仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「邪馬一国の挑戦」 古田武彦

2007-06-01 08:30:12 | 讀書録(歴史)
「邪馬一国の挑戦」 古田武彦
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年5月31日讀了


1983年8月31日刊行。
徳間書店からトクマブックス(新書版)で出されてゐる。

この本の特長は、古田史觀のダイジェストになつてゐることだらう。
この本を1册讀めば、古田武彦の古代史觀がおほむね理解できると思ふ。

この本で提起されてゐる主な謎は以下の通り。
1.神武天皇は實在したか
2.邪馬臺國(邪馬壹國)はどこにあつたか
3.中國史書にあらはれる、いはゆる「倭の五王」とは何者か
4.稻荷山鐵劍銘文からわかることは何か
5.古事記の説話は何故、顯宗天皇までで終はつてゐるのか
6.聖武天皇の詔敕に登場する「白鳳」「朱雀」といふ年號はいつたい何か
7.中國史書にあらはれる第1囘遣隋使が日本の史書に登場しないのは何故か
8.中國史書にあらはれる「日出づる處の天子」と稱した「多利思北孤」とは何者か

これらの謎を説明する假説として、古田史觀では、「九州王朝」といふ概念を提起してゐる。
惜しむらくは、直接的な證據がないことだ。
すべては状況證據であり、九州に王朝があつたといふ文獻證據はない。
白村江の敗戰を契機に「倭國」が凋落し、7世紀末に「日本」に併合されたのだとすれば、「日本」は「倭國」の記録をすべて抹殺したとしても不思議はない。
しかし、それはあくまでも假説であり、しかも文獻記録が破棄されたのだとすれば、證明不能な假説といふことになる。

さはさりながら、魅力的な假説であることは間違ひない。
古代史のロマン、ここに極はまれり、である。




邪馬一国の挑戦

徳間書店

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