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最長距離をはしる鈍行列車の記憶

2019-10-18 16:29:58 | 「青春18きっぷ」花の旅 北海道

 

 青函フェリーで夜中の津軽海峡を渡り、フエリーが着くと、夜明け前の道を、青森埠頭ターミナルから青森駅まで歩きました。

 


 

 しかし、朝の4時頃に青森駅へ着くと、

 

 

 

 駅舎はドアが閉じられ、5時20まで中に入れないことが分りました。

 

 よかった夏で! 冬なら凍え死んでいたかもしれません。

 


 

 駅前のコンビニでホットコーヒーを買い求め、駅舎前の石のベンチに座り、ドアが開くのを待ちました。

 

 そういえば、私が青森駅を利用するのは青函連絡船が運行されていた時以来かもしれません。

 

 あの頃の青森駅は、夜間でも絶え間なくフェリーが発着し、駅舎が閉ざされることはなかったのです。

 

 リンゴ色の帯が印象的な弘前行きの普通列車は、5時46分に青森駅を発車しました。

 


 

 列車はリンゴ畑の中を進みます。

 


 

 弘前で秋田行きの快速に乗り継ぎました。

 

 列車は小雨模様の、木立に囲まれた線路を走り、視界は優れません。

 

 そして1時間程の後、東能代に列車が停車したとき、私はホームに掲げられた「檜山城址と北限の茶畑 能代」の掲示物を見て驚きました。

 

 実はこの掲示を見るまで、私は茶畑の北限は岩手県の大船渡辺りだと思い込んでいたのです。

 

 いつものように「能代 茶畑」で検索してヒットしたページに、

 

 「300年ほど前の江戸時代中期に栽培が始まった秋田県能代市の檜山茶」という記述を見つけました。

 

 江戸時代から、檜山地域には、武士の製茶として茶栽培が根付いた歴史があるのだそうです。

 

 そういえば、能登半島がツバキ自生の北限と言われますので、この辺りに同じツバキ科の茶畑があっても不思議ではありません。

 

 追記:茶の北限に関するその後の調査で、青森県黒石市に自家消費用に茶が

    栽培されているそうです。

    また、北海道積丹半島の古平町禅源寺に茶の木が栽培されているそ

    うです。(2021年7月に禅源寺を訪ね、確認してきました

 

 それにつけても思うのは、千利休の影響の大きさです。

 

 彼によって日本に茶道が確立されなければ、この地で武士が育てる茶畑は無かったかもしれません。

 


 

 列車は八郎潟周辺でゲリラ豪雨の影響を受け、1時間程遅れて秋田駅に到着しました。

 


 

 秋田で無事に、10時16分発の奥羽本線新庄行きに乗り換えました。

 

 奥羽本線を利用するのは、50年程前の学生時代に周遊キップを使って、青森から上野行き鈍行直通列車に乗車して以来のことです。

 

 この鈍行列車は、その当時に最長距離(756.8km)を運行する鈍行列車だった記憶があります。

 

 車体中央に運転席が設けられたジーゼル機関車に牽かれた、木製座席の茶褐色の客車の最後尾に座り、客車出入口の引き戸の窓ガラス越しに、過ぎ去る線路を眺め続けた記憶が蘇りました。

 

 電車は小雨がぱらつく空模様の下、車窓に広がる広大な田の中を走り続け、

 


 

 秋田山形県境の雄勝峠へと上ってゆきます。

 

 周囲に秋田杉の林が連なりました。

 


 

 峠を越えると、電車は及位駅に停車しました。

 

 駅名の及位は「のぞき」と読みます。

 

 無人駅の周囲はクズや雑草に覆われていました。

 

 この地名の由来は、近くの女甑山(めこしきやま)の険しい断崖の途中に女陰のような「赤穴」があり、修行者が崖に宙づりとなって赤穴に安置された秘仏を拝む命がけの荒行を修めると、高い行者の「位」を得ることができたからだそうです。

 この行に「及第」した行者の位は「及位」と書いて「のぞき」と呼ぶようになり、やがて女甑山付近も「及位」と呼ばれるようになったのだそうです。

 


 

 そして秋田から奥羽本線を走り続けて来た電車は、12時56分に山形新幹線が停まる新庄駅に到着しました。

 

 

 

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