スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

東日本発祥倉茂記念杯&第五部定理三二

2017-01-17 19:32:16 | 競輪
 被災地支援競輪として行われた大宮記念の決勝。並びは長島‐平原‐牛山の関東,竹内‐吉田‐志智の中部,稲垣‐西川の西日本で小埜は単騎。
 少しばかり牽制になりましたが稲垣がスタートを取って前受け。3番手に長島,6番手に小埜,7番手に竹内で周回。残り2周を過ぎても隊列に変化はなく,バックの入口手前から竹内が上昇して前に。これに続いたのが長島。隊列は凝縮しましたが牛山の後ろに小埜,8番手に稲垣の一列棒状になって打鐘後のコーナーへ。ここから稲垣が動いていき,ホームで長島の外にへばりつきました。長島はどかそうとしましたができず,バックで稲垣が発進。ただ後ろも併走になっていたため,西川ではなく平原がこれを追い,コーナーで稲垣のさらに外へ。吉田は竹内との車間を大きく開けて待っていたのですが,直線では稲垣がこれを交わし,さらに外から平原が稲垣を捕えて優勝。マークの牛山が4分の1車輪差の2着に続いて関東のワンツー。稲垣が4分の3車身差で3着。
                                     
 優勝した埼玉の平原康多選手は11月の競輪祭以来の優勝。記念競輪は7月の小松島記念以来で通算16勝目。地元となる大宮記念は2008年,2010年,2011年,2013年,2015年と優勝があり,2年ぶりの6勝目。このレースは栃木の長島の後ろが埼玉の平原で3番手に茨城の牛山。脚質の違いもありますが,長島の後ろに牛山でもおかしくはないところ。それがこの並びで折り合ったので,長島がする仕事はほぼひとつと思えました。そうなれば平原にとっては楽な展開になったでしょう。ただ,長島は経験は不足していますから,その仕事ができないケースもあり得て,その場合には混戦も予想されたところ。実際にうまく稲垣に蓋をされ,長島は不発に終わりましたから,稲垣や吉田の優勝であってもおかしくなかったでしょう。稲垣にとっては西川との連携が崩れてしまったのが痛かったところ。とはいえ平原は自分のタイミングで発進した稲垣のさらに外を捲って勝ったのですから,内容的にはかなり強かったと思います。

 なぜ第三部諸感情の定義六のように愛amorという感情affectusが定義されることのうちに,スピノザの哲学における意義あるいは重要性が含まれているといえるのかということについては,多面的な角度から検証することができると思います。ただ,『スピノザの生涯』では,独身者が倫理的な関係について異なった判断を下したことについて批判されているので,ここではその倫理的観点から僕自身の見解を述べていくことにします。
 スピノザは人間にとっての愛の対象を人間に限定しませんでした。そして愛は喜びlaetitiaの一種なので,第三部定理五九によってそれは能動actioであり得ます。つまり僕たちは能動的に人間以外の何かを愛することができるのです。そうした能動的な愛について言及した箇所のひとつとして,第五部定理三二があります。
 「我々は第三種の認識において認識するすべてのことを楽しみ,しかもこの楽しみ(eo delectamur)はその原因としての神の観念を伴っている」。
 スピノザはこの定理Propositioにおいては楽しみdelectamurといっていますが,これを感情としてみれば喜びであることはいうまでもありません。そしてその喜びという感情の原因として,神の観念idea Deiを伴っているのです。つまりこれは僕たちが神を愛しているという意味になります。
 この種の神に対する人間の愛がいかなるものであるかということはここでは細かく説明しません。他面からいえばここではこの定理を証明することはしません。ただ,僕が注意を促したいのは,このことは,第三部諸感情の定義六の意味が成立することによって可能になっているという点です。実際,もしフロイデンタールJacob Freudenthalのいうように,妻の私心のなさや,苦痛と喜びから生じる母性愛を規準として愛を定義した場合には,この種の神に対する愛は,愛という感情として成立しないでしょう。あるいは同じように愛といわれるのだとしても,単に名称の上で同一というだけであって,完全に異なった種類の感情であるといわなければならないでしょう。
 繰り返しますが,フロイデンタールのような仕方で愛を定義することを僕は否定したいのではありません。その定義によってスピノザの定義を即座に否定することを僕は問題視するのです。

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