映画音楽「キングコング対ゴジラ」“King Kong vs. Godzilla” 伊福部昭(解説:藤田崇文)

2024-01-08 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「キングコング対ゴジラ」メインタイトル
“King Kong vs. Godzilla” - Main theme
■音楽:伊福部昭 (Akira Ifukube) [1914年5月31日 - 2006年2月8日] 

映画オリジナルスコア使用  Score no.1/ no.8/ no.15B/ no.26B(共通スコア)
監督:本多猪四郎 / 特技監督:円谷英二 / 公開1962.8.11 / 製作会社=配給:東宝=東宝 カラー 97分


 東宝創立30周年記念として、監督本多猪四郎、特技監督円谷英二、製作田中友幸のトリオで製作されたゴジラ映画第3作。ここでの音楽は、南太平洋メラネシアに位置するソロモン諸島の1つ「ファロ島」が舞台となる。
 伊福部は南方原住民の音楽を描き出している。民族太鼓が主導し、オスティナートのリズムと重圧な弦楽合奏が妥協することなく延々と繰り返される中、原始的な笛が聴こえてくる。これをフルート、オーボエ、トランペットのユニゾンで表現する。さらに、南方語(ポリネシアとメラネシアの混合語)で “ a si a na ro i a se ke sa mo a i …” と、ファロ島原住民の歌が強烈に何度も繰り返され、金管楽器のミュート機能効果が高揚感を与え、音楽が迫り寄ってくる。「ファロ島の祈りの歌」の名としてもゴジラファンに愛され、語り継がれている。

<楽譜管理:東京音楽大学 / パート譜制作:東京ハッスルコピー>

▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
King Records,The Greatest Japanese Film Scores SYMPHONIC FILM SPECTACULAR 12

▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
The Greatest Japanese Film Scores: Planning supervision(Takafumi Fujita)

映画音楽「怪獣大戦争」マーチ “Invasion of Astro-Monster” - March 伊福部昭(解説:藤田崇文)

2024-01-08 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「怪獣大戦争」マーチ 
“Invasion of Astro-Monster” - March
■音楽:伊福部昭 (Akira Ifukube) [1914年5月31日 - 2006年2月8日] 

映画オリジナルスコア 〜 編纂:藤田崇文
監督:本多猪四郎 / 特技監督:円谷英二 / 公開1965.12.19 / 製作会社=配給:東宝=東宝 カラー 94分


 ゴジラ映画第6作。新衛星X星が発見された。X星探検に派遣された地球連合宇宙局局員は同星に降り立ち、地球よりはるかに科学の進んだX星人に遭遇する。地球征服を企てるX星人は言葉巧みにゴジラとラドンを手中に収め、宇宙超怪獣キングギドラも操って人類に総攻撃をかけてくる。地球人側はいかなる対抗策を見出すのか。
 「怪獣大戦争」マーチは、地球側がX星円盤を攻撃するシーンのマーチで、伊福部が戦時中に書いた吹奏楽曲「古典風軍樂《吉志舞(きしまい)》」第2旋律が基になっている。映画中では、スコア冒頭(ピアノ内部奏法あり)から演奏し、1分46秒で終了するバージョンはメインタイトル(no.1)として。リハーサルマーク [A](10小節目)からスタートして3分間演奏するバージョンは「怪獣大戦争」マーチ(no.23)となっている。このアルバムでの演奏バージョンは、no.1 とno.23の両方を備え、終結している新バージョン2021として録音した。「自衛隊マーチ」の愛称でも人気を得る曲である。

<楽譜管理:東京音楽大学 / パート譜制作:東京ハッスルコピー>

▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
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▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
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映画音楽「怪獣総進撃」“Destroy All Monsters” 伊福部昭(解説:藤田崇文)

2024-01-05 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「怪獣総進撃」
“Destroy All Monsters”  -  Main theme, March, Great Tokyo Attack
■音楽:伊福部昭 (Akira Ifukube) [1914年5月31日 - 2006年2月8日]                 

メインタイトル 映画オリジナルスコア 〜 編纂:藤田崇文
マーチ     映画オリジナルスコア使用Score no.2/ no.20/ no.28/ no.15A(共通スコア)
東京大襲撃    映画オリジナルスコア使用 Score no.14/ no.16/ no.25B / no.26B / no.27(共通スコア)
監督:本多猪四郎 / 特技監督:有川貞昌 / 公開1968.8.1 / 製作会社=配給:東宝=東宝 カラー 89分


 ゴジラ映画第9作。二十世紀の終り近く。地球上の怪獣はすべて小笠原諸島の海洋牧場の怪獣ランドに集められ、コントロール・センターの研究材料になっていた。このセンターの管理によって人類は怪獣の脅威から遠ざかることができた。ところが、怪獣ランドに棲む怪獣たちが全世界に現れ、街を破壊しだす。地球征服を狙うキアラク星人の企てであった。地球人側は怪獣たちを奪いかえす作戦に一丸となって向かっていく。
 「メインタイトル」はゆったりとしたバスフルートとドラの掛け合いからはじまり、金管楽器のフォルティッシッシモの大音響が鳴り響く。東宝マークとタイトル・クレジットに付された音楽である。このフレーズは《SF交響ファンタジー第3番(1983)》の冒頭にも登場し、イントロダクションをなす。
 「マーチ」は 4/4拍子、2/4拍子を組み合わせたマーチからはじまり、立体的に構成される。《SF交響ファンタジー第1番(1983)》にも、この「怪獣総進撃」マーチ原曲を基に新しくオーケストレーションし直されたものが登場する。
 「東京大襲撃」のオーケストラは重々しく演奏され、巨大感を象徴する。のちに書かれ、この音楽を基にして新しくオーケストレーションし直された《SF交響ファンタジー第1番(1983)》にも登場し、“pesante molto”(常に重々しく)の発想記号が付け加えられた。

<楽譜管理:東京音楽大学 / パート譜制作:東京ハッスルコピー>


▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
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▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
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▶︎「怪獣総進撃」メインタイトル


▶︎「怪獣総進撃」 マーチ


▶︎「怪獣総進撃」 東京大襲撃

映画音楽「八甲田山」 “Mt. Hakkoda” 芥川也寸志 (解説:藤田崇文)

2024-01-05 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「八甲田山」
“Mt. Hakkoda” : Main theme, Tokushima Team, Ending theme
■音楽:芥川也寸志 (Yasushi Akutagawa) [1925年7月12日 - 1989年1月31日]             

八甲田山(タイトル)テーマ   映画オリジナルスコア使用 no.1
徳島隊銀山に向う        映画オリジナルスコア使用 no.10
終焉              映画オリジナルスコア使用 no.38
監督:森谷司郎 / 公開1977.6.18 / 製作会社=配給:橋本プロダクション、東宝映画、シナノ企画=東宝 カラー 169分


 真冬の青森県・八甲田山の山中でふたつの連隊が雪中で演習行軍し、199名の死者を出した「八甲田山雪中行軍遭難事件」を題材にした超大作映画。新田次郎の原作『八甲田山死の彷徨』をもとに、大部隊で自然を克服しようとする部隊と小数精鋭部隊で自然にさからわず、折り合いをつけようとする部隊の様子を冬の八甲田山を舞台に描く。極寒の八甲田で長期撮影を敢行し、出演者の中には脱落者が出たとも伝えられる。正に本物の雪の恐怖が観る者に襲いかかる。日本映画界で未曾有の大ヒットを記録した。
 音楽は芥川也寸志。映画冒頭、秋の景色の八甲田山を背景に「八甲田山テーマ」が流れていく。ヴァイオリン、ビオラ、チェロの弦楽器ユニゾンがニ短調による第1主題を聴く者の胸に深く入り込むように謳う。第2主題はトランペット、ホルンがドライに奏で、再び弦楽器にテーマが受け継がれる。演奏会スタイルでは、第1主題と第2主題をダ・カーポし、もう一度演奏する場合があるが、このアルバムではリピートせずに、映画版そのものを再現した。
 「徳島隊銀山に向う」は冬景色の山道を歩くシーンで、十和田湖西岸の銀山を目指して徳島隊が列をなして行進していくくだりに奏される。小太鼓の刻みにシンバル、大太鼓が加わるマーチ・スタイルではあるが、通常2拍子の行進曲ではなく、誤った方向へ進んでいくかのような描写に「3拍子の音楽」が被さることで、観る者に危機感を抱かせる。
 真冬の八甲田山で起こったあの「事件」を記憶する者も少なくなった。長い歳月が流れ、今はすっかり平和な時代となった。青森ねぶた祭の歓声に沸く頃、ロープウェーから八甲田の自然を窓から静かに眺める一人の老人がいた。青森歩兵第五連隊で生き抜いた村山伍長である。草木に覆われた穏やかな八甲田山系の山々を彼はただただ見つめていた。芥川は1曲目のテーマ同様、ニ短調の音楽で「終焉」を締めくくる。ビオラ、チェロが主旋律を奏でる中、ハープのアルペジオとともに内声の静かな動きにフラットやナチュラル、シャープで音の半音上下を駆使し、静かな回想に心を向かわせる。次々に楽器が加わって大オーケストラへの響となり、更なる回想が胸に迫り、村山伍長の瞳に万感の思いが浮かび上がる。
 芥川也寸志の映画曲を代表する作品のひとつで、1978年第1回日本アカデミー賞音楽賞を受賞。

<楽譜管理:全音楽譜出版社>


▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
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▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
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▶︎「八甲田山」 八甲田山 メインテーマ

▶︎「八甲田山」 徳島隊銀山に向う


▶︎「八甲田山」 終焉

映画音楽「妖怪大戦争」 “Yokai Monsters: Spook Warfare” 池野成 / 藤田崇文 (解説:藤田崇文)

2024-01-05 | 解説(音楽解説・曲目解説)
映画音楽「妖怪大戦争」 “Yokai Monsters: Spook Warfare”
■音楽:池野成 (Sei Ikeno) [1931年2月24日 - 2004年8月13日] 
■映画音楽演奏会用編曲スコア 2006(構成・編曲:藤田崇文)
監督:黒田義之 / 公開1968.12.14 / 製作会社=配給:大映京都=大映 カラー 79分

 江戸時代の日本を征服しようと、4000年の眠りから覚めた吸血妖怪ダイモンがバビロニアの古都ウル遺跡から日本に襲来する。河童、雲外鏡、轆轤首らの日本古来の妖怪たちは日本の平和を守るために一致団結、総力を挙げてダイモン討伐に乗り出していく。日本妖怪連合軍 vs. 極悪妖怪ダイモンのスペクタクル映画。1960年代末に空前の妖怪ブームを生み出した大映京都撮影所の妖怪シリーズ第2弾である。
 音楽は池野成が担当した。池野は生前、映画音楽を200作ほど担当し、映画を音楽面から支えた作曲家の一人である。池野死去後、弟子や仲間たちが池野の追悼演奏会を開こうと企図し、残されたオリジナルスコアを吟味していった。演奏曲候補に「妖怪大戦争」が上がった。ところが、オリジナルスコアは劇伴音楽ゆえに映像優先に音が書き加えられていたり、画に合わせるために音を差し込んでいたりするために断片的で数秒の効果音的な音楽で占められていた。旋律を奏でるテーマ音楽もなく、数秒間の音楽を数曲演奏することに聴衆への説得性に不安が残った。結果、映画音楽演奏会用に筆者が構成と編曲を担当することになり、2006年11月23日に開催された「池野成メモリアルコンサート(晴海・第一生命ホール」で披露された作品がこの「妖怪大戦争」である。
 映画に登場するシーンとともに、11章からなるオーケストラ組曲に仕上げ、オーケストレーションや曲の長さも演奏会用にかなり大胆に拡大した。オリジナルスコアにある池野独特のトーン・クラスターや強迫する金管楽器、打楽器の音圧による狙いや仕掛けを探りながら意図を心得、全体構想も尊重した。映画の進行に従った構成を採り『1.バビロニアの魔性出現/2.「ダイモン」メインテーマ/3.決闘シーン/4.河童対ダイモン/5.間奏部/6.ダイモン復活/7.妖術、火焔攻撃/8.日本妖怪連合軍大集結/9.水軍空軍参上、大戦争シーン/10.日本妖怪の勝利/11.平和』とし、平穏の訪れを告げて終曲へ至り、約10分の楽曲として完成した。弦楽器の切迫感、トロンボーンのグリッサンドや連打するティンパニが聴きどころとなる。

<楽譜管理:東京音楽大学(オリジナルスコア1968)/ 映画音楽演奏会用編曲スコア2006(藤田崇文蔵書)


▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
King Records,The Greatest Japanese Film Scores SYMPHONIC FILM SPECTACULAR 12

▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
The Greatest Japanese Film Scores: Planning supervision(Takafumi Fujita)





◾️ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47  (日本フィル・曲目解説:藤田崇文)

2023-12-18 | 解説(音楽解説・曲目解説)
日本フィルハーモニー交響楽団第756回東京定期演奏会
プログラムノートより


2023年12月8日 (金) 19:00 開演
2023年12月9日 (土) 14:00 開演
サントリーホール


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プログラム・ノート(曲目解説への前文) 藤田 崇文


<混迷を深める現代において、オーケストラが放つメッセージ>

 新首席指揮者カーチュン・ウォンが登場する2023年12月の東京定期演奏会は、桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフへの思いも込めショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏とともに、混迷を深める現代において、この曲が放つメッセージが届けられる。そしてコンサート冒頭には先日惜しくも逝去した外山雄三を追悼し、交響詩《まつら》を演奏。この曲は日本フィル恒例行事である九州公演に深くゆかりのある作品で、日本フィルにとっても大切な宝物のひとつであるといってよいであろう。生前の外山の業績を振り返り、日本フィルから作曲者へ感謝の意を表し特別に演奏される。次に演奏されるのは伊福部昭のマリンバ協奏曲《ラウダ・コンチェルタータ》である。これまでも伊福部作品において名演を繰り広げてきたウォン&日本フィルの熱い演奏と注目されるマリンビスト池上英樹の共演に期待が高まる。


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◾️ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47  (曲目解説:藤田崇文)


 ドミートリイ・ショスタコーヴィチ(1906サンクトペテルブルク〜1975モスクワ)はソビエト連邦(現ロシア)の作曲家でサンクトペテルブルク音楽院にて作曲をマクシミリアン・シテインベルクに学んだ。音楽院時代、父親の死により経済的困難に陥ったが、自らのアルバイト、音楽院院長アレクサンドル・グラズノフの強力な援助もあって勉学を続けピアノ科と作曲科を卒業している。生涯で15作の交響曲を遺し、その中でも「第5番」は演奏機会が多く、1937年の初演はエフゲニー・ムラヴィンスキー指揮、レニングラードフィルによって大成功を収めた。
 ショスタコーヴィチは芸術音楽における20世紀最大の作曲家のひとりと称され、作曲家としての地位を確立させた時期と作品は、1934年に初演された、オペラ《ムツェンスク郡のマクベス夫人》であった。レニングラードとモスクワで大成功を収め、翌年以降はクリーブランド、ニューヨーク、コペンハーゲン、チューリヒと諸外国都市でも上演され、作曲家としても市民権を得ていく。ところが、1936年1月28日のソビエト共産党機関誌〈プラウダ(Pravda)〉に『支離滅裂で音楽ではない』という論評にはじまり、オペラや作曲姿勢を攻撃され、創作意欲や活動にも多くの制約をもたらした。交響曲第4番は練習途中で初演を取り止め、作曲の筆もしばらく休めた。この悲劇的時期にショスタコーヴィチを奮い立たせ、1937年4月18日から7月20日までの3カ月間に一気に筆を走らせた作品が交響曲第5番である。名誉も回復する作品となった。
 交響曲第5番の印象を指揮者カーチュン・ウォンが日本フィルのインタビューに対し単刀直入に答えており興味深いので紹介したい。『第1楽章の幕切れのチェレスタの響きは鳥肌が立つほど恐ろしく、第2楽章の皮肉に満ちたスケルツォは、誰かに銃を向けられ無理矢理踊らされているかのようです。第3楽章の果てしない孤独では、クラリネットの金切り声が人間的なテクスチャを作り出します。第4楽章のクライマックスはまるで人間の頭に釘を打ち付けながら、白いものを黒と言わせているかのようです』と語っている。
 特に第4楽章の主題(旋律)は単調に始まり、クライマックスは同主題が長調へと、勝利への音楽と導かれるかのようである。現実の矛盾に直面しながら誠実に創作活動を続けたショスタコーヴィチ、そして悲劇的時期に遺した交響曲第5番は、混迷を深める現代においても、この曲が放つメッセージとともに聴く人の心に深く刻まれるであろう。

(1937年11月21日初演・レニングラード)

●楽器編成 : ピッコロ 1 、フルート 2 、オーボエ 2 、E♭管 クラリネット1、クラリネット2、ファゴット2、コントラ・ファゴット 1、ホルン 4、トランペット 3 、トロンボーン 2 、バス ・トロンボーン 1 、テューバ1 、ティンパニ 、 大太鼓 、小太鼓 、シンバル 、トライアングル 、シロフォン 、銅鑼 、グロッケンシュピール、ハープ 2 、ピアノ1(チェレスタ弾替1)、弦楽5部。

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▶︎外山雄三:交響詩《まつら》
▶︎伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》 
▶︎ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47

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▼第756回東京定期演奏会 プログラム公開(無料)


▼この公演はライブ配信が行われています。(有料)

◾️伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》 (日本フィル・曲目解説:藤田崇文)

2023-12-18 | 解説(音楽解説・曲目解説)
日本フィルハーモニー交響楽団第756回東京定期演奏会
プログラムノートより


2023年12月8日 (金) 19:00 開演
2023年12月9日 (土) 14:00 開演
サントリーホール


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プログラム・ノート(曲目解説への前文) 藤田 崇文


<混迷を深める現代において、オーケストラが放つメッセージ>

 新首席指揮者カーチュン・ウォンが登場する2023年12月の東京定期演奏会は、桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフへの思いも込めショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏とともに、混迷を深める現代において、この曲が放つメッセージが届けられる。そしてコンサート冒頭には先日惜しくも逝去した外山雄三を追悼し、交響詩《まつら》を演奏。この曲は日本フィル恒例行事である九州公演に深くゆかりのある作品で、日本フィルにとっても大切な宝物のひとつであるといってよいであろう。生前の外山の業績を振り返り、日本フィルから作曲者へ感謝の意を表し特別に演奏される。次に演奏されるのは伊福部昭のマリンバ協奏曲《ラウダ・コンチェルタータ》である。これまでも伊福部作品において名演を繰り広げてきたウォン&日本フィルの熱い演奏と注目されるマリンビスト池上英樹の共演に期待が高まる。

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◾️伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》 (曲目解説:藤田崇文)

 伊福部昭(1914北海道〜2006東京)は、作曲家、音楽教育者として活躍し、作曲を独学で学んだ。「ゴジラの音楽」は広い世代に知られており、ゴジラの作曲をはじめとする300作の映画音楽は根強いファンに支持されている。伊福部音楽の特徴は「オスティナート(繰り返しの演奏法)」である。「ゴジラ」もそうであるように、延々と続く押しの強い音楽と様々な楽器を重ね合わせるオーケストレーションは土俗的かつ力強い高揚感を持ち合わせる。そのオスティナートは《ラウダ・コンチェルタータ》にも当然のごとく取り入れられ、特にクライマックスに向かうにつれ、マリンバの激しい打法と動き、大胆なオーケストラの響きを存分に味わうことができる。
 この曲は1978年平岡養一の木琴演奏活動50周年記念の為に書かれた木琴と管絃楽の作品であったが演奏されないまま、マリンバソロ用に加筆され、1979年山田一雄指揮、新星日本交響楽団 (現・東京フィル)にて安倍圭子との共演により初演された作品が現在の《ラウダ・コンチェルタータ》である。平岡が使用したシロフォン(木琴)は米・ディーガン社製最低音F(ファ)から最高音C(ド)の3オクターブ半音域で伊福部もソロパートを最低音Fまで使用した。その後、マリンバ用に1オクターブ低音域を増やし4本バチでの演奏スタイルへ拡大した。
 伊福部は初演時の説明に『ゆるやかな、頌歌風な楽案は主として管絃楽が受け持ち、マリンバは、その本来の姿である打楽器的な、ときに野蛮にも近い取扱いがなされています。この互に異なる二つの要素を組み合わせること、いわば、祈りと饗性との共存を通して、原始的な人間性の喚起を試みたのです』と語っている。デッサンには[LAUDA ANTICA、古代の頌歌、シャーマン頌歌、Ode of Shaman 、shamanism]などタイトルメモが残され、北方・ユーラシア古代のシャーマニズムという民族的・宗教的・霊的知恵を意識した世界観が流れてくる。
 近年、日本管打楽器コンクールマリンバ部門においてラウダが本選曲となりマリンバ奏者の登竜門曲としても愛されている。なお、ラウダのデッサン92枚を含める他曲の直筆譜・楽譜等1300点は伊福部が学長を務めた東京音楽大学に保管され、付属図書館から伊福部昭デジタルアーカイブと所蔵目録 (OPAC) の公開が始まっている。

(1979年9月12日初演・東京)

●楽器編成:独奏マリンバ、ピッコロ1、フルート1、 オーボエ2、イングリッシュ・ホルン1、クラリネット2、 バス・クラリネット1、ファゴット2、コントラ・ファゴット1、ホルン4、トランペット3、トロンボーン2、バス・ト ロンボーン1、テューバ1、ティンパニ、大太鼓、トムトム、ティンバレス、ハープ、弦楽5部。 

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▶︎外山雄三:交響詩《まつら》
▶︎伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》 
▶︎ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47

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◾️外山雄三:交響詩《まつら》 (日本フィル・曲目解説:藤田崇文)

2023-12-18 | 解説(音楽解説・曲目解説)
日本フィルハーモニー交響楽団第756回東京定期演奏会
プログラムノートより

2023年12月8日 (金) 19:00 開演
2023年12月9日 (土) 14:00 開演
サントリーホール

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プログラム・ノート(曲目解説への前文) 藤田 崇文


<混迷を深める現代において、オーケストラが放つメッセージ>

 新首席指揮者カーチュン・ウォンが登場する2023年12月の東京定期演奏会は、桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフへの思いも込めショスタコーヴィチ交響曲第5番の演奏とともに、混迷を深める現代において、この曲が放つメッセージが届けられる。そしてコンサート冒頭には先日惜しくも逝去した外山雄三を追悼し、交響詩《まつら》を演奏。この曲は日本フィル恒例行事である九州公演に深くゆかりのある作品で、日本フィルにとっても大切な宝物のひとつであるといってよいであろう。生前の外山の業績を振り返り、日本フィルから作曲者へ感謝の意を表し特別に演奏される。次に演奏されるのは伊福部昭のマリンバ協奏曲《ラウダ・コンチェルタータ》である。これまでも伊福部作品において名演を繰り広げてきたウォン&日本フィルの熱い演奏と注目されるマリンビスト池上英樹の共演に期待が高まる。

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◾️外山雄三:交響詩《まつら》 (曲目解説:藤田崇文)

 外山雄三(1931東京〜2023長野)は、指揮者、作曲家として活躍し、NHK交響楽団正指揮者他、地方オーケストラの音楽監督を歴任し楽団運営にも力を注いだ。外山は東京芸術大学で下総皖一に作曲を学び、代表作のひとつに日本民謡をモチーフにオーケストラ作品として作曲した《管弦楽のためのラプソディ》がある。日本各地に古くから受け継がれる民謡や祭囃子の音をオーケストラによって人々の心に鮮明に蘇る作品を遺し日本各地の美しい風景や賑わいを思わせる。そして、同じく日本的モチーフをオーケストラに取り入れた《まつら》は、玄界灘に面した城下町唐津の古称、松浦(まつら)地方の音楽を表現している。夜明けを思わせる情景を冒頭に置き、「唐津くんち」の祭囃子を題材に祭りが最高潮に達する賑わいをオーケストラで表現し、当時日本フィル音楽監督であった渡邊曉雄の指揮で初演された。
 この作品が生まれるまでの物語を少し触れてみたい。外山は日本フィルにとっても大切な指揮者であり、作曲家である。外山が日本フィルを最初に指揮したのは1973年2月のこと。旧財団が前年に解散し楽団がもっとも苦しい時期と重なる。その後も楽団の活動に心を寄せ、1977年には《花を捧げる》を作曲し楽団との歴史を刻んできた。今回演奏される本作は佐賀県唐津市民の委嘱により交響詩《まつら》が生まれ、九州での公演を長年育んできた地域と初演の日本フィルとの文化交流の絆、作曲料に1人1口千円の募金活動で2000名が賛同した市民と作曲家との絆が深まった音楽作品であり、日本フィルにとっても大切な宝物の一つであるといってよいであろう。
 外山が1999年に日本フィルと地元唐津で再演した時のノートには『美しい海、限りなくやさしい人々・・・。その上に豊かに伝えられてきた民謡の数々。これだけ揃うと作者の責任は重くなるばかりである。日本フィルの外国旅行で、そして国内でも現在に至るまでしばしば演奏されてきた。唐津の皆さんと日本フィルの苦労が実った、夢がかなったと言うべきだろうが、作者は、とんでもない幸運に恵まれたと思っている』と感謝の言葉が記されている。
なお、スコアは初稿から祭囃子の部分が6ページ挿入、32小節分追加され、1982年2月20日に作曲が完成。3月1日初演の数日前に宮崎のホテルで渡邊曉雄にスコアが手渡されている。

(1982年3月1日初演・佐賀県唐津)

●楽器編成 : ピッコロ 1 、フルート 2(ピッコロ持替 2 )、オーボエ 2 、クラリネット 2 、ファゴット 2 、コントラ・ファゴット 1 、ホルン 4 、トランペット 3 、トロンボーン 2 、バス・トロンボーン 1 、テューバ1 、ティンパニ、大太鼓 、小太鼓 、トライアングル 、グロッケンシュピール、チャンチキ、弦楽5部。 

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▶︎外山雄三:交響詩《まつら》
▶︎伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》 
▶︎ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47

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日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(サントリーホール)プレトークに出演

2023-11-26 | 日記
日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(サントリーホール)プレトークに出演

日本フィルハーモニー交響楽団第756回東京定期演奏会の両日、開演前の「プレトーク《本日の聴きどころ》」に出演いたします。また来場の皆様へ配布されるプログラムの「曲目解説」も同時に担当いたします。


【日時】
2023年12月8日 (金) プレトーク18時30分~ / 19:00 開演 
2023年12月9日 (土) プレトーク13時20分~ / 14:00 開演

【会場】
サントリーホール

【出演】
指揮:カーチュン・ウォン
マリンバ:池上英樹
管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団
プレトーク&曲目解説:藤田崇文

【プログラム】
<日本フィルハーモニー交響楽団 第756回東京定期演奏会>
外山雄三:交響詩《まつら》
伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調 op.47


ご来場お待ちしています。




NHK番組とのコラボ [あおきいろ]【ツバメ】オーケストラ バージョン

2023-07-27 | 音楽
学生たちが取り組んだNHK番組コラボが爽やかです。
▼東京音楽大学SDGsスペシャルオーケストラ&コーラスをお届けします。