10日ほど前、見たことのない木を見つけた。
家に帰って調べると「ハナズオウ」というらしい。
まだまだ知らないことってあるものだ。
そう思うと、なんとなく満足した。
ところが
翌日、その木の前を通っても
名前が出て来ない。
人の名前、人の顔、
最近になって憶えられなくなったものはたくさんある。
結局、その木の名前も思い出せないまま
思い出せないことさえも忘れ
今朝、夢の中でその木の名前を思い出した。
そういえば、あの雨の明け方以来
おにいにゃんの夢を見なくなった。
本人の与り知らぬ眠っているあいだに
記憶はこっそりと上書きされ
悲しみは癒えていく。