美島奏城  豊饒の海へ

豊饒の海をめざす、教育と文芸と風流に関する備忘録

日乘  兆民忌

2006年12月13日 | 思想・哲学

 

平成18年12月13日(水)夕方

 

 背伸びして姿とらえし赤椿  奏城

 

 今日の物故者には,中江兆民・獅子文六・佐藤千夜子らがいる。古くは建礼門院徳子もいるが。

            

    建礼門院「徳子」

 そこで誰を取り上げるかといえば,教科書でなじみのある“東洋のルソー”こと中江兆民ということになる。といっても彼の業績に全面的に賛意を示すということではない。かといって,その業績に問題があるわけではなく,当時としては大変すばらしいことも認めるものである。
 つまり,問題なのはその本家・ルソーにあるということになる。

     ルソー
 中江兆民         ジャン・ジャック・ルソ―           

 歴史好きの方ならルソーがいかに言行不一致の人物かご存知であろう。その行状の具体は追究しないが,教育論(いわゆる『エミール』)や思想(『社会契約論』)を語られて,素直にうなずける人物ではないと私は思っている。(大学で私が受けた教育原理の教授もそのようなことを言ってました。)
 人と論を別にという考えが原則ではあるのだが,言行一致を求めるのが日本人の習いである。
 また,彼の社会契約論が現代の社会病理を招いた,という論議もあるので,“はい,そうですか”とはいかないのも正直なところである。
 人の評価はかく難しい!
 

 


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