邦画ブラボー

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「遊侠五人男」

2005年02月20日 | ★ぐっとくる時代劇
合羽(かっぱ)からげて三度笠。

長谷川一夫(駒木野の源八)、
梅若正二(韮崎の佐吉)、黒川弥太郎(佐原の又四郎)、
勝新太郎(野州無宿の徳次郎) 市川雷蔵(妻木兵三郎)

・・・が五人男と思われる。

市川雷蔵は侠客ではないのだが・・
五大スター競演の股旅もの時代劇。

長谷川一夫はいいところ見せまくっています。

旅芸人お藤(木暮実千代)がやくざものに囲まれているところに現れ、
豪勢に小判をばらまいたり、大勢を相手に大立ち回りをしたり。
(もちろん負けない)

この源八、元はれっきとした旗本だと言うが、
立ち居振る舞い、喋り方など、どこからみてもバリバリの渡世人です。

カッコイイ長谷川一夫に、
不肖の子分である勝新太郎がコミカルに絡む。

こたえられません。

黒川弥太郎は出ているだけでその作品の格を上げる役者。
梅若正二の律儀な若親分ぶりもいいけど、
木暮実千代のキップのいい姐御ぶりはなにより必見である。
頼りがいがあり、粋で色っぽい。
姐さんはかくあるべきというお手本。
市川雷蔵はかつて源八と道場仲間だった役人を演じて華を添えている。

股旅ものの魅力に粋な台詞を聞く楽しみがある。

今はあまり聞かれない「さんぴん」
(≪一年間の扶持が三両一分であったところから≫
江戸時代、身分の低い武士を卑しんでいう語―大辞泉)
などという言葉も出ていた。

渡世人同士の立て板に水が流れるような掛け合い、
喧嘩の威勢のいい啖呵や毒づきなど、聞いていて楽しい。

「命を粗末にするねい、あばよ!」「こきゃあがったな!」
江戸吉原でとうとう憎い敵を見つけた際にも、
「花の吉原、血の雨降らすが本意じゃねえ。」
なんて、キザな台詞がさまになる長谷川一夫。

恋人役の勝新太郎中村玉緒
息ぴったりで、映画の中でも似合いのカップルです。

クライマックスは花の吉原での派手な斬り合い。
軽快な音楽が盛り上げる。
昔の映画館の中はこんな場面で喝采が巻き起こっていたのだろう。

長谷川一夫のこってりした声に、絶妙な間合いで絡む勝新の台詞。
鰻重に特大あんころ餅が付いているようなお得感がある映画である。

1958年 加戸敏 監督作品 八尋不二 脚色 川口松太郎原作

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