つれづれおもふ

思えば遠くに来たもんだ~ぼつぼつ語る日々の出来事

遅くなりました…原文ママから始まったこと

2017年12月24日 | 本・・・

 

 

「読んでみてください」と送ってくれた本

北村薫は好きな作家のひとりだが、この本は知らなかった

本屋さんに行ってもたくさん棚に並んでいて目移りしちゃうんです

スルーしてしまうものがたくさんあるんだろうなあと感じている

新刊本は値が張るから、

古本屋で本を手に入れることが多くなっているのも一因だろう…

 

さてことの発端はこの北村薫の本なんだが、この本、難解だった…理由は私の力不足にある

いろいろな実在の本が出てくる

読んだはずの本も内容がうる覚えだったり、これには参りました!

読んだか読まないかわからないものや、はなから読んでないとわかるものもあり…

そのうえ北村薫の著書目録を振り返ると、好きな作家のひとりのはずなのに大分に読んでいないものがある

円紫さんシリーズも歯抜けで…とほほ そんな状況での理解はたかが知れている…すまんことです

 

この本は「私」が主人公だが、最後についているエッセーに書いてある通り

この「私」は「北村薫」本人だと思う

だから「北村薫」さんはこうやって本に向き合っているのかと

内容がわからずとも私にはそれが興味深かった…そして

一つ本を読むと、こうやってつながりを感じ取る人たちが少なからずいるという事実に驚いた

私はあまりそういうセンスがありそうにない

でもそのつながりが見えたときに引き寄せられる感じは想像できる、実に楽しそうだ!!

 

 

さて、本題です

疑問を投げられたのは、この本の37ページの終わりにある

 

 思いがけないおやつをいただいた後、天城さんに、ピエール達のことを話した。

 天城さんはフランス語の本がすらすら読める。英語でもそうはいかない私には、驚異の人

だ。昔、青山のテラスで紅茶を飲みながら原書を読んでいたら、フランス人にナンパされた

 

 

 

この「…フランス語の本すらすら読める。…」を どう考えるか聞かれた

ふむ

私も当初「が」の使い方が耳に引っかかった

これは「を」ではないのか?

使い方としては断然「を」だと思います

 

でもだけれど、著者が気づいていないということはなさそうな気がする

意識的に使った可能性があるかも???

「この部分だけ読んでいてはちょっとわからない 」 と偉そうにコメントしたら、

早速に「どうぞ」と届いた

 

読んでどうだったかというと、ごめんなさい

どちらともいえないというのが正直なところです

 

一つは、この本がそういうことをテーマにしているものだから

改訂版によって記述がかわることや

横取りのような形でインスピレーションをわかせたこと

速読のせいで真反対の解説を書いてしまったこと…などなど

ちょっとした書き手の隙を見つけて、そこから次を導き出し

時代の流れを引っ張り出しているから、

 

わざと “こういう使い方” と意識して残しているかもしれないと感じたのです

 

そしてもう一つは、

この場面、この場所に、「私」「天城さん」 そして「もう一人」存在するように感じるのです

…それが、例えば、どこかでお茶を三人でしていて、

その「三人目」は読んでいる私がそこにはまるような塩梅で、

「三人目」はピエールのことはもう知っているけれど、「天城さん」のことは知らなくて、

だから「私」「天城さん」「三人目」が話題をすべて共有できるように

大急ぎで「私」が「三人目」に情報を伝えようとしているように感じたのです

するっと「私」が「三人目」である読者の私に向けて、こそこそと急いで「天城さん」のことを伝えるのです

実は “話し言葉” なんじゃないか?

“話し言葉” であれば、

 

==この天城さんて人はね、フランス語の本がすらすら読めるのよ==

て言いそうなんです

 

「を」の場合は、

==天城さんはね、フランス語の本をすらすら読むのよ==

と、これはこれでいいと思う

 

実際にはそういう描写ではない

でも「が」を使うと、まるでその場にいて実際に「私」から聞いているような感じがした

 

ただそれは私個人の感じでしかなく、文は読み手それぞれのものであってよいと思います

「を」のほうが文としては成り立っているとおもうし、

北村薫さんは、ここのところどう考えているのでしょうね…それがちょっと知りたい???

 

それにしても、この本は編集者泣かせの本だと思います

隅々まで意識をくばらなければならないもので、まるですべてがあやとりのようでした

私があれと思ったのは?

この《》のあとの「い」

ちょっとあれっと思ったが 『待つ』 を読んでいないので、何とも言えない

読まなくちゃなあ…

 

ところで、いろいろと勉強になったこの本で一番好きなところを最後に上げます

 

97ページ 中ほどの正ちゃんの言葉

 

「変なもんだね。若い頃だったら、まず《ちゃんと返せよ》っていったのに。――でも、こ

の年になると違うな。自分の好きだった本が、友達のうちにずっと置いてあるのも、悪いこ

とじゃない」

 

 

この言葉 大好き

 

友達が読んだ本がうちにあるって、ざわざわ来るほどたのしいことです!

 

 

 

コメント (2)
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