フォート・ウイリアム(Fort William)で朝を迎えました。
真っ赤な朝焼けに空が染まっています。
ということは、今日はあまりお天気が良くないのかもしれません。

私は急いで出発の準備を整えると、車のエンジンをスタートさせました。
フォート・ウイリアムはイギリス最高峰のベン・ネヴィス山(Ben Nevis 1355m)への登山口となっています。
昨晩、通りすがりにその姿を確認したので、今朝は麓から、朝日の当たる山容をカメラで捉えようと考えていました。
2~3キロ戻れば撮影ポイントが探せるだろうと考えたのですが、立木が邪魔で、思うようなポイント見つかりません。

周囲をあたふたと走り廻っている時に、ピークが赤く染まってきました。
しかし、それはほんの一瞬でした。
次の瞬間に東の空の雲が光を遮り、瞬く間に山は平凡な表情に戻ってしまったのです。

まあ、そんなものです。
ちょこっと寄って、良い写真を撮ろうなんて、そんな都合の良いことが簡単にできるはずはありません。
分かってはいるのですが、何事もチャレンジ。
人生と同様、駄目でもともと、ダメモトです。
再び、フォート・ウイリアムへ戻ると、港の様子や、鉄道ファン憧れのジャコバイト号という蒸気機関車が走るウエスト・ハイランド鉄道の始発駅を見学したり、もう二度と訪れることはないかもしれない街の様子を目に焼き付けました。


街を離れると程なく、グレンコー(Glen Coe)渓谷へと入って行きます。
この渓谷の絶景は、スコットランドの中でも3本指の中に入ると評されています。

最初にビデアン・ナム・ビアン(Bidean nam Bian)山が出迎えてくれました。

麓に一軒の農家が見えます。

しばらく進んで振り返れば、私は今、美しい渓谷のまただ中に居ることが確認できます。

麗しい曲線が山裾をなす景観を楽しみながら、何度も路肩に車を停め、走りながらも手からカメラを放さず、シャッターを押し続けました。


岩凌に分け入る道が、急斜面を登っています。

渓谷の出口、曠野を目の前に見て、一軒の農家の姿を認めました。
牧畜を生業とする人々の住処は、静かで孤独で、そして逞しくもあります。

この光景を見ていると、暖かい陽射しの中で、蛙鳴く田の傍に肩寄せ合って暮らす、陽出る國の民と、思考方法が異なるのは無理からぬことと思えてきました。
美しい渓谷を抜けて、風の中に道は続き、

ラノッホ湿原と名付けられた、湖沼の広がる光景の中へと進んできました。


そしてそこでも、ジギタリスのピンクの花群れが、静かな風の中に揺れていました。

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