「梅咲いて 庭中に 青鮫が来ている」(金子 兜太)
金子兜太は早春のある朝、目覚めて縁側に立つと、いくつかの獰猛(どうもう)な
青黒い影が庭中を泳ぎまわっているのを見た。
この時期、春とはいっても武蔵野の北のはずれのこのあたりは朝夕は冷える。
二本の白梅はまだ七分咲きだ。梅の花の青く冷やかな影があいつを呼びよせたようでもある。
それから、何も見なかったようにゆっくりと朝飯を食べ終わると、いつものように
家を出て東京の職場へ向かったという・・・
今日聴いたジャズ・・・
JAN LUNDGREN TRIO・・・「LONELY ONE」
本作は、スウェーデンの貴公子、ジャズ・ピアニスト、ヤン・ラングレンのリーダー・アルバム。
イェスパー・ルンゴー(b)、アレックス・リール(ds)という黄金トリオによる作品。
全11曲中、#5のみがラングレンがルンゴーに捧げて書いたオリジナル。他は、馴染み深いスタンダード、
それに、あまりミュージシャンが採りあげない曲なども収録されている。珍しい曲を探してくるところなど
選曲にこだわるラングレンらしいと思う。
タイトルチューンの「ザ・ロンリー・ワン」#4「サニーがブルーに」はジャズの演奏では滅多に聴くことの
出来ない名曲で、ナット・キングコールの名唱で名高い。ラングレンはキング・コールの大ファンらしい。
#6「トルッペル」も珍しい。英語で「TROUBLE」の意味。これはスウェーデン出身の人気ギタリスト、
オレ・アドルフソンの作曲。実に美しく、魅力的な曲。
この三人による演奏は、しなやかで、アドリヴラインの美しさは比類なし。
それぞれのプレイをじっくり堪能できるピアノトリオの好盤。
1・WILL YOU STILL BE MINE・・・2・THE LONELY ONE・・・3・JITTERBUG WALTZ・・・4・WHEN SUNNY GET BLUE・・・
5・BLUES FOR JESPER・・・6・TRUBBEL・・・7・キャラバン・・・8・A NEW TOWN IS A BLUE TOWN・・・
9・恋に恋して・・・10・ONE FOR MY BABY・・・11・WHO CAN I TURN TO・・・
JAN LUNDGREN(p)
JESPER LUNDGAARD(b)
ALEX RIEL(ds)
2001年4月24、25日 デンマークにて録音・・・