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街の魚

言葉が消えていく
昨日の  今の
さみしさは感じない風の中にひそみ
軽視と蔑視は空の中にひそみ
街の風景がすくむ
ちゃんと考えなさい
しっかりと考えなさい
神さまの脳髄が踊るように
きみが消えていかないように
しずんで往く
この深海の街はまだ眠っている
あの孤独な魚は
最後の言葉をのみこんでから
こっちを凝視した

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往還記

ほんのちいさな
往還をする
東へ西へ
水へ土へ空へと 
家族ではないものについて思う
神さまの領域をちらつかせながら
たしかにぼくの罪はみじめったらしく
きみはずっと無言のままで完璧だ
神さまの領域 ひとりの領域
を ちらつかせながら
十月の夕暮れの内奥へ往く
変わらない建物があり
変わらない沈黙と答えがある
もうそろそろ
消えてしまいそうだ

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ふいに

きみが眠っていた
詩が眠っていた
ひとりが眠っていた
ふいに目覚めたものだから
さみしさの正体を
街の上空に漂わせてしまった
わからないが 往こう
神さまの無力へと
越冬の低空の路へと
ひとりなんだ
ペンは
神さまの言葉は
はじまりは
おわりは

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こころ

水のこころ 草のこころ 魚のこころ
西空のこころ きみのこころ
神さまのこころ
完成などははいらない
こころがはじまれば
きみがほほえめば
神さまの風に吹かれれば
うまくいかないことが
平凡にくりかえして
夕暮れに眠った
言葉以前のこころがある
遠く小惑星のこころのように
ぼんやりとばかりしている
人工のひかりは静かに黙っていた

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秋の希望

きみは季節の中に生きている
春から夏へ 秋から冬へ 光から闇へ
在ることから無へと
ぼくの季節は西空にとりつかれて
西空に向かう準備をしていく
未知との遭遇のように
まだわからない何かを待ち望んでいる
水際と街と西空が遠近になって
神の子が帰ってくるのかもしれない
それは違うのだろうけれど さみしくて
また誰でもない季節は秋になる
時間の月が夜をまわり
時をとめる ゆっくりと
ぼくは明日も帰る ひとつの希望として

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九月の雨

九月の朝 雨 土 倒木のにおい
うしなわれたさみしさのままに
時がとまっていることがある
知らないことは罪ではなく
知られないことのさみしさが
九月の朝にしずまって
なじみのテレビがぼんやりと
はじめから時はとまっていない
そっと内奥のことを考えて
無理をして遠くの悲劇について思っている
ゆるされたのだろうか
たんに忘れされたのだろうか
窓から九月の雨においが流れている
きみの〈無〉は遠く哀しくあり

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〈神さま〉の話

ほんとうの話ができるのは
〈神さま〉だけだ
ほんとうにほんとうだ
〈神さま〉は何も返事をしてくれないけれど
そのことについて
だれも話をしてくれない
きみはとっくの昔に通り過ぎて
九月の駅はさみしくて
そして台風がくる
ふと一つの罪がわかったとしても
ひとりぼっちだ
いま樹木の緑がゆれる
そしてまた〈神さま〉と
すべて話しかける

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前後のいま

夢のまえ 夢のいま 夢の入口
この夢の向こう
この事実の向こう
なんだろう この時間は
きみはいたのか
だれがいたのだろう
朝の光がある
すっと起き上がらなくては
水の中 植物の中 神さまの中
まえ いま どこ あちら
とても大きな朝顔だ
濃紫で 九月になって
コップの氷水を飲んでから
しきりに前後のいまを考えている
傷つきそうなあしたがある
傷ついた過去があった
じぶんの罪がわからなくなる
西空が遠く
不安がわからなくなる
まえ いま いま あした

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越夏

遠く近く
わからないことがある
ひきさがれないことがある
「自分を低くして」
低くなれないことがある
夏を越えることが
むずかしい時代になってきた
と歩道の光を感じた時に思った
めぐりめぐる時代なのか
くりかえし偶然と偶然がかさなる
先端の時代の極一部分があるのかもしれない
自分を低くして
誰もいなくなった
一日を定義しにいく

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他人たち

死後。みんな他人だった
そんな話しを聖書の中で読んでいたような
たったひとりのあなたも他人だった
わからないひとだった
顔はわかったのに
そんな軽さでいいのかと
言葉は元来から軽いのだと
だれが思っているのだろうか
と、私がわからなくなってきた
夕暮れの飛行機雲が交差する
ひとりは生きるのか
生前も死後も
神さまは他人の時と沈黙が
さりげなくじょうずだ

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夏空よ

夏空の背中が
花時計を切った
罪はひそんでいる
罪はあかされている
テーブルの生ビールが
隣の妊婦を映した
 
まだ此処にいる
友よ 犬よ 夏空よ
ふり向いてくれ
ゆるしてくれ
みどりと水の道をかけて
駅舎の夜の円をかけて
 
とり残されてしまったのだ
孤独は 時間は
あしたは
足りない言葉をあつめて
じっと視る
そっとつかむ
きみの手
神さまの喩
かけていくもの
夏空の嘘 夏空の預言
苺と檸檬の味がまざりあって
安息日の氷が溶けていく
完全無力な時 完全無力な自由
独り言葉だけは残して
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続く西空

ことばを持続させていく
なんども西空のまえに座るように
なんども夏の体を思っていたように

続く西空があって
続く背後の空しさがある
黙っていたい
きみを思っていたい
神さまのまえで
ことばの夢の中で

ヘッドフォンに雷鳴が轟いて
あしたに透かしたことばが落ちる
ふり向いてはいけない きみは
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夏の影

ウイスキーは照れている
向日葵は照れている
みじかい前髪を何度も視た
夏服は照れている
夏日がさし
ベランダが痛い
夏の影はやさしいような
足りないような
神さまは夏の風にも黙っている
きみは忘れていた時でも
ほんとうにいない
サイレンが恋しくて
夏の水が恋しくて
朝に夕に
夏休み
ながらく天気アプリを見ていない
気温の数値も
わたしの言葉の予定も
夏の影におさまっている
そっと黙って
持続させていこう

夜風のウイスキーを口にした

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キャンパス

手招きされて見せられたものは
寝床の双子のシンメトリーだった
聖夜の底の眠りをのぞきこむように
(けっきょく聖夜などはなかった)
 
見捨てられて叫んだのは
たんに灯りがひとつだけだったからだ
聖夜の星が導いてくれたかのように
(やはり聖夜などはなかった)
〈愛〉は過去の幻を漂う
〈愛〉は未来の深層を漂う
(なんて聖夜の言葉は難しい)
 
深夜のキャンパスに独り立った
何も始まらない 何も終わらない
こんなに早く歳をとるなんて
何も思っていなかった
 
先生。
言葉です
言葉だけです
まだ〈愛〉を発生できるとしたら
(なんて
 なさけなくて くやしくて)
 
読まれてはいけない
ひとり聖夜の話だけは
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定点観測

今夜は月がおちついている
熱帯夜の静けさだ
このまま此処で眠っていいかもしれない
ビールの酔いはさめたけれど
ひとつの愚かさは過ぎたけれど
 
やはり今夜の月はひくく
定点からは完全なるものとして視えた
ひかりは堂々と
存在証明の声をもっている
流れていた雲がいつのまにか消えて
深夜の音が聴こえる定点がある
西空は
あきない
朝も昼も夜も
きみが視えない
さみしい定点なのに
 
完全なる月のひかりの存在に
定点からは神さまがいない
声はなく
哀しみもなく
時間というかすみ
背後というむなしさ
きみという向こう側に
神さまがいるように思えてしまう定点観測
ぼくは往けない
ちいさな明日にすら怯えて
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