スポーツはいじめをなくすのか?

「スポーツでいじめ撲滅」軟式野球大会で呼び掛け
プロ野球の根来泰周コミッショナーが25日、日本野球機構主催の軟式野球大会(中略)で、参加者の小学生やその家族らに、いじめをなくそうと呼び掛けた。

 根来さん曰く、「スポーツは潤滑油になる」そうで、それはそれで間違っていないのだと思います。競技を通じて、挫折や達成感を共有することは仲間の結びつきを強くするのに役立つし、スポーツ総研の広瀬一郎さんが言うように、スポーツマンシップはいじめそのものを否定するでしょう。
 でも一方で、児童、学生の間では運動能力の高低が差別意識の醸成につながることもしばしばです。体育の時間で同じチーム内に、上手くできない仲間がいれば、侮蔑の視線が注がれることも珍しくありません。
 スポーツの本質というと難しくてよく分からないのですが、戦う相手同士が勝利を希求してプレーすることでスポーツは生まれます。団体競技で、その勝利を阻害する要因があれば、シンプルに「排除したい」という衝動が発することもあるかもしれません。 「スポーツが潤滑油」となって人間関係を構築するには、勝利至上主義を越えた何かをつかまなければならないのでしょう。それは厳しい練習に共に耐え抜いた「戦友的感覚」なのか、部活動などで長い時間を共に過ごした「仲間意識」なのか。あるいは目的を一にし、成果を共有することによる「盟友意識」なのか。勝利を越えて、技能の巧拙を越えて、スポーツを人間関係の構築に役立てるには、「ただ、そこに競技があるだけではダメ」なのです。

 今後、いじめ対策だけでなく、地域における世代間コミュニケーションのツールとしてもスポーツは注目を高めていくでしょう。その時、ただ施設やクラブを作るだけで終わりにしないためにも、今から「スポーツの機能のさせ方」について、真剣に考えておく必要がありそうです。
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