真実を求めて Go Go

今まで、宇宙についての話題を中心に展開してきましたが、今後は科学全般及び精神世界や歴史についても書き込んでいきます。

「E8理論」におけろ「ウェイトダイアグラム」その1

2013年03月02日 | 素粒子

 私たちの空間中のあらゆる場所に存在する電磁場は、最も単純な形である円形のファイバーで決まっている。
物理学者にU(1)と呼ばれているこの円は、リー群の最も簡単な例である。
円は回転させても元のままという1つの対称性を持ち、このような回転を引き起こす数学的要素は「リー群の生成子」と呼ばれる。
 電磁気力のファイバー束は、時空間中の各点に貼りつけられた円で構成され、各円が時空の中で隣接する円に対して少しだけ回転できる。
隣接するファイバーどうしがこのような回転によってどのように関係づけられているのかを記述するのが「ファイバー束の接続場」と呼ばれているものである。
時空間を満たす電磁場は、このファイバー束の曲率に対応する。
幾何学的に言うと、電磁場は、円形のファイバーが時空間にわたってどのように回転されていくかを表すものだ。
電磁波は時空間にわたる円のうねりであり、その電磁波の量子である光子は、伝播する光の粒子でもある。

 素粒子のそれぞれの種類は時空間に広がる、異なるファイバーに対応している。
宇宙に存在するすべての電子は、1種類のファイバーのねじれに起因している。
そして、そのことが、なぜすべての電子が区別のつかない存在なのかの理由の1つとなっている。
電子などの荷電粒子のファイバーは、ねじに巻きつく糸のように、電磁気力の円形ファイバーに巻きついている。
荷電粒子のファイバーが円にどれくらい巻きつくかが電荷の大きさに対応し、それが電磁気力に対してその粒子がどのように反応するかを決める。

 荷電粒子のファイバーは、円に巻きつきながら円を一周して閉じなければならないため、その電荷はある基本的な電荷の単位の整数倍となる。
フェルミ粒子と呼ばれる、物質を構成する素粒子のうち、電子は-1(3回の巻きつき)、アップクオークは+2/3(逆向きの2回の巻きつき)、ダウンクオークは-1/3(1回の巻きつき)、ニュートリノは0の電荷を持っている。
陽電子や反クオークといった反粒子(反物質の粒子)は、逆向きに巻きつくため、反対の電荷を持つ。

 素粒子どうしが衝突すると、別の素粒子に変わることがあるが、衝突領域から飛び出してくる粒子の電荷の総和は、入射した粒子の総電荷と厳密に等しい。
この重要な事実は、2つの粒子が出会うとそれぞれのファイバーの巻きつき数が足し合わされると、束に基づく描像は、このようにして、電磁気学に関して私たちが知っている
事実を説明する。
電荷は電磁気のファイバー束と物質のファイバー束を合わせた幾何学的構造を記述し、これが荷電粒子間にどのような相互作用が可能かを決定する。

 物理学者は、これと同じ原理を弱い力と強い力にも適用している。
これら2つの力には、それぞれに固有の種類の電荷とそれぞれの力を伝える粒子が存在する。
それらの力は、単一の円ではなく、交差する円の組み合わせで構成される複雑なファイバーによって記述され、その巻きつき具合に従って、それぞれの力の媒介粒子はそれらどうし、あるいは物質と相互作用する。

 弱い力は、SU(2)と呼ばれる3次元リー群のファイバーと関係している。
その形は対称性にかかわる3つの生成子を持ち、それらは弱い力を伝える3つのボース粒子、W+、W-、W3に対応する。
SU(2)群や強い力に対応するリー群は多次元で、互いに巻きつく複数の円が滑らかに絡み合っている。
SU(2)群のW+ボソンとW-ボソンの円は、W3ボソンの円に互いに逆向きに巻きついており、W+ボソンは+1、W-ボソンは-1の「弱電荷」という量Wを持つ。
このため、W+ボソンとW-ボソンは物質と相互作用するだけでなく、互いにも相互作用する。

 物質を構成する素粒子であるフェルミ粒子のうちのちょうど半分は弱い力で相互作用し、それらのファイバーはW3やその他のボース粒子のSU(2)群の円に巻きついている。フェルミ粒子は、スピンが運動量の向きに対してどちらに向くかに応じて「右巻き」と「左巻き」に分類される。
左巻きのフェルミ粒子のみが弱電荷を持ち、左巻きアップクオークとニュートリノは+1/2、左巻きダウンクオークと電子は-1/2の弱電荷を持つ。
反粒子は逆で、右巻きの反フェルミ粒子のみが弱電荷を持つ。
つまり、私たちの宇宙は左右対称ではなく、私たちは弱い相互作用を直接見ているか、あるいは鏡に映したものを見ているかを識別できる。
この非対称性は、統一理論が説明を求められている多くの謎の1つだ。

 物理学者が弱い力と電磁気力を統一して電弱理論を作り上げた際、SU(2)群のファイバーとU(1)群の円を組み合わせたが、この円は電磁気力の円とは異なる。
それは、「ハイパーチャージ(超電荷)」の力として知られるものであり、粒子は自らのハイパーチャージYの値に応じてその円に巻きつく。
SU(2)群とU(1)群を統合した4次元の電弱リー群において、W3ボソンの円はハイパーチャージの円と相まって2次元のトーラス(ドーナツ形の表面)を構成する。
ベーグルの切り分け方が人によって異なるように、このトーラスはどのようにも切り分けることが可能だが、その切り分け方をヒッグス粒子と呼ばれる粒子が決めてしまう。
ヒッグス粒子のファイバーは電弱リー群に巻きついているが、ある特定の円の組には巻きつかず、対称性を破ってしまう。
ヒッグス粒子が巻きつかない円の組は質量のない電磁気力の光子に対応する。

 それらの円の組に直交する別の円の組が存在し、それは電弱理論の提唱者たちがZボソンと呼んだ粒子に対応する。
ヒッグス粒子のファイバーは、W+ボソンやW-ボソンの円に加えてZボソンの円にも巻きつき、これら3つの粒子に質量を与える。
実験物理学者は1973年にZボソンを発見して電弱理論の正しさを立証するとともに、幾何学的原理が現実世界と密接に関係していることを示した。
電弱理論がどう働くかを見るには、既知の粒子すべての弱電荷とハイパーチャージを図にまとめてみるとよい。


素粒子は、主に力を伝えるボース粒子と物質を構成するフェルミ粒子の大きく2種類に分類される。
さらにフェルミ粒子は、粒子と反粒子、左巻きと右巻き、上向きと下向きのスピン、クォークに対しては3種類の色によっていくつかのグループに分けられる。
あらゆる粒子はそれが持つ各種チャージによって固定され、ウェイトダイアグラム上にプロットできる。


電弱理論:電磁気力と弱い力は電弱力という1つの力から出現する。
そのウェイトダイアグラムは、粒子のハイパーチャージ(Y)と弱電荷(W)を基準に描かれる。
ヒッグス粒子(灰色の四角、部分的に隠れている)は原点を通って左上から右下に向かう斜めの線の上に並び、これが電荷ゼロを定義する。
荷電粒子はこの線に平行な線上に並ぶ。
上図から、電荷がハイパーチャージと弱電荷の混合物であることがわかる。
なお、図中のθwは「弱混合角」と呼ばれている。

数学者は電荷をはじめとするチャージのことをウェイトと呼ぶため、この図は「ウェイトダイアグラム」として知られている。
このダイアグラムでは、すべての粒子は等間隔に引かれた斜めの線上に並び、どの線上に乗るかで粒子の電荷が決まる。
つまり、電荷は弱電荷とハイパーチャージの特別な組み合わせで、それはヒッグス粒子によって決まる。

 物理学者は、弱い力の強さを実験で測定し、弱混合角と呼ばれるこれらの線の角度が約30°であることを突き止めた。
究極の統一理論たるものは、この角度を説明できるものでなければならない。



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