てくてくライブラリアン 

指宿市立図書館職員ブログ

Amazon選出の「オールタイムベスト児童文学100」

2014年06月17日 | インポート

Amazon選出の「オールタイムベスト児童文学100」を指宿図書館、山川図書館でも展示します。お楽しみに♪

この本の選者は指宿市立図書館とも馴染みのある金原瑞人(法政大教授)さんです。平成21年に指宿市立図書館2か所で「金原瑞人 仕事展」~翻訳300冊の軌跡~を企画させていただきました。

金原さんのコメントです。

「オールタイムベスト児童文学100」は、従来の児童書ガイドとは一線を画すラインナップになっています。『アンネの日記』、『ゲド戦記』など定番の翻訳書と、子ども向けでもない日本の現代作品が一緒に並んでいる点がおもしろい。特に中学生向けに顕著ですね。畠中恵、海堂尊らが入っているのは新鮮だし、個人的に大好きなデイヴィッド・ヒルの『僕らの事情』がランクインしたのも嬉しい驚きでした。

一方、小学校低学年向けはロングセラーの翻訳書が多い。実際、小学生の頃は翻訳ものを結構読んでいた子が、中学、高校と上がるにつれて翻訳離れする傾向が、ここ20年ほどで加速しているように思います。

原因のひとつには、私たちが中高生の頃と比較して、現代の日本文学が格段におもしろくなったことが挙げられます(文学的評価は別にして)。ひと昔前は大衆小説と呼ばれる作品でさえ、教養主義的な色あいや匂いがありました。大江健三郎は結構しんどかったけど(笑)、村上春樹の作品は普通の人が普通に読んで理解でき、しかもおもしろい。さらに毎年のようにノーベル文学賞候補にも挙がる。文学や本そのものがリーダブルになってきて、読者側に寄り添ってきた気がします。

文学や音楽、映画など日本発のコンテンツが世界レベルになり、国内で自給自足できる現在、若者たちの目が海外に向かず、登場人物の名前さえ覚えづらい翻訳書はやや肩身が狭いのかもしれません。児童書の分野ではさまざまな国の作品が垣根なく読まれていることを今回知って、とても嬉しく思います。

古典の新訳が最近ブームですが、特に子どもたちには新訳をおすすめします。「自分が慣れ親しんだ版を我が子に」という親心はよくわかるのですが、やはり現代的な翻訳で読ませてほしい。アニメやコミック調の表紙も賛否両論あるのですが、子どもが興味を持って手に取ることがまず大事。大人が子どもに与えたいものと、子どもが欲しいものには、いつの時代だって必ず乖離があるのです。

海外でも「オールタイムベスト」的な試みはなされています。たとえば、欧州の大手書店ウォーターストーンが調査した「20世紀に出版された本ベスト100」、英国の公共放送BBCが約14万人から回答を得た「The Big Read」などがあります。両方とも調査対象は成人ですが、第1位はトールキンの『指輪物語』。

日本の大人たちもこの「オールタイム児童書ベスト100」から未読の作品を探して読んだり、子どもの頃の愛読書を読み返してみたら、絶対におもしろい発見があると思いますよ。 」

オールタイムベスト児童文学展示場所

全国7か所の図書館・図書室および三菱地所のレジデンス ラウンジにて、選出された100冊を展示していただいています。

<指宿図書館>(鹿児島県)
期間: 8/1-9/23
鹿児島県指宿市十二町2190
<山川図書館>(鹿児島県)
期間: 11/1-12/28
鹿児島県指宿市山川成川2685

詳細はこちらをご覧ください。

shimo

http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3169175051

金原瑞人



最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
山川図書館様  図書推薦_0716 (木口政樹)
2014-07-16 20:29:09
山川図書館様  図書推薦_0716
突然のメールでのご無礼、恐縮に存じます。
わたくし、現在韓国在住の木口政樹と申します。
2013年に韓国在住25年を記念しまして、『おしょうしな韓国』というエッセイ集を上梓しました。
ちょっとユーモラスに韓国を紹介しております。
韓国と日本が、さらに近しい関係になることを願いつつ執筆した本でもあります。
貴図書館様にて、図書購入の際のご参考までにと、ご連絡いたしました。
多くの山川の皆様に読んでいただければ、筆者としてこれ以上の幸せはございません。
よろしくお願い申しあげます。
アマゾンから入るとご覧になれます。
http://www.amazon.co.jp/%E3%81%8A%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%E3%81%97%E3%81%AA%E9%9F%93%E5%9B%BD-%E3%81%BB%E3%81%AE%E3%81%BC%E3%81%AE%E9%9F%93%E6%B5%81100%E8%A9%B1-%E6%9C%A8%E5%8F%A3%E6%94%BF%E6%A8%B9/dp/4906902189
新聞に書評が掲載されておりますので、ご参照いただければ幸いです。
書評:(http://news.onekoreanews.net/detail.php?number=73310&thread=01r05
重ねて本メールの不躾をお詫び申しあげつつ。。
韓国より。                       木口政樹 2014年7月16日
『おしょうしな韓国』、読んでみました。 (山田敏輝)
2014-10-18 11:52:09
『おしょうしな韓国』、読んでみました。
僕は九州なので「おしょうしな」という単語は知りませんでした。
米沢市の方言で「ありがとうございます」って意味のようですね。
韓国には数度行った事ありますが、
旅行では見れないところが書いてあって、
気楽に読めました。イチオシです。

コメントを投稿