長万部で乗り継ぐ倶知安行き普通列車は13時18分に発車します。
まずは、この街で昼食を摂る必要があります。
駅前ロータリーに店を構えたソバ屋が見えましたが、食指は動かず、駅から離れて左方向に、長万部市街を気ままに歩き始めました。
暫く進むと、広い駐車場を備え、RALSE martの看板を掲げたスーパーが見えてきました。
街の様子から、食事処を探すよりスーパーの食品売り場で弁当を見繕う方が無難と考え、スーパーに入って行きます。
ぞして選んだのが、手作りカツ丼398円です。
本日の特売品、サントリーの日本茶2リットルを100円で購入し、清算後にレジの後ろで、ザックの中の500mlの空きペットボトル2本に日本茶を小分けしました。
残った日本茶は、作業を横で見ていた小父さんに、「このお茶を貰ってくれませんか」と言いながら手渡しました。
「極力荷物を軽くする」ことが旅と人生を楽しむセオリーです。
公園でも探して弁当を食べようかと考え、出口へ向かうと、玄関脇にテーブルとイスが設けられていたので、ここで昼食を摂ることにしました。
食べ終わった弁当のカラはスーパーのゴミ箱に捨てて、ペットボトル2本に小分けした日本茶を背に、市街へと歩を進めました。
駅前に掲げられていた市街図ガイドに、徒歩圏内で観光対象になりそうな施設はなく、取り敢えずは海の景色を楽しもうと、海岸に向かって歩き始めました。
数分で海岸に着くと、国道5号が海岸線に沿って南北にはしり、
国道を渡った歩道に平行して、胸の高さ程の防波堤が続いていました。
防波堤の上から浜を覗くと、堤防の真下にイネ科を主とする一筋の緑が見えるだけで、波打ち際はすぐ目の前です。
波打ち際まで砂浜の広がりがあれば、海浜植物を楽しもうと考えていたのですが、すっかり当てが外れました。
しかしそれはそれとして、北国の夏の昼下がり、穏やかな波の音を聞きながら、爽やかな海風に吹かれ、微かな雲の動きを目で追い、なにもしなくてもいい贅沢な時間を存分に楽しませてもらいました。
そんな時、愛嬌を振りまきながら誰かが国道を渡って来ました。
近くに来たので、「名前は何て云うの?」と聞きましたが返事はありません。
散策後に駅へ戻ると、駅舎に併設された長万部観光案内所のポスターを見て、彼の名は「まんべくん」であることを知りました。
国道をはしる車の中から、カメラを向ける人達を数多く確認しましたので、北海道では名が知られた存在なのでしょうか。
ちなみに、観光案内所のパンフレットには、「まんべくん」の手は長万部名産のカニ、耳はホタテ、頭にアヤメが添えられると記されていました。
「まんべくん」が去った後、防波堤を乗り越え海岸に降りてみました。
コンクリートの壁を背にした、ハチジョウナが花を咲かせていました。
葉の基部が茎を抱いて、ふちに鋸歯がみえます。
海岸から駅へ戻る途中で、民家の塀際にアザミの花が咲いていました。
アメリカオニノアザミのようです。
そしてその隣に咲いていたキク科のお嬢さん。
君の名はと問えど、答えはありません。
コウゾリナかと思うのですが、私にとってキク科は次なる課題です。
更にこの人、すぐに名前が出ませんが、
ん! 白花のゲンノショウコですかね。
などと、長万部の2時間はあっという間に過ぎてしまいました。
「青春18きっぷ」花の旅 北海道 indexをご利用下さい。
全ての「花の旅」はこちら → 「花の旅」 総合目次
筆者のホームページ 「PAPYRUS」