深く潜れ(Dive Deep)! キネシオロジー&クラニオセイクラル・ワーク(クラニオ)の蒼穹堂治療室

「ココロとカラダ」再生研究所、蒼穹堂治療室が送る、マニアックなまでに深く濃い、極私的治療論とお役立ち(?)情報の数々。

自律神経失調症は本当に自律神経が失調しているのか?

2005-11-19 19:17:21 | 業界のウラ事情
治療院のHPやブログを見ていると、時々「自律神経失調症は、自律神経の乱れ(交感神経と副交感神経のバランス失調)によって起こるもので、その原因はストレスである」なんて言い切ってしまっている文章を見つけて、ギョッとすることがある。確かに、自律神経失調症だと言ってウチに来る患者には、交感神経と副交感神経のバランスが崩れている人もいる。しかし、自律神経失調症でない人で、そういう状態の人も珍しくはない。要するに、自律神経バランスの乱れは、自律神経失調症の必要条件でも、十分条件でもないのだ。

そもそも、自律神経失調症には明確な定義はない。強いて言えば、医師が「これは自律神経失調症だ」と言えば、それが自律神経失調症なのだ。

医師は、診断して(つまり、患者に病名をつけて)初めて治療を行うことができる。診断するために、問診、触診から始まって生化学検査、画像検査などを行うわけだが、客観的なデータの上ではどこにも異常がないにも関わらず、症状だけがある、というケースがある。つまり、医学的には「原因不明」という状態だ。そこで、どうするか? 道は2つある。1つは、「原因不明だから、他を当たってくれ」と他へ回す。もう1つは、何か病名を付けて治療を始める。

自律神経失調症は後者のためにある病名だ。検査したがわからず、「原因不明」になってしまった疾患を放り込むための箱--それが、自律神経失調症なのである。だから、自律神経が失調しているかどうかなんて関係ないのだ。そもそも、交感・副交感の神経レベルがどうなっているかなんて、定量的に計ることなどできない。つまり、仮にそれが誤診だったとしても、それを証明できる客観的な証拠はないから、決して誤診になることはない。実に便利な病気である。

同時に患者の側も、「あなたは自律神経失調症です」と言われれば、実は何もわからなくても、ああそうだったのかと、何となく納得してしまう。

だから、改めて「自律神経失調症とは何だ?」という問いに答えるなら、
さまざまな不定愁訴を伴う身体的疾患のうち、各種検査でも異常の発見できない、(西洋)医学的に「原因不明」のものの総称
ということになるだろうか。

だから、単に自律神経のバランスを整えても、それによって症状が改善するとは限らない。くれぐれも、安易に名前だけ見てダマされないように。

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2 コメント

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ちょっと教えてください (模索の助)
2007-03-19 16:47:47
息子が自律神経失調症と言われていますが、24時間検査を行い、交換神経と副交感神経の活性レベルをグラフにしたものをみせてもらいました。
明らかに正常値より低い副交感神経のレベルを示してもらいました。
「そもそも、交感・副交感の神経レベルがどうなっているかなんて、定量的に計ることなどできない。」という先生のご意見とはどういうものなのでしょうか。
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コメントありがとうございます。 (sokyudo)
2007-03-29 00:20:45
コメントいただき、ありがとうございます。返事が遅れて申し訳ありません。

交感神経と副交感神経の活性レベルを調べることができることは、全く知りませんでした。自分の不勉強さを恥じるとともに、教えていただいたことを感謝します。

ただ、2点、私の意見を述べさせていただきます。

1点目は、解剖学的に、交感神経は独立した神経として存在していますが、副交感神経の線維は副交感神経性の脳神経の中に含まれてしまっているため、それだけを純粋に取り出すことは、まず不可能です。
よって、副交感神経の活性レベルは、純粋な副交感神経ではなく、副交感神経性の脳神経の活性レベルを擬似的に用いたものではないでしょうか。

2点目は、果たして「自律神経失調症=交感神経と副交感神経の活性レベルに異常があること」なのでしょうか? どんな検査にも言えることですが、検査結果は全く正常でありながら、さまざまな症状に苦しんでいる方はたくさんいます。
自律神経系の活性化レベルは、「活性化レベルに異常があるから、それを正常化させてみよう」という、治療の一つの方向性を与えるものではあるものの、「活性化レベルの異常」は、自律神経失調症の必要条件でも、またもちろん十分条件でもない、と私は考えます。
ドクターの見解とは異なるかもしれませんが…
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