曽我部絵日記

曽我部昌史の写真絵日記

2019年10月14日~10月20日

2019-10-21 | 日記
10月20日(日)
「成田到着直前ルート@機内(ダラス/フォートワース空港→成田空港)」

30分ほど早く成田に到着。リムジンバスのカウンターに行くと、1分後のバスがあるというのでそれで横浜まで。スムーズすぎる帰国。妙蓮寺につくと、まだ16時過ぎ。なんとなく、普通にスーパーでの買い物とかをして帰宅。


10月19日(土)
「湖岸の住宅街@ダラス・フォートワース空港の北に数十キロあたり?」

あっという間の講演&視察のツアー。朝、空港につくと、意識を日本時間にして時差ぼけ対応。


10月18日(金)
ログキャビン@公園(ダウンタウン・ダラス)」

朝一の開館時間に合わせてオールド・レッド・ミュージアムへ。元裁判所の建物。ダラスの生い立ちがいろいろな角度から紹介されている。テキサス州というとカーボーイのイメージがあったのだけれど、産業関連の展示でもそういうものは無い。
ホテルからの途中にあった公園には初期入植者の小屋が移築されていた。


「2階ホールとショップ@キンベル美術館(フォートワース・テキサス)」

ダラスからのレンタカーはちょっとした手違いでピックアップトラックに。。デカいが加速もスムーズで運転しやすい。中井先生のナビで一路フォートワースへ。
金曜の開館時間である12時のちょっと前に到着。平面も断面もシンプルな構成ながら、空間体験はまさに王道的な心地よさ。頂部からの間接光は部屋ごとの要請に合わせて変えられている。美術館の展示室の天井高としては絞り気味だけれど、納められている作品とは丁度良いバランス。できて約50年。月日を感じさせない存在感。継続的に手を入れているのだと思うけれど、老朽化した感じはどこにも見られない。


「新館との間の庭から臨む@キンベル美術館(フォートワース・テキサス)」

終日快晴で、陰影の変化も。レンツォ・ピアノによる新館・ピアノ棟をふくめ、常設展示部分や庭は無料。金持ちのお金の使い方がこういうところに表れるか。。。ピアノ棟は長いスパンのユニットを組み合わせるという平面構成と、屋根面で行われる昼光のコントロールという点で共通。カーン棟に対しての何かしらのオマージュと今日的な解釈ということかもしれないけれど、現代の建築の困難さが垣間見られる。


「元T & Pステーション@ダウンタウン南端(フォートワース・テキサス)」

フィリップ・ジョンソン設計の美術館などを経て、20世紀初頭の建物が残るダウンタウンの南端ゾーンへ。フラットアイアンビルのあと、T & Pステーションへ。1931年の建物。現在は裏手に鉄道駅としての機能を残しながら、この建物の1階は、駅附属のパブとイベント用のスペースへ。上層階は住宅にリノベされているので、両妻側に住宅部の入口も。アルミだろうか、軽量そうな金属が装飾的な部分で用いられているのが印象的。


郵便局@ダウンタウン南端(フォートワース・テキサス)」

駅の並びには、郵便局と倉庫の建物が往時の印象を残しながら建っている。駅と倉庫はアールデコ的な装飾が印象的で、その間に挟まれている郵便局は古典的な印象のつくり。後で調べたら、設計者は同じで竣工年も同時期。建物の長手方向に抜ける通路沿いに各種窓口と大量の私書箱のロッカーが並ぶ。全部では無いかも知れないけれど、昔ながらの私書箱は現在でも用いられている様子。


ウォーター・ガーデン@ダウンタウン南端(フォートワース・テキサス)」

フィリップ・ジョンソンによるウォーター・ガーデンも駅や郵便局と同じエリア。それなりな広さを持つ公園なのだけれど、コンタのような抽象的な造形が山や谷を創り出す。特に水が流れ落ちる谷型の部分では、かたちが抽象的だと迫力が増すという印象。アメリカではあまり見ない(と思う)限られた場所からしか中に入れない公園。外に広がる経済の論理で実践されている社会と線を引こうと言うことか。


パーティー・バイク@ダウンタウン南端(フォートワース・テキサス)」

駅前駐車場でみているとパーティー・バイクがやってきた。まあまあ交通量のある道だけれど、真ん中の車線を悠々と行く。専用レーンなどはない。日本でも、この程度の安全管理で認可されるといろいろとやりやすいとおもうが。。。座席にはビールのタップもついているけれど、みんなが飲んでいるのはコーラだった。


「レンタカー返却棟@ダラス・フォートワース空港」

その後、空港付属(?)のレンタカー棟(たくさんのレンタカー屋が集まる大きな建物で、空港との間を専用のバスが巡回している。1階が借りる窓口で2階が返却。返却では広大な駐車場のようなところに置いておくと、後から中を確認して精算内容がメールで伝えられるという仕組み)に車を返し、空港付属のホテルへ。予定の日々があっという間に終了。


10月17日(木)
「Elmgreen & Dragset@ナッシャー彫刻センター(ダラス・テキサス)

朝、スタンさんの学生にタンパの空港まで送ってもらい、ダラス・フォートワース空港へ。ホテルに荷物を置いて、ダラスの建築視察。ナッシャー彫刻センターのまわりは他にも彫刻押しな美術館が。レンツォ・ピアノ設計の美術館。屋根面で日射をコントロールするのは、おなじテキサス州のメニル・コレクション(未体験)やキンベル美術館とも共通。ボールト的なボリュームが並ぶのはキンベルとも近いけれど、ずっとコンパクトで動線的には直交方向。行われていたElmgreen & Dragset展の日常的な眼差しを相対化しようというスタンスが興味深い。


「階段と傾斜とスロープ@OMA設計のシアター(ダラス・テキサス)」

彫刻関連施設ゾーンと隣接してシアターゾーン。割と最近できたOMAのシアター。前庭を確保した上で、シアター機能を縦積みしている(演者としては使いにくそうではあるが)。OMAの建築としては、全体に綺麗にまとまったタイプ。丸パイプが並んだような印象のアルミ型材による外観。前庭は急な勾配のスロープで、両サイドに階段、真ん中に身障者用のスロープが折り返す。
正面にはノーマン・フォスター設計の大型ホール。


JFKメモリアルプラザ@ダウンタウン(ダラス・テキサス)」

JFケネディが暗殺されたのはダウンタウンの西の端。各種の裁判所が並んでいた場所で、概ねフラットに続くダウンタウンの市街地が川に向かってレベルを下げ始めたところ。そこから数ブロック街側に記念碑がある。プレキャストコンクリートの柱状の材を組み合わせたもの。


「木架構@ダウンタウンのオフィスビル(ダラス・テキサス)」

中井先生が思い立って何気なく入った建物。中央部分を改修で撤去して吹き抜けにしたような印象。ホロコースト・ミュージアムが入っているけれど、そういう看板は特に目立たない。柱は層毎に分節されているみたい。大きな鋳鉄製のジョイントで柱梁が取り合っているけれど、緊結している様子は無い。
実質的な最終日だろうということで、Googleマップに「高級」と表示の出たステーキハウスへ。実際のところは地域の人たちがあつまるカジュアルなところだった。


10月16日(水)
「アンブレラ・ハウス@サラソタ(フロリダ・アメリカ)」

朝早くにホテルを出発して、スタンさんが企画してくれたタンパ周辺建築視察。まずは南に下って、ポール・ルドルフの住宅のあるサラソタへ。アンブレラ・ハウス(1953)は、新たに開発された住宅地のためのモデル住宅としてつくられたものらしい。コンパクトなボリュームの上にかかる大きな覆い(アンブレラ)の部分はハリケーンで壊れ、その後いろいろな姿を経て、2015年に復元されたもの(元は木架構だったものがアルミ角パイプになっている)。ルドルフ住宅のコレクターが所有していて、見学も可能(今回はスタンさんが特別にセットしてくれた)。


コクーン・ハウス@サラソタ(フロリダ・アメリカ)」

南隣の埠頭(ってよぶのか?)にある住宅地エリア。コクーンハウス(1950)は構法的にも興味深い。桁梁からぶら下げたワイヤを手がかりにcocoon plasticを吹き付けてできた屋根。70年経って壊れていない。検索すると、cocoon plasticはジョージ・ネルソンのペンダントライトに用いられている素材らしい。運河に面するシンプルな構成の平屋。長手の面には木パネルが入ったジャロジー。運河の対岸にあるルドルフの弟子が手がけた住宅では、プールを含むあらゆる場所からコクーンハウスを臨むらしい。スケール感もとてもしっくりくる。60年代以降の日本の住宅に大きな影響をあたえたに違いない。


サラソタ高校@サラソタ(フロリダ・アメリカ)」

移動しながらパンを食べることにして、稼いだ時間でサラソタ高校へ。エントランスまわりの外観のみしか見られないのだけれど、中は増改築で見る影もないらしい。屈折するスラブを構造にしていたり、南からの日射をコントロールしつつ視界を確保するためにコンクリートのスクリーンが軒先からぶら下げられたりしている。それらがシンボリックな空間感とシンクロしていている様子がとてもいい。


「礼拝堂@フロリダ・サザン・カレッジ(レイクランド・フロリダ)」

一気に北上して、フランク・ロイド・ライトの大学へ。ちょっと遅刻したけれど、3時間近くかけて解説付きのツアーで回る。最初の説明は最近建てられたユーソニアン住宅にて。もともとはキャンパスを教員用住宅としてのユーソニアン住宅が取り囲む予定だったのがコストの関係で中止されていて、そのうちの一つが実現したもの。キャンパスにはライトが設計した建物が芝生で覆われた緩やかな起伏の中に点在していて、それらを高さを抑えた(天井高さで2mを切るところも)上屋のかかる通路が繋ぐ。構成がとても心地よい。


「外部フレーム越しに見る、可動ルーバー@フロリダ工科大学(レイクランド・フロリダ)」

最後のおまけがカルトラバ設計の大学。できたばかりの大学で、建物はまだあまりない。中は割と普通の教室とラウンジがあって、真ん中のラウンジの屋根がガラス。その上を可動のルーバーが覆っている。このルーバーは可動で、検索した資料からすると、フーバーのパネルの上端を吊り元にして、大きく上に広がるらしい。その方針が選ばれたロジックが不詳。その後、USF近くのドイツ系ビアガーデンで打ち上げ。


10月15日(火)
「スタジオの様子@南フロリダ大学・USF(タンパ・フロリダ)」

朝、スタンさんに迎えに来てもらってUSFへ。部局間協定にむけた事務的な打ち合わせの後、建築学科の建物へ。学生たちはみんな、何かしら手を動かしている。スケッチを描いていたり、模型をつくっていたり。学年が上がると(USFの扱いでは修士)パソコンを使い始めている様子だけれど、模型の制作などにレーザーカッターや3Dプリンタを使うのと同じような位置づけで、手の作業をサポートする感じ。木材加工などが可能な工房の奥に大きな3Dプリンタもあるけれど、小型のものはそこら中に置いてある。


「巨大なジム@南フロリダ大学・USF(タンパ・フロリダ)」

午後はキャンパスツアー。アメリカ東南部では最大規模というだけあって、電動カートで案内していただく。地図で見てみたらキャンパスエリアは関内関外エリア(一番奥の吉野町まで含む)と同じか、もっと広いくらい。とはいえ、緑も多いし、高低差もほとんど無いから、自転車などでの移動がしやすそう(圧倒的に、自動車が多いけれど)。ジムも巨大。料金表によると教職員は月に数千円かかるけれど、学生はタダ。


「学生寮共用キッチン@南フロリダ大学・USF(タンパ・フロリダ)」

学生寮もたくさん。これからも増えるらしい。一番古いものと新しいものを見せてもらう。いずれにも見学ツアー用の個室まである。講義用の部屋まであって、先生に来てもらって授業もあり得るとか。


「駐車場とバスケットボールのスタジアム@南フロリダ大学・USF(タンパ・フロリダ)」

夕方、レクチャーをさせてもらって、南フロリダ大学でのミッションは完了。
ダウンタウンのレストランで懇親会。同席していたドイツ人建築家(この後、USFの講師になるとか)の仕事の規模が大きすぎて驚く。月一のBBQとか、スタッフ対象の手書きスケッチ大会とか楽しそう。


10月14日(月)
「高めのバルコニーの下、葉巻の人たち@イーボーシティ(タンパ・フロリダ)」

昼頃にスタンさんが迎えに来てくれて、イーボーシティで昼食と散策。 19世紀末にいろいろなところからの移民がつくりだした街で、キューバ系移民が多い。葉巻が有名なこともあって、アメリカのバーとしては特例的らしいけれど、みんな内外で葉巻をくゆらせる。昼食はキューバ・サンドイッチ。濃厚で美味しいけれどヘビー。


「元郵便局と銀行だったホテル@ダウンタウン(タンパ・フロリダ)」

スタンさんと一緒にタンパの空港で内田先生中井先生をお出迎え。自分の到着時には、飛行機を降りるなり一般の人も行き交うショッピングセンターのような状況に雑然としているように感じたけれど、実は、最も評判のいい空港ランキングで1位になることも多い使いやすい空港として評判らしい。言われてみると、確かに縦積みされた効率的な構成で、歩行距離がものすごく短い。整然としているけれど歩行距離がとてもながいバンコクのスワンナプーム空港の対極か。


「ストリートカー@イーボーシティ(タンパ・フロリダ)」

ダウンタウンの街並みや川沿いを簡単に回った後、ストリートカーで再びイーボーシティへ。TECO(タンパ電気会社)が運営するクラシックな路面電車で、乗車は無料。30分ほどで到着。国立歴史建築地区の指定を受けているだけあって、独特の風情。


「金属板の天井@イーボーシティ(タンパ・フロリダ)」

夕暮れまで街並みを歩き、クラシックな型押しの金属板天井が印象的なレストランで夕食。みんな揃って最初は肉。ダウンタウンに戻るのもストリートカー。