想定通りの時間に函館駅に戻り、駅のコンビニでおにぎりを買って、プラットホームに待つ気動車に乗り込みました。

長万部(おしゃまんべ)行きの列車は一両編成の気動車です。
車両の前後に、3人程が座れるベンチシートを備え、それ以外は全てボックス席です。
車外の景色を撮りたいので、窓際の席を探しましたが、進行方向に背を向けた一席しか空きはありませんでした。
それにしても、このそっけない紺色のシートとむき出しの蛍光灯。
動き出せば、床の下からゴウゴウとした低いエンジン音が響きます。
乗客の殆どが普段着や作業着のままで、化粧品や週刊誌の吊りポスターなんて全く見かけません。
そんな雰囲気に包まれた列車の旅が始まりました。

函館駅を発車した列車は五稜郭の次に「桔梗」という駅に停まりました。
桔梗はキキョウと読みますが、花の名前そのものが駅名です。
昔から気になっていたので、今回その由来を調べると、地名そのものが桔梗なのです。
駅のある辺りにキキョウが群生し、住民から桔梗野と呼ばれていたのが由来だそうです。
植物名が付く駅名は珍しくありませんが、植物名そのものの駅名は全国で此処だけかもしれません。

桔梗の次の大中山駅を過ぎた頃、車窓にアカマツの木が見えてきました。

このアカマツは函館市桔梗町から七飯町までの14.3kmに続く松並木で、赤松街道と呼ばれています。
2015年の秋に自転車で北海道を縦断した時、日高の静内町でアカマツを見て、北海道にも松が育つことを知り、松が育つ北限の地が知りたくなったのです。
なので、今回の旅のテーマの一つが「松生育の北限地探し」です。
という訳で、七飯駅付近まで、車窓から松並木の撮影を続けました。

そんな風に、列車の外にカメラを向けて撮影を続けていると、向かいの席に座る男性に何か一言、主旨を説明しておきたいと思いました。
騒がしくした訳ではありませんが、静かな時間を過ごしたい方であれば、少し迷惑だろうかと感じたからです。
多分「どちらまでですか?」とか「お仕事ですか?」とか、そんな問いかけをした気がします。
どんな会話だったか忘れましたが、このETさんは神奈川県の川崎市在住で、青春18きっぷを使って北海道を往復する旅の途中であることが分かりました。
電車が函館駅を出た頃、膝の上にパソコンを置いて、リモートの打ち合わせらしい会話が聞こえたので、仕事の旅かもしれないと思ったのですが、
そうですか! 私と同じように鉄道を楽しむ旅ですか、ちょっとほっとしました。
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