新型インフルエンザの“リアル”を語ろう2008年3月28日 15時25分nikkei BP net SAFETY JAPAN
(http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/90/)
田代眞人氏(国立感染症研究所ウイルス第3部部長、世界保健機構(WHO)インフルエンザ協力センター長)に日本経済新聞がインタビュー取材したものを記事にまとめたものです。
新型インフルエンザの問題を整理してあります。
読みごたえがある文章です。私が今まで資料を見てきた範囲で、この文章の考え方は、もっとも的確に今の問題を述べてくれていると思います。
是非本文を読んで、現実の間違った前提の対策が修正されるよう我々は政治と行政の尻を叩くべきです。
政治家はこの問題に対して、正しい認識はできず、頭は硬直してると私は思います。
また、政府にも医療にも出来ることに限界があると明確に書いてあります。
個人で出来る限りの防衛をすべきです(パンデミック時は現在の常識は捨てるべきです)。
特効薬ができない限り一人一人の考え方を変えなければ、自分も大切な人も、未来を担う子供達も失うことに成ります。
特効薬はまだありません。
以下抜粋を載せます。抜粋は著者やインタビューに答えた田代先生の主旨を曲げてしまう危険が有りますが、長文でありますし興味がない方には敬遠されるかもしれない心配があります。
危機感を持って本文を読んでいただくきっかけとして、私の強調したい点のみ取り出してみました。是非未読の方は読んでください。その他プレパンデミックワクチンの事や、他国の対策等参考になることが多数書いてあります。
(○の見出しは私が勝手につけたものです)。
○新型インフルエンザのウイルスは変異して、人に感染する可能性が確実に増えてきている。いつ人に感染するようになるかわからない。
「どうやら、ウイルスがヒト型に近づきつつあるという傍証も存在します。トリ型のウイルスは、鳥の体温である42℃付近で増殖しやすく、それ以下の温度では増殖が鈍ります。一方ヒト型のインフルエンザウイルスはヒトの体温である35-36℃付近で活発に増殖します。同じインフルエンザウイルスでも増殖に適した温度が違うのです。
ところが、先ほど説明した「クレード2-2」の亜種のH5N1ウイルスでは、既にヒトの体温で活発に増殖するように突然変異を起こしたウイルスが見つかっています。これは、ウイルスが着実にヒトに感染する形質を備えつつあることを示しています。」
「実際問題として、ヒト型とトリ型のウイルスの遺伝子は共通点が多いのです。比較すると、はっきりと異なる遺伝子は10個です。そのうちの5-6個については、既にヒト型に変異したウイルスが確認されています。10個の遺伝子の差異のうち、どれがヒト型へと変化する決定的な要素なのかは分かっていません。ひょっとすると10個全部そろわないとヒト型には変異しないのかも知れませんし、逆にあと一つでも変異したらヒト型になるのかも知れません。研究が進んでいるとはいえ、分かっていないこともたくさんあるのです。」
○新型インフルエンザのH5N1ウイルスは、人のパンデミックを起こす時に死亡率が下がる事は無い。
「しかし、今問題となっているH5N1ウイルスは、全身感染を起こす強毒型です。強毒型の性質を示す部分の遺伝子は特定されており、それはヒト型ウイルスの特質である10個の遺伝子とは別の部位にあることが分かっています。
つまり、ウイルスがヒト型に変異することに連動して、強毒型から弱毒型になる可能性はありません。ほぼ間違いなく、強毒型のままヒト型に変異すると考えられます。ウイルスが弱毒型になると主張しているのは、最新の研究成果を知らない人たちです。」
○現在の日本の対策の元になっている基礎データは間違っている。
「膨大な被害を出した1918年のスペインインフルエンザの致死率が2%だったことを考えれば、致死率がたとえ20%程度にまで下がったとしても、過去に類を見ない大災害になる危険性があると言わねばなりません。」
「厚生労働省は、感染率25%、致死率2%で対策を立てています。全人口の25%が感染し、感染者のうち2%が死亡するという意味です。
スペインインフルエンザの感染率は48%でしたから、対策の前提となる被害見積もりはスペインインフルエンザよりも甘いです。
この数字は米国のCDC(疾病予防管理センター)が、1968年の香港インフルエンザの時のデータに基づいて作成した数式で算出されています。この数字を算出した時は「仮に」というモデルケースとして出したのですが、報告書では「仮に」が取れて数字が一人歩きしてしまいました。」
○米国が対策の基にしているデータで日本の被害予測を見なおすと、社会崩壊が予想される。
「実際にはどの程度の被害を想定すべきなのか。そこで米国が想定している致死率20%を採用し、感染率を中間の30%として、日本の人口1億2800万人を掛けてみてください。米国の見積もりを採用すると、なんの対策もなしにパンデミックが起きると日本では768万人が死亡するという数字が出てきます。感染率を25%としても、600万人以上の死者が出るということになります。」
――第二次世界大戦の2倍以上の死者が出るということになりますね。
「スペインインフルエンザの時と同じく、全く無防備のままで強毒型のH5N1ウイルスによるパンデミックを迎えると、こういう事態が起きるということです。これは社会崩壊を意味すると考えていいでしょう。」
○日本の政治・社会、危機に向き合っていない現在。医療は崩壊する事を前提として対策を考えるべき。
「日本には危機に直面しているという意識がありません。パンデミック時に医療サービスをどうやって維持するのか。患者が病院に殺到すると、医療体制が崩壊します。崩壊を防ぐためには、感染の拡大を防いで、感染者が一気に集中する“流行の山”を低くすることが必要ですが、そのために具体的にどうすればいいのかは、まだ話し合われていません。」
「現状では、ワクチンもタミフルも万能ではありません。もちろん備蓄量も不十分です。パンデミックが起きれば必ず「国はなにをしているんだ」という声が上がるでしょうが、国が何でもできるわけではないのです。
リスクのある現状で、被害を最小限にとどめるには一人一人がリスクを理解し、理性的に行動しなくてはなりません。理性的な行動のためには、なによりも正しい知識の徹底と、開かれた場での議論が必要です。」
「日本も首都直下型地震については、かなりの準備を行っています。首都直下型地震は、今後30年間に60%の確率で起きるとされています。一方、新型インフルエンザによるパンデミックは、平均して27年の間隔で1回、確実に起きています。発生確率は、首都直下型地震よりも、新型インフルエンザのほうが高いのです。」
(http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/interview/90/)
田代眞人氏(国立感染症研究所ウイルス第3部部長、世界保健機構(WHO)インフルエンザ協力センター長)に日本経済新聞がインタビュー取材したものを記事にまとめたものです。
新型インフルエンザの問題を整理してあります。
読みごたえがある文章です。私が今まで資料を見てきた範囲で、この文章の考え方は、もっとも的確に今の問題を述べてくれていると思います。
是非本文を読んで、現実の間違った前提の対策が修正されるよう我々は政治と行政の尻を叩くべきです。
政治家はこの問題に対して、正しい認識はできず、頭は硬直してると私は思います。
また、政府にも医療にも出来ることに限界があると明確に書いてあります。
個人で出来る限りの防衛をすべきです(パンデミック時は現在の常識は捨てるべきです)。
特効薬ができない限り一人一人の考え方を変えなければ、自分も大切な人も、未来を担う子供達も失うことに成ります。
特効薬はまだありません。
以下抜粋を載せます。抜粋は著者やインタビューに答えた田代先生の主旨を曲げてしまう危険が有りますが、長文でありますし興味がない方には敬遠されるかもしれない心配があります。
危機感を持って本文を読んでいただくきっかけとして、私の強調したい点のみ取り出してみました。是非未読の方は読んでください。その他プレパンデミックワクチンの事や、他国の対策等参考になることが多数書いてあります。
(○の見出しは私が勝手につけたものです)。
○新型インフルエンザのウイルスは変異して、人に感染する可能性が確実に増えてきている。いつ人に感染するようになるかわからない。
「どうやら、ウイルスがヒト型に近づきつつあるという傍証も存在します。トリ型のウイルスは、鳥の体温である42℃付近で増殖しやすく、それ以下の温度では増殖が鈍ります。一方ヒト型のインフルエンザウイルスはヒトの体温である35-36℃付近で活発に増殖します。同じインフルエンザウイルスでも増殖に適した温度が違うのです。
ところが、先ほど説明した「クレード2-2」の亜種のH5N1ウイルスでは、既にヒトの体温で活発に増殖するように突然変異を起こしたウイルスが見つかっています。これは、ウイルスが着実にヒトに感染する形質を備えつつあることを示しています。」
「実際問題として、ヒト型とトリ型のウイルスの遺伝子は共通点が多いのです。比較すると、はっきりと異なる遺伝子は10個です。そのうちの5-6個については、既にヒト型に変異したウイルスが確認されています。10個の遺伝子の差異のうち、どれがヒト型へと変化する決定的な要素なのかは分かっていません。ひょっとすると10個全部そろわないとヒト型には変異しないのかも知れませんし、逆にあと一つでも変異したらヒト型になるのかも知れません。研究が進んでいるとはいえ、分かっていないこともたくさんあるのです。」
○新型インフルエンザのH5N1ウイルスは、人のパンデミックを起こす時に死亡率が下がる事は無い。
「しかし、今問題となっているH5N1ウイルスは、全身感染を起こす強毒型です。強毒型の性質を示す部分の遺伝子は特定されており、それはヒト型ウイルスの特質である10個の遺伝子とは別の部位にあることが分かっています。
つまり、ウイルスがヒト型に変異することに連動して、強毒型から弱毒型になる可能性はありません。ほぼ間違いなく、強毒型のままヒト型に変異すると考えられます。ウイルスが弱毒型になると主張しているのは、最新の研究成果を知らない人たちです。」
○現在の日本の対策の元になっている基礎データは間違っている。
「膨大な被害を出した1918年のスペインインフルエンザの致死率が2%だったことを考えれば、致死率がたとえ20%程度にまで下がったとしても、過去に類を見ない大災害になる危険性があると言わねばなりません。」
「厚生労働省は、感染率25%、致死率2%で対策を立てています。全人口の25%が感染し、感染者のうち2%が死亡するという意味です。
スペインインフルエンザの感染率は48%でしたから、対策の前提となる被害見積もりはスペインインフルエンザよりも甘いです。
この数字は米国のCDC(疾病予防管理センター)が、1968年の香港インフルエンザの時のデータに基づいて作成した数式で算出されています。この数字を算出した時は「仮に」というモデルケースとして出したのですが、報告書では「仮に」が取れて数字が一人歩きしてしまいました。」
○米国が対策の基にしているデータで日本の被害予測を見なおすと、社会崩壊が予想される。
「実際にはどの程度の被害を想定すべきなのか。そこで米国が想定している致死率20%を採用し、感染率を中間の30%として、日本の人口1億2800万人を掛けてみてください。米国の見積もりを採用すると、なんの対策もなしにパンデミックが起きると日本では768万人が死亡するという数字が出てきます。感染率を25%としても、600万人以上の死者が出るということになります。」
――第二次世界大戦の2倍以上の死者が出るということになりますね。
「スペインインフルエンザの時と同じく、全く無防備のままで強毒型のH5N1ウイルスによるパンデミックを迎えると、こういう事態が起きるということです。これは社会崩壊を意味すると考えていいでしょう。」
○日本の政治・社会、危機に向き合っていない現在。医療は崩壊する事を前提として対策を考えるべき。
「日本には危機に直面しているという意識がありません。パンデミック時に医療サービスをどうやって維持するのか。患者が病院に殺到すると、医療体制が崩壊します。崩壊を防ぐためには、感染の拡大を防いで、感染者が一気に集中する“流行の山”を低くすることが必要ですが、そのために具体的にどうすればいいのかは、まだ話し合われていません。」
「現状では、ワクチンもタミフルも万能ではありません。もちろん備蓄量も不十分です。パンデミックが起きれば必ず「国はなにをしているんだ」という声が上がるでしょうが、国が何でもできるわけではないのです。
リスクのある現状で、被害を最小限にとどめるには一人一人がリスクを理解し、理性的に行動しなくてはなりません。理性的な行動のためには、なによりも正しい知識の徹底と、開かれた場での議論が必要です。」
「日本も首都直下型地震については、かなりの準備を行っています。首都直下型地震は、今後30年間に60%の確率で起きるとされています。一方、新型インフルエンザによるパンデミックは、平均して27年の間隔で1回、確実に起きています。発生確率は、首都直下型地震よりも、新型インフルエンザのほうが高いのです。」







外岡先生のサイト:http://homepage3.nifty.com/sank/jyouhou/BIRDFLU/2008/3tukino1.html
ソース:http://beritafluburung.blogspot.com/
昼間から書き込みするとは思わなかったけど、アセですわ。
鳥取大学農学部の伊藤壽啓教授のグループが3年前、茨城県などの養鶏場で発生したH5N2について28回目の感染で強毒化を確認しました。
ソース先でニュース映像の視聴もできます。
http://www3.nhk.or.jp/news/2008/04/03/d20080403000062.html
鳥取大学農学部付属 鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター 分子疫学研究部門 伊藤 壽啓 教授
http://muses.muses.tottori-/azrc/section03/section03.html
しかし、そのシンポジウムの毎日新聞の記事を外岡先生が、いまだに危機を煽らなければならない日本の現状を嘆いていたのが印象的でした。
反応が無ければ、刺激をし続けるしか無い現状が歯がゆいです。現在ブログの更新も遅れている自分も情けない状態です。もう少し効率を上げていきたいと思っています。。
インドネシアの感染状況は、Berita Flu Burung とESPIO野田敬生氏のニュースでも、かなりの広がりと情報の混乱と不安の入り混じった事がでているので注意していました。しかし、情報の流通が良くなって量が増えたのか、問題が増えたのか判断つきかねて、ブログにまとめかねていました。インドネシアの危機的状況を指摘する記事も多く、今後も要注意と思いますが、難しいですね。
また鳥取大学農学部の伊藤壽啓教授のニュース勉強になりました。鶏の集団の中で繰り返し感染でウイルスの強毒化する事を北大の喜田宏先生も指摘されていましたが、実験でこれだけはっきり結果がでるとは。鶏を人が大量に飼う限りは強毒化の問題は消えない事になりますね。
人が増えすぎて傲慢に過ごした結果が強毒性インフルエンザとするなら、甘んじて運命を受け入れなければ成らないかと陰鬱になってしまいます。でも医師としては生き残るために目の前の問題に取り組まなければならない習性が出てしまいます。
いただいた鳥由来人獣共通感染症疫学研究センターのURLが変わったようなので、新しい物を調べておきました。
http://muses.muses.tottori-u.ac.jp/dept/VV/azrc/section03/section03.html