cd shop songs

告知と作品紹介。(現在このブログは更新していません。当店Instagramをご覧ください。)

マーク・フライ,ジ・ア・ローズ/アイ・リヴド・イン・トゥリーズ

2021年03月10日 | Music








マーク・フライ,ジ・ア・ローズ/アイ・リヴド・イン・トゥリーズ(国内盤/¥2,000+tax)

あちこちで草花が芽吹く頃、ふと思い出し聞きたくなる声。英国のシンガー・ソングライター、マーク・フライによる2012年の作品です。

ほんのり翳りを帯びた声をギターやピアノ、リコーダー、オートハープやアコーディオン等多様な楽器が支えます。

光そそぐ木々の中から聴こえてくる様な牧歌的で幻想的なメロディ。豊かに響くアンサンブル。

季節の移り変わりを草木に見、愛でる様に。陽だまりと木洩れ陽の英国フォーク音楽でほっとひと息。


Vagner Cunha convida Guinga "Depois do Sonho"

2021年03月03日 | Music







Vagner Cunha convida Guinga "Depois do Sonho"(輸入盤/¥2,200+tax)

ブラジル現代音楽の世界で活動するヴィオラ奏者、ヴァギネル・クーニャが彼女率いる楽団カメラータ・オントアルテと共にブラジル希代の作曲家ギンガを楽曲に取り組んだ一枚。

ギンガの音楽の根っこの複雑さと滋養の強さ。

それは彼の中で独自に混ざったクラシック音楽とジャズとブラジル大衆音楽とブラジルの土着音楽の混合体故だと僕は思っている。

だからギンガの音楽をグイッと入る込むように聴き込んでいくと、彼の紡ぎ出したメロディや和声やリズムにその足跡や痕跡を辿ることが出来ると思います。

その珍しい程に精の付いた漲りは、彼の地の巨匠クラシック音楽家のヴィラ=ロボスやハダメス・ニャタリにも通じながらも、彼らが到達し得なかった"大衆音楽界での開花"を成しえていると思います。

その複雑で世紀の経年と記憶の湛えをポピュラー音楽界で淡々と描き続けたギンガ。

彼の音楽がいかに多方向への架け橋になっているのか。演者の主人公のヴァギネル4クーニャは、その事の本質を彼女の中のエレガンスと共に表現しています。

クラシック音楽とブラジル音楽の分かち難い感性の繋がり。簡単に言うとこれかなと思います。

ちょっと変わっている例ですけれど、ある意味ここからブラジル音楽とクラシック音楽、ジャズの感覚的な繋がりを面白がりながら、旅して頂けたらと思います。


ヨタム・シルバースタイン&カルロス・アギーレ/エン・エル・ハディン

2021年02月27日 | Music

















ヨタム・シルバースタイン&カルロス・アギーレ/エン・エル・ハルディン(国内盤/¥2,800+税)

アルゼンチンの音楽家カルロス・アギーレとイスラエルのギター奏者ヨタム・シルバースタインによるデュオ作品。

アルバムタイトルは「庭で」という意味。インナーにはアギーレの撮った草花の写真。
それこそ彼の自宅に咲いていた花なのだろうか。慎ましく愛らしく、それでいて静かな強さを感じさせるそれらの写真はアギーレさんの音楽に通ずるものを感じます。

まろやかで優しいギターとピアノの音色は健やかな眼差しと愛と微笑みに満ちていて、何だか胸の空く思い。

彼等による2つの音の対話が顔かたちを変えながら、全8曲に渡り繰り広げられていきます。

タイトルの「庭で」。
インナーに収められた可愛らしい写真の数々を眺めてながら、アギーレさんにとっての"庭"ってどんな存在なのだろうと思いを馳せてみます。

それは例えばひと息つく為の休息の場なのかも知れないし、庭の風景からその眼差しは遠い空の彼方へとイメージへと飛んでいくのかも知れない、そんな創造の源なのかも知れませんね。そう、例えば正岡子規が晩年を過ごした子規庵の小さな庭の様に。


Norma Winstone/Somewhere Called Home

2021年02月24日 | Music







Norma Winstone/Somewhere Called Home(輸入盤/¥1,400+tax)

英國のジャズ歌手、ノーマ・ウィンストンの透き通る声とピアノとクラリネット/サキソフォン。3つの音でシンプルに綴られる1987年作品。

キャロライン・フォーブスによる雪景色を捉えたジャケット写真が物語る様な静謐さと余韻と余白を活かした音。

澄み渡る声。リリカルに、情感豊かに鳴らされるピアノと管楽器のアンサンブルの妙味。

時折聞こえるコンテンポラリーなフレーズも程良く場を締めてくれます。

最後はジャズスタンダードの「Tea For Two」を複雑で繊細な和声の味付けで。この浮遊感、堪らないですね。素晴らしいです。


ルカス・デルガド/ラ・プンタ・デル・イセベル

2021年02月24日 | Music











ルカス・デルガド/ラ・プンタ・デル・イセベル(国内盤/¥2,400+tax)

スペインはカタルーニャを拠点に活動するピアニスト/作曲家、ルカス・デルガドによる作品。

デビューアルバムとなる本作は、ピアノとコントラバスの二重奏を軸に、数曲でゲストを迎え歌やギターが更に華を添える、という内容。

冒頭を飾る「Cuando se detiene el tiempo」遠い空にすうっと線を引く様な美しさから始まり、ジャズを纏った軽やかにスウィングする曲、クラシカルな曲を挟みながら展開していきます。

現代カタルーニャの歌姫、シルヴィア・ペレス・クルスが参加する3曲の放つ"うた"の持つ求心力。見事の一言です。

様々な顔を見せながら、伸びやかなメロディを端正さを保ちながら楽しませてくれる一枚です。


柔らかな抽象。

2021年02月11日 | Music



若くして亡くなった妻の母が20歳の頃描いた絵。白の余白、赤と青の朧げな線と塗。ひび割れと溝の質感。柔らかで抽象的で。

柔らかな抽象。


小泉文夫/人はなぜ歌をうたうか

2021年02月03日 | Music





【ぎふまちライブラリーcdshopsongs店通信】
cdshopsongsは、岐阜市金華地区でのぎふまちライブラリー活動も行っています。

小泉文夫 著作選集①
小泉文夫フィールドワーク
「人はなぜ歌をうたうか」
(学習研究社 刊)

"人間にとって音楽とは何か…!"
"語ること"を最も得意とし、多くの人々を惹きつけた著者のみりを、余すことなく伝える講演・インタビュー14篇を収載。
没後20年を経て、今なお色褪せない音楽を語る数々の言葉が、現代の我々に再び語りかける…。
小泉文夫復刻シリーズ第1弾。
(本書帯びより)

【店主コメント】
長田弘さんの「アメリカの心の歌」同様、心が狭くなったり、音楽のセレクションに疲れた時に何となく読んできた本です。とは言え結構固いと言うか、音楽や歌の本質を突いてくるお話ばかりで、やはり読むたびドキッとするんですけど。でもなんか、忘れちゃいかんなぁという事が大切に語られていて、読んだ後はやっぱり心が元の位置に戻った様な気がするんですよね。


Giya Kancheli:Theme from the Songbook/Dino Saluzzi,Gidon Kremer,Andre Pushkarev

2021年02月03日 | Music













Giya Kancheli:Theme from the Songbook/Dino Saluzzi,Gidon Kremer,Andre Pushkarev(輸入盤/ECM/¥2,273+tax)※写真は僕の私物の為汚れなどございます。

ロシアの隣、ジョージアはトビリシ生まれの作曲家、ギヤ・カンチェリ(1935-2019)の映画音楽/舞台音楽の中から、テーマ曲を集め演奏した作品。演奏はディノ・サルーシ(バンドネオン)、ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)、アンドレイ・プシュカレフ(ヴィブラフォン)。

エストニアのアルヴォ・ペルトにも通ずる様な、静かに祈る様な宗教音楽を思わせる繊細なメロディは、心の乱調を穏やかに鎮め、ゆっくりと調律してくれるかの様。

浮かんでは消えゆく、美しくデリケートな起伏を持たせた3人の演奏の何と見事なこと。バンドネオンとヴィブラフォンとヴァイオリンの抜群の相性にも唸されます。

最初の数曲の物悲しさでつい敬遠されることもある作品ですが、本作は4〜5曲目以降から仄かな灯を帯びていきます。是非聴いてみてください。



映画『サラヴァ』(1969年作品/国内盤DVD)

2021年01月31日 | Music

















映画『サラヴァ』(1969年作品/国内盤/DVD/Core Port/¥2,600+tax)

フランスの音楽家/詩人/映画監督、ピエール・バルーによる初めてのドキュメンタリー映画。

1969年、軍事政権下のブラジルはリオ・デ・ジャネイロにて撮影。マリア・ベターニア、パウリーニョ・ダ・ヴィオラらの当時の若手をはじめ、ピシンギーニャ、ジョアン・ダ・バイアーナ等ブラジル音楽の歴史的人物の動く姿を捉えた貴重な記録集。

【店主コメント】
最初と最後にピエールとバーデン・パウエルが演奏する"サンバ・サラヴァ"。その唄の歌詞「ただもし悲しみのないサンバがあるとするなら それは酔わせてくれないワイン、そう そんなものは僕が求めているサンバじゃない」(2004年オーマガトキによる国内盤CD所収/歌詞対訳:Lisa TANI)という ひとフレーズが今でもずっと心の奥に残っていて。

そして、野外カフェの場面。
マリア・ベターニアとパウリーニョ・ダ・ヴィオラがピエール・バルーと一緒にサンバを歌うと、周りの人たちも口ずさみ、一瞬にして辺りに歌の輪が広がっていって。。。この場面は、解説中に渡辺亨さんも書いていらっしゃいますが、僕も本当に本当に大好きな場面で、観る度観るたびに涙が溢れそうになります。

広く知られたドキュメンタリー映画ですが、私的にもsongsとしても大きな影響を受けた大切な作品。今回から定番在庫として取扱うことにしました。

ブラジル音楽の本質的な美しさを好奇心のままに出逢いのままに捉えた映像集。出逢いは奇跡、芸術。そして出逢いは一期一会。

美しい出逢いの記録をご堪能下さい。


Sinya Fukumori/Another Story

2021年01月24日 | Music












Sinya Fukumori/Another Story(国内盤/nagalu/¥4,500+tax)

静謐な、かつ確固たる意志を感じさせる
東アジア発の新しいジャズアルバム。
室内楽的な趣き。
一音一音が丁寧に、
真心込めて発せられ、
奏でられています。
音と静寂の間合いさえも
耳そばだてられていきます。

【店主コメント】
福盛進也さんとは、彼のHPへのcd取扱いのお伺いの問合せを通して思いの重ね合いをしています。まだ知り合って短いのですが、進也さんとはウマが合いそうな予感がします。もっとお話を訊いてみたい。きっと話が弾みそうな気がしています。訊いてみたい事が沢山あるんです。ベルリン時代のお話。ECMデビューのエピソード。今回のアルバムがなぜモノラル録音なのか。影響を受けた音楽のこと。あゝ、早くコロナが収束すれば良いのにと祈らずにはいられません。

Jim Beard with Vince Mendoza & Metropole Orchestra/Revolutions(Intutions/Sunnyside/輸入盤)

2021年01月17日 | Music











Jim Beard with Vince Mendoza & Metropole Orchestra / Revolutions(輸入盤/Intutions/Sunnysidn/¥3,000+tax)

13歳から30歳頃迄吹奏楽に関わりフレンチホルンを演奏してきました。だから大きな編成によるアンサンブルが好きです。

ジム・ビアードは1960年生まれの米国のジャズ系ピアニスト/作曲家/編曲家。世代的には、マリア・シュナイダーや本作で指揮をしているヴィンス・メンドーサらと同世代です。

ジム・ビアードも
マリア・シュナイダーも
ヴィンス・メンドーサも
3人共得意なのが大編成アンサンブルの"編曲"です。

本作は、そんなラージ・アンサンブルの醍醐味がとことん味わえるアンサンブルの愉しさに満ち溢れた作品。

全曲の作曲はジム・ビアード
編曲もほぼ全部に渡り手掛けています。演奏するのは、ジムと同世代のヴィンス・メンドーサ。ジムとは同志と言っても良い関係です。

先にあげた3人に共通することがもう一つ。それは、皆クラシック音楽の素地を持っていること。

クラシック音楽の学習で得た各楽器の鳴りの特徴やアンサンブルの組合せによる響きの異なり方。ジムもヴィンスやマリアはこの辺りの基礎的な知識の活用がとても上手いのです。

グレン・ミラーやカウント・ベイシーやクロード・ソーンヒルらが掴み取った大編成によるジャズ・アンサンブルの響き。それをマイルス・デイヴィスとの一連の仕事で足跡を残したギル・エヴァンスがぐんと進歩させて。その進歩的なラージ・ジャズ・アンサンブルの技術を弟子のマリア・シュナイダーが受け継ぎ更に美しい響きに刷新していって。

そんなマリアと同世代でお互いに影響を与え合ってきたのが、本作品のキーマンの2人、ジム・ビアードとヴィンス・メンドーサです。

積み上げてきたジャズ・ラージ・アンサンブルの技術がクラシック音楽の素地と柔らかな音楽的視点持つ現代の編曲家たちにより更に美しく磨き上げられたことは、音楽を分け隔てなく愛するリスナーにとって幸せなことこの上なく。

爽快な青空の様にどこまでも健やかに活き活きとしながら奏でられていく"新しい時代のラージ・アンサンブル・ジャズ"。

その邪気の無い愉しげな金管楽器と弦楽器の織りなすウキウキする様な響き。

メリーゴーラウンドと青い空のジャケット写真がその爽やかな躍動感を象徴的に表していると思います。

大推薦の一枚です。


【本日発売】スワヴェク・ヤスクウケ/ミュージック・オン・キャンバス

2021年01月13日 | Music











【本日発売】

スワヴェク・ヤスクウケ/ミュージック・オン・キャンバス(国内盤/Core Port)/¥2,500+tax)

ブイノフスキの絵画"夜想曲"に触発され制作されたピアノ独奏作品。

この絵が描いた優しい闇と仄かな光が織成す景色を"音の肌触り"で奏でる。
繊細で豊かな階調の、"音による絵画"と言えるでしょう。


Dino Saluzzi/Albores(ECM/2020年作品)

2021年01月10日 | Music













Dino Saluzzi/Albores(輸入盤/ECM/¥2,364+tax)

アルゼンチンを代表する巨匠ディノ・サルーシ(1935- )によるバンドネオン独奏作品。

彼が向き合い重ねてきたであろう創作の孤独と歓びの記憶。間合いと余白の美を湛えた演奏に息を呑みます。

バンドネオンという彼の地の都市音楽を体現する楽器を用いながらも、その眼差しはピアソラ同様、音楽の大海原へと向けられていた事は彼の作品の節々に感じられるかと思います。

エストニアのアルヴォ・ペルト、グルジアのギヤ・カンチェリにも通ずる抑制的で思慮深い、繊細な感性は、暮らしに近いところで言えば、蝋燭に灯す最初の小さな種火の様な音楽、とでも言えるかも知れません。

この楽器の特徴を知り尽くした彼ならではの美しき音の表情と表現をご堪能下さい。


ゼ•マノエウ/裸の心から(国内盤/Core Port)

2021年01月09日 | Music









ゼ・マノエウ/裸の心から(国内盤/Core Port/¥2,400+tax)

ブラジル北東部はペルナンブーコ生まれの自作自演歌手、ゼ・マノエウによる2020年作品。

静かに、その手触りと放たれる音を一つ一つ確かめる様にピアノを弾く。優しく被さる歌に偽りの匂いなど無く、どの曲もナイーヴで、彼の人柄が忍ばれる様だ。

肌に色の着いた人々への侮辱。
根拠の無い差別。陳腐で愚かな当て付けの言動への深い哀しみを歌の主なテーマとしながらも、歌声は決して荒げることなく、静謐に紡がれていく。故に、メロディと声と楽器の音色は説得力を増し、聴く者の胸に飛び込んでくる。これが本作の一番の魅力であり、内なる力だと僕は思う。

繊細に考えと想いを重ねて設えられた、フルートを始めとする編曲も美しく、見事だ。

怒りや呆れや諦観が内混ぜになりながらも、彼は美しい音楽で表現する事を諦めていない。僕が本作に心から惚れ込む理由はここだ。

国籍や肌の色という垣根を超えて伝わってくる美しい赤心の歌集。心から素晴らしいと思います。


2021年、明けましておめでとうございます。

2021年01月03日 | Music





3 January,2021
openしています。

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い申し上げます。
本年も美しい音楽を皆さまにご紹介出来るよう頑張って参ります。

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ふと手の甲をみたら随分と歳を重ねていました。
もうすっかりお爺ちゃんです。

それでも夢を見ることは出来る。
僕はそう信じています。
今年も素敵な夢を。
どんな時も夢見ることを
忘れない為に。

cd shop  songs、
今年のスローガンは「夢を見続ける為に」です。
今年1年間は、店内の半分をV.A./reve<夢>(resonance music)を展示しながら、この作品の示す美しい思いを伝えていこうと決めました。

皆さま、今年もcd shop  songsをどうぞ宜しくお願い申し上げます。

V.A./reve<夢>(国内盤/resonance music/¥2,728+tax)