登山道を登り始めるとすぐに高山植物が現れました。
チシマアザミは北海道の低地から亜高山帯に育つアザミで、紅紫色の頭花を下向きに咲かせます。
チシマアザミ
コウメバチソウは北海道から本州中部以北の高山帯に分布する多年草です。
右下写真のように、花を拡大すると、仮雄蕊は9裂しています。
山と渓谷社の「日本の高山植物」によれば、コウメバチソウは仮雄蕊が7~9裂、エゾウメバチソウは9~14裂と記載されますので、エゾウメバチソウの可能性もありそうです。
コウメバチソウ
ミミコウモリは北海道と東北の山地に育つ多年草で7~9月に花を咲かせます。
葉の基部が耳状に広がって茎を抱く特徴があります。
ミミコウモリによく似たコモチミミコウモリは耳状の場所にムカゴが付きます。
ミミコウモリ
タイセツトリカブトだろうと思わせる花が咲いていました。
トリカブトも判別が難しい花です。
エゾノホソバトリカブトがよく似ており、両者は雌蕊に生える毛などの違いで区別しますが、私は識別できません。
タイセツトリカブト
ヤマハハコとミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)が咲いていました。
どちらも北海道の山で普通に見られますが、登山道を登りながら花に出会うと、すぐに名前がでてこなくて、一人で「ほら、あれだよ、あれ」と呟きながら、その場をやり過ごします。
ヤマハハコ ミヤマアキノキリンソウ
タカネスイバはタデ科の多年草で、葉の基部が左右に張り出しています。
タカネスイバ
そして、イネ科のお嬢さん、あなたのお名前は?
標高が上がるにつれて、目にする植物が変化してゆきます。
シナノチシマキンバイソウとナガバキタアザミが現れました。
シナノチシマキンバイは大雪山のあちこちで群落が見られますが、その景観は夏の大雪を代表するものの一つです。
修正:長年シナノキンバイソウと思い込んでいたのですが、チシマキンバイソウ
のようです。
チシマキンバイソウは花弁が雄蕊と同じ長さ(花弁に見えるのは萼です)
シナノキンバイソウは大雪に分布しないらしいのです。
時期的にタイミングが遅いと思ったのですが、お目に掛かれて幸栄です。
ナガバキタアザミも北海道の山で普通に見られる花ですが、花をクローズアップすると、淡紫赤の花冠と黒い総苞の配色がなかなかにお洒落です。
シナノキンバイソウ ナガバキタアザミ
北海道の山の晩夏、懐かしい花との出会いを楽しみながら黒岳を登り続けました。
この辺りで、ピークまでの半分ほどを登ったことになります。
ここまで登山道には岩が露出し、クマザサや灌木が視界を遮り、重いザックを背負った縦走登山者は、この辺りで一息入れたくなる頃です。
「青春18きっぷ」花の旅もここで一息入れて、ページを改めます。
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