多字騒論

Sonicの読書日記兼投資日記。不定期更新です。

須田慎一郎 『投信バブルは崩壊する!』

2008年07月25日 22時45分34秒 | 政治・経済・国際社会
KKベストセラーズ(ベスト新書) 2007年 ★☆☆☆☆

今宵も早々に帰宅。ビールを飲んでます♪平和です。

<読書日記>
本書は昨年の7月24日に読了。昨年読んだ126冊の中のワーストオブワーストが本書です。

本書のタイトルは投資信託に手を出した私の目を引くもので、電車内の「時間つぶし」のつもりで買ってみたが、これが実に最悪、かつ稚拙。あきれるばかりだった。

たとえば、本書の帯には「『投資信託』は絶対買うな!」とあるが、これは「投資信託という金融商品には欠陥性があるので買うべきではない」という意味ではない。本書では「とにかく投資信託を全否定する立場から始めよう」という掛け声のみで、その根拠がはっきりと明示されていない。強いて言えば、「手数料が高いから(?)」「銀行を儲けさせるのは問題だから(?)」ということになろうか。まったく意味がわからない。

内容もとにかくひどい。著者は投資信託が何たるものか、まったく理解していない。たとえば、国内最大の投資信託「グロソブ(グローバル・ソブリン・オープン)」を批判するなかで、「本来、5兆円以上もの資金が集まれば、もっと値上がりしてもよさそうなものに思える」(136-137p)と著者は書く。完全に株価と投資信託の基準価額を取り違えている。そしてまた「グロソブ」が円安を前提とした商品であり円高になると危ないと繰り返すのだが、「グロソブ」のここ6年間の安定(基準価額8000円前後で、毎月の分配額が40円)は別に為替が根拠ではないだろう。何と言っても、この6年で為替は円安と円高を行き来しているのだから。こうして何も根拠のない「妄言」の繰り返しを読者は読ませられる(ちなみに、私は「グロソブ」を保有しておらず、ポジション・トークではありません)。

本書には最後に「驚き」が待っていた。本書の末尾には、このように書かれている。

もし、あなたが、スズメの涙ほどの金利しかもらえない銀行預金から一歩踏み出したいのなら、まずは「個人向け国債」や「ETF」で、マーケットの世界を学習していただきたい。
そこで商品知識やマーケット情報を培って、相場観を養ったら、余計な思惑や手数料が入り込まない「株」を買えばいい。
何も臆することはない。あなたのお金なのだから、その行き先は、あなた自身が決めればいいのだ。(202p)

どうやら投資信託を購入して、マーケットの勉強をしてはいけないようだ。なぜなら投資信託は手数料が高く、銀行を儲けさせる金融商品であり、全否定するべきものだから(笑)でも、「自分のお金だから自分で決めてね」とのこと。何が言いたいのか、読み終えた今もよくわからない。

最後に私が付け加えておくと、仮にほとんどの投資信託の基準価額が急落したとしても、それは著者の考えが正しかったわけでは決してない。単なる「偶然」。「投信バブルが崩壊する」か「崩壊しないか」という問題設定自体が、二者択一の丁半博打でしかない。もちろん崩壊しようがしまいが、著者には印税が入るので丁半博打には勝ったことになるのだろう。こうした出まかせばかりを並べても作家人生が終わらないのが本当に面白いと思った。

<投資日記>
NZドルはついに80円台を割り込み、さらなる利下げ観測もあり、底割れの懸念すらあります。わたしのポジションは85円です…。ここで損切りできる人間が、きっとFXの勝者になりえるのでしょう。毎日のスワップポイントに目が眩んで買い増しを続けるようなアホ(わたし)は、永久に敗者なのかも…。


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2 コメント

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本はタイトルが9割 (うに屋)
2008-07-26 06:04:24
「営業努力しすぎ」の本が多いですよね。特に新書コーナーは…。本ですから中身で勝負してほしいですね。私は専ら宝島社の下衆な文庫本ばかり読んでいます。黄色の背表紙が棚にずらり笑
こんばんは (Sonic)
2008-07-29 00:03:40
たしかに「新書ブーム」の影響もあって、「質より量」に偏りすぎているような…。しょせんは本も消耗品ということです。

歴史に残るような作品と出会いたい今日この頃ですが、なかなか見当たりません。おすすめがあったら、今度教えてください。