スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

将棋大賞&第四部定理四五系一

2018-04-06 19:17:41 | 将棋トピック
 2日に2017年度の将棋大賞が発表されました。
                                     
 最優秀棋士賞は羽生善治竜王。棋聖防衛,竜王挑戦,奪取,名人挑戦。堅調な成績とはいい難いのですが,竜王を奪取したことにより現時点で可能なタイトルのすべての永世ないしは名誉の称号を獲得し,国民栄誉賞を受賞したことも考慮に入れられたものだろうと思います。1988年度,1989年度,1992年度,1993年度,1994年度,1995年度,1996年度,1998年度,1999年度,2000年度,2001年度,2002年度,2004年度,2005年度,2007年度,2008年度,2009年度,2010年度,2011年度,2014年度,2015年度に続き2年ぶり22度目の最優秀棋士賞。
 優秀棋士賞は菅井竜也王位。王位挑戦,奪取。王位戦で羽生竜王を圧倒したことが評価の対象となったものでしょう。同じように王座を奪取した中村太地王座より勝利数や勝率で上回っていた分,こちらが選出されたということだと思います。初受賞。
 敢闘賞は豊島将之八段。王将挑戦,A級プレーオフ進出。豊島八段は間違いなく大活躍したのですが,タイトルは獲得できませんでしたし棋戦の優勝もありませんでした。こうした棋士がタイトル獲得や棋戦優勝をした棋士を差し置いて選出されるのはどうかと個人的には思います。敢闘賞は初受賞。
 新人賞は藤井聡太六段で,特別賞も合わせて受賞しました。朝日杯将棋オープン優勝。藤井六段は記録四部門の最多対局賞,最多勝利賞,勝率1位賞,最多連勝賞をすべて受賞。最優秀棋士賞でもよかったと思いますが,すぐに獲得することになるのだろうと思います。当然ながらいずれも初受賞。
 最優秀女流棋士賞は里見香奈女流名人。女流王位防衛,女流王将防衛,倉敷藤花防衛,女流王座防衛,女流名人防衛。これは当然の受賞。2009年度,2010年度,2011年度,2012年度,2013年度,2015年度,2016年度に続き3年連続8度目の受賞。
 優秀女流棋士賞は伊藤沙恵女流二段。女流王位挑戦(決定は昨年度),女流王将挑戦,倉敷藤花挑戦,女流名人挑戦。いずれも跳ね返されてしまいましたが,こちらも当然の受賞でしょう。初受賞。女流最多対局賞も初受賞となっています。
 升田幸三賞は青野照市九段と佐々木勇気六段が,横歩取りの先手番での作戦で受賞しました。故人の大内延介九段は振飛車穴熊で升田幸三賞の特別賞を受賞。いずれも初受賞。
 名局賞は竜王戦第四局。そうそうお目にかかれない寄せの手順と僕自身が書いた将棋なので納得です。
 名局賞特別賞は2局で,ひとつが朝日杯将棋オープンの決勝。あの☗4四桂は見事な一手でした。もう一局が竜王戦6組ランキング戦で牧野光則五段と中尾敏之五段が指した420手という持将棋局。これは空前絶後の手数になるだろうと思います。

 僕が排他的思想を産出しやすい感情affectusとして憤慨indignatioをあげたことの説明はこれですべてです。ただ,第四部付録第二四項においては,憤慨が否定される理由として興味深いことが示されていますので,これも検討しておきましょう。
 この項でスピノザが無法律といっているときの法律lexは,当然ながら法治国家における法を意味しています。よってスピノザはここでは国家Civitasとか社会といった観点から憤慨を否定していることになります。法治国家における法は公平なものでなければならないのは事実です。文脈では,憤慨は公平の外観を帯びているけれど不公平な感情であるとスピノザが考えていることは明らかで,だから憤慨は否定されなければならないというように読解するのが適切かもしれません。ただ,法lexというのは同時にその法の下に暮らす市民Civesにとって社会正義でなければならないのも事実でしょう。実際にこの項は正義justitiaについても言及しているのですから,スピノザが憤慨に関して述べている部分を,憤慨は公平の外観を帯びているけれども,社会正義に反するような感情であるといっていると読解したとしても,そう大きな間違いを犯しているとはいえないでしょう。公平であることと不公平であることのどちらが社会正義に適っているかと問われれば,大抵の人は公平であることだと答えるであろうからです。
 よってスピノザは,憤慨は社会正義に反する,いい換えれば社会悪,社会においては悪malumであるといっていることになります。スピノザは第四部定理四五で憎しみodiumは善bonumではないといった後,その直後の備考Scholiumで憎しみを人間に対する憎しみに限定すると明言しています。これを踏まえて第四部定理四五系一では次のようにいわれています。
 「ねたみ,嘲弄,軽蔑,怒り,復讐その他憎しみに属しあるいは憎しみから生ずる諸感情は,悪である」。
 この配置からすれば,第四部定理四五は必ずしも人間に対する憎しみに限定されていないから,悪であるとはいわれずに善ではあり得ないといわれ,その後で人間に対する憎しみに限定されたから,それは善ではあり得ないという弱いいい方ではなく,悪であるという強いいい方になったともいえそうです。
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