邦画ブラボー

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「野盗風の中を走る」

2006年04月06日 | ★ぐっとくる時代劇
娯楽時代劇の名監督稲垣浩作品。

戦国時代。馬を駆り、盗みを繰り返す野盗たちが
荒れ果てた村に立ち寄る。
盗むものさえ無いこの村でなぜかワルどもは
困っている百姓たちを助けるためにとどまることに。

時代設定、馬、「百姓なんて狼だ!」と対立するところ、
村人との協力、村娘との恋、勇ましい音楽、
百姓たちの野良歌のフューチャー

・・な・に・か・に似ている・・・
と、言うまでも無く・・

「七人の侍」に酷似しているのです・・
「隠し砦の三悪人」にも少しかぶっているかも。

なぜこんなに似たものを作ったのだろうか?

あの神がかり的な完成度を持つ作品とどうしても比べてしまうのは
仕方が無いが、
稲垣監督「秘剣」でも冴えた演技を見せていた市川染五郎
ここでも荒々しくもナィーブな若武者を好演していて光っていた。
今の染五郎と同じくらいの年だと思うが
息子よりいいような・・・
そうそう!中村吉右衛門(萬之助)は最初本人とわからなかったが、
やはり上手い。百姓上がりの愛嬌ある盗賊の、印象深い演技はさすが~。

松本幸四郎まで出ているのでいいところを見せるかと思いきや、
詰めの甘いオジサンに扮してもったいない。
親子三人共演しているところが歌舞伎ファンのみならず、たいへん貴重かも!

盗賊の親方、夏木陽介の人物像が今ひとつ書き込まれていないのが残念。
野武士たちが
得にもならないようなことに命をかける
その「動機」もイマイチぴんとこなかった。

他に佐藤允、中丸忠雄、多々良純、中丸忠雄 、谷晃など。
ストーリーが二転三転するところは面白かったが
「明日に向かって撃て」的な最後はあっけなかった。

雪村いずみが純真な村娘で伸びやかな歌声も披露。
寺の住職役で笠智衆。

どこかB級っぽいところが肩凝らなくて
アレがなければ十分秀作として残ったのにと思う。

1961年  脚本 井手雅人 稲垣浩
原作 真山美保 撮影  山田一夫 音楽 石井歓 美術  植田寛

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