美島奏城  豊饒の海へ

豊饒の海をめざす、教育と文芸と風流に関する備忘録

『かさこじぞう』 クイズタイムショック出題への疑問!

2010年01月05日 | 無粋

  今晩のテレビ朝日の「クイズタイムショック」を視ていた時のこと。タレントの眞鍋かをり(画像の方)さんに、「かさこじぞうでおじいさんが最後のお地蔵さんにかぶせたモノは?」という問題が出された。

 眞鍋さんは、確か回答席では回答できなかったのだが、降りてから「ふんどし?」と答えていた。

 司会の方は「てぬぐいです。ふんどしでは失礼ですよ」と応えていたのだが、「ふんどし」も正解だよな~と思ってみていた。

  もともと民話の「かさこじぞう」は雪国の各地に多様な話があり、どれもが正解なはずである。

  その中にはまちがいなく「ふんどし」をかぶせた話もあるのだ。多くは「自身の笠・手拭い」なのだが少なからず「ふんどし」(例えば山形地方)はある。

  実際、私はその3種のパターンの絵本をもっているので間違いない。

  しかし、一般に流布している『かさこじぞう』は岩崎京子氏の再話なので、それだと「手拭い」になるのである。(教科書も岩崎氏のものを使用している:下記資料の②参照)

 

  まぁ、このような問題はよくないないぁ~と思ったのだ。また、眞鍋さんが「ふんどし」と回答したことに、眞鍋さんのセンスのよさをみたような気がしたのだ。きっと彼女は子供のときふんどしパターンの再話を読んだのだろう。

  では、お地蔵さまに「ふんどし」は失礼ではなのか?!ということだが、これは失礼なのだが、それ以上におじいさんのお地蔵さまへを寒さからなんとかしよう尊崇の念が勝っていること、またおじいさんの無垢さに対する報奨をテーマにしているのだがら一向に失礼ではないのである。

 誰がおじいさんがお地蔵さまに失礼な行為をしたと感じるであろうか?!

 そのようにしか感じられない、知らない司会の方がよほどに失礼である。

 

以下に資料

 ここにあげた作品は内容・質・執筆・絵ともに児童文学界・民話研究界では一流の方々である。

① 『かさじぞう』  再話:瀬田貞二  画:赤羽末吉 福音館書店

    初刷:1966年(昭和41年)11月

    「再話」としているように口承性を重視した本格民話

   ★「かさ」派

 

② 『かさこじぞう』 文:岩崎京子  絵:新井五郎  ポプラ社

    初刷:1967年(昭和42年)5月

    教科書にも採用されている”全国区”といえる定番作品

   ★ 「てぬぐい」派

 

 

③『かさこじぞう』 文:稲田和子  絵:梅田俊作  小学館

    初刷:1978年(昭和53年)3月

    ★ 「ふんどし」派

 

④『かさじぞう』 文:吉沢和夫  絵:遠藤てるよ  第一法規

    初刷:1981年(昭和56年)3月

    ★ 「てぬぐい」派

 


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