Jim Beard with Vince Mendoza & Metropole Orchestra / Revolutions(輸入盤/Intutions/Sunnysidn/¥3,000+tax)
13歳から30歳頃迄吹奏楽に関わりフレンチホルンを演奏してきました。だから大きな編成によるアンサンブルが好きです。
ジム・ビアードは1960年生まれの米国のジャズ系ピアニスト/作曲家/編曲家。世代的には、マリア・シュナイダーや本作で指揮をしているヴィンス・メンドーサらと同世代です。
ジム・ビアードも
マリア・シュナイダーも
ヴィンス・メンドーサも
3人共得意なのが大編成アンサンブルの"編曲"です。
本作は、そんなラージ・アンサンブルの醍醐味がとことん味わえるアンサンブルの愉しさに満ち溢れた作品。
全曲の作曲はジム・ビアード
編曲もほぼ全部に渡り手掛けています。演奏するのは、ジムと同世代のヴィンス・メンドーサ。ジムとは同志と言っても良い関係です。
先にあげた3人に共通することがもう一つ。それは、皆クラシック音楽の素地を持っていること。
クラシック音楽の学習で得た各楽器の鳴りの特徴やアンサンブルの組合せによる響きの異なり方。ジムもヴィンスやマリアはこの辺りの基礎的な知識の活用がとても上手いのです。
グレン・ミラーやカウント・ベイシーやクロード・ソーンヒルらが掴み取った大編成によるジャズ・アンサンブルの響き。それをマイルス・デイヴィスとの一連の仕事で足跡を残したギル・エヴァンスがぐんと進歩させて。その進歩的なラージ・ジャズ・アンサンブルの技術を弟子のマリア・シュナイダーが受け継ぎ更に美しい響きに刷新していって。
そんなマリアと同世代でお互いに影響を与え合ってきたのが、本作品のキーマンの2人、ジム・ビアードとヴィンス・メンドーサです。
積み上げてきたジャズ・ラージ・アンサンブルの技術がクラシック音楽の素地と柔らかな音楽的視点持つ現代の編曲家たちにより更に美しく磨き上げられたことは、音楽を分け隔てなく愛するリスナーにとって幸せなことこの上なく。
爽快な青空の様にどこまでも健やかに活き活きとしながら奏でられていく"新しい時代のラージ・アンサンブル・ジャズ"。
その邪気の無い愉しげな金管楽器と弦楽器の織りなすウキウキする様な響き。
メリーゴーラウンドと青い空のジャケット写真がその爽やかな躍動感を象徴的に表していると思います。
大推薦の一枚です。