「ボクセルポリゴンな日々」 - UnityでMakersとVRをつなぐ挑戦 -

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「立体出力可能な形状モデルに作り変え(その8)」 ハクさんの残りパーツを一気に立体出力対応へ!

2012年12月26日 20時28分36秒 | MMDアバンドール


あにまさ式弱音ハクさん(あにまささんに許可を頂いた上で改造させて頂いてます)の立体出力改造作業シリーズ第8弾です。いよいよ作業もラストに近づきました。

今回はハクさんのパーツの中でまだ水漏れ対策(=立体出力対応データ修正)を行なっていないパーツである「袖」「腕」「ヘッドホン」「ネクタイ」そして立体出力に対応して上服の厚み等の修正を行ない、出力のためのサイズ検討を行なう所までを御紹介します。


まずは袖部分のモデルデータの修正です。以下の画像をご覧ください。左が修正前、そして右が修正後です。




このように修正前の袖は大きな穴が開いていますが、これを先ずふさぎます。
しかし、良く見るとこの袖は両側が重なってしまっています。3DCGアニメーションの場合こうした布の重なりはある程度までは許容されますが、立体出力された形状は永遠にそのままの形を維持し続けますので直しておいた方がよいのです。ということで両袖の間は出来るだけ重ならないように形状を修正しておきます。それではなぜ袖の下側が修正語版ではこんなにぐんにょりとしているのでしょうか。

その理由は袖の下側に膝が当たるからです。膝と干渉する部分も重なりが目立たないように極力修正をかけます。


続けて腕(手を含む)です。MMDモデルでは服に隠れる部分(例えばひじとか膝とか)を省略したモデルが普通です。その理由は肌と服がアニメーション時に干渉したり肌が服を突き破る現象を避けるために肌部分を削除する方法が一般的です。従って今回のハクさんもひじ部分のモデルデータを持っていません。そこは上記の袖が役割担当しています。


そして腕+手の部分についても水漏り修正を行ないます。




ここでも手の形が左右で違うという事に気づかれた方がいらっしゃると思います。

そこで、ズボンや上着などを加えた図で比較してみます。





このように、親指部分がたがいに重なっている問題を鑑賞するだけでなく、それぞれの指が膝の上に添えられるように調整されています。
これは見栄えの問題だけでなく、実際に3Dプリンターでこの形状データを立体出力する際、指を膝にめり込ませておくことで指先が不用意な力がかかって折れる事を防いでいるのです。


同様な改造はヘッドホンでも行なわれます。以下はヘッドホンの立体出力対応修正をかける前とかけた後のモデルの変化です。





このように、左図では空中に浮いているインカムをヘッドホン上に沿わせています。それでも発生する隙間に対しては強制的に間を埋めることにより、ヘッドホンのインカム部分の弱くなっている個所を直接支えるよう修正が施されているのです。



同様な改造例をもう一つ。ハクさんの服にあるネクタイです。

これも修正前と修正後の画像をお見せします。






これも左が修正前、右が修正後の画像です。左に対して右は奇妙に曲がりくねっています。それと後半部分のネクタイの太さが異常なまでにあります。何でこんな修正になったのでしょうか?


その答えは次のモデルデータ画像を見れば分かります。




このように、左ではネクタイと体の間に大きな隙間が出来ていましたが右ではその隙間をわざと潰しています。実はこの隙間は実際に立体出力するとごく小さいエリアなので、ネクタイの強度を確保するためわざと隙間を埋めていたのです。

同様な操作は上服にも施されています。





上手で見る限り右の修正後の画像では服の内部や襟部分の肉厚が非常に増量されている事が分かります。しかしここまで増量しても実際の出力時には1mmから2mmの厚さにしかならないのです。そうなると簡単にぽっきり折れてしまうため出来るだけ厚みを持たせるようにしてあります。


ここまで修正を済ませた時点でようやくハクさん立体出力対応モデルは完成です。

ここで自由曲面設定されているモデルデータ部分をそれぞれパッチメッシュに変換した形状データを作って並べてみます。






現時点で約16万ポリゴン位です。もはや微小ポリゴンがいっぱい詰まっていて細かく見えます。

実はこれが立体出力にとって重要な事です。元々のハクさんモデルデータの姿のように荒いポリゴンだけで表現されたものだったら、立体化して取り出して見るとカクカクの形となってしまいます。
それに対して今回はできるだけ自由曲面を使って表面を細かいポリゴンで覆うようにしたのです。


ここまでくれば、立体出力まであとわずかです。次回は実際に立体出力に出すまでを御説明します。(^^)

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