、嬉しいです。もっと突いてください」なんて
言ったりなんかするのであった。
!!!

だが二人の間には
主従の関係が厳しく保たれているので、
決して、決していやらしくなんかはない。
邪心を持って見ているものが、どきどきするだけなのである。
誰がなんと言おうと思おうと、
二人だけの稽古は朝方まで続くのだった・・・・・・・

そんなある日、琴は何者かに
熱湯をかけられて美しい顔に大やけどを負ってしまう。

究極の愛の形が示されている。
「閉所好き」の方にもたまらないであろう。
(・・なんのこっちゃ?!)
むせ返るような香気で息がつまってくるようだ。

山本富士子は目を閉じていても絶世の美女である。
勝気で自尊心の強い琴の心情まできめ細やかに演じ
満開の牡丹の花のような存在感を見せる。
彼女は女形出身の衣笠監督にとって、理想の女なのかもしれない。

この映画も放送禁止用語だらけなので
地上波では「ピー」だらけになってしまい興ざめであろう。

1961年 監督 衣笠貞之助

脚本  衣笠貞之助
原作  谷崎潤一郎 撮影  村井博 音楽  斎藤一郎
美術  柴田篤二

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