Sofia and Freya @goo

イギリス映画&ドラマ、英語と異文化(国際結婚の家族の話)、昔いたファッション業界のことなど雑多なほぼ日記

マクベス

2016-05-13 19:51:00 | その他の映画・ドラマ・舞台


2ヶ月ほど前に映画館のチラシで知ったこの「マクベス」、ドラマ版シェイクスピア「ホロウ・クラウン」シリーズ2や、19エピも見続けてすっかりスコットランド贔屓にさせられた「アウトランダー」を見た流れで自然に映画館へ足が向いてしまいました。

この映画も原作にしっかり沿っているとのこと(私は読んでません)で、たったの2時間ほどでシェイクスピアの戯曲を1冊見せてもらえると言う嬉しさです。


マクベス/マイケル・ファスベンダー 

シェイクスピアを見続けていると殺人が日常茶飯事に思えてくるのですが、それでもやはり「手を血に染める」行為はハムレットしかり、このマクベスしかり、正気を失うほどに罪深いことなのだと、マイケル版マクベスを見ていてわかりました。

戦場の霞に現れた魔女の予言を半信半疑ながらも信じていい気になる様子、最初は「運命ならば何もしなくても王に成る」と言ってたくせに奥さんに「手を下してこそ男よ!」と言われて「ボクできるもん!」とやってしまう様子、なまじっか力は強いし戦で鍛えてるから王の寝首を捉えるものの、自分の行為の恐ろしさに亡霊を見て錯乱する様子がすごく自然に現代劇を見ているかのようでした。つまり、これが演技力がある、ということなのかな。

マクベス夫人/マリオン・コティヤール

最初に見たり聞いたマクベス夫人がジュディ・デンチだったので、こちらの写真を見てずいぶん愛らしいお妃と思いました。ところが!実は私には、この奥さんの方がよっぽど魔女でした・・・!何を考えているのか本心が見えないのです。映画の宣伝や感想に「夫婦愛」「信頼と絆」などの文字があるのですが、とても信じられません。妖気さえ感じましたもの。中世の物語ながらマクベスが普遍的な人間味を持つのに、奥さんは狂ってなくても狂気の世界に生きてたような人に見えました。・・・実はそれが狙い?日本マーケットだから「愛」とか「絆」とかの夫婦にして売り込んでるのかしら?

マクベスの友人バンクォー/パティ・コンシダイン

ベン・ウィショーがキースを演じた「ブライアン・ジョーンズ/ストーンから消えた男」や「パレードへようこそ」に出ていた味のある俳優さん。スコットランドの戦士の猛者い姿はあまり似会ってなかったような。イケメンというほどの派手さはないものの、普通の人に見えてちょっと一癖ある魅力が、ヒゲや汚れで顔が見えないと伝わりにくい。

マクダフの奥さん/エリザベス・デヴィッキ

綺麗でした!のにあっという間に火あぶりにされてもったいなかった。こんな綺麗な奥さんとその子供達を生きたまま見世物にして焼くなんて、そりゃあマクベス王よ、家臣や民衆の反感買うでしょうとも。



映像と衣装について

映像が、まるで実験的なショートフィルムのようにカッコよかったです。

戦争シーンは、剣と剣での集団斬り合いをスローモーションとストップモーションを組み合わせて撮るという、刃物の切れ具合がよくわかる残酷な見せ方の筈が、なぜか映像として美しくなってた。いいのか。

衣装が、11世紀のスコットランドにはまだキルトがなくて残念でした。しかし、マクベスの前の王様の衣装が、キモノ、それも十二単のように何枚も前合わせが重なった衣装で、クロサワの映画が一瞬ワープしてきた?というような感覚に襲われました。そのキモノの上に、半襟のような長い布を首にかけているのですが、その模様が紋章の動物をばらして縫い付けたような興味深いものでした。あれは王の印だったのかな。


全く重要ではないけどカンバーランドについて

マクベスが最初に前王から戦争の褒美としてコーダーの土地をもらった時、友人のバンクォーはカンバーランドをもらったと思うんです。(もしかして違ったからもしれないけど、とにかく、スコットランド王が「カンバーランド公に命じる」とか何とか言ってた)ここで、むむ?!と思われた方も多いのでは?

だってカンバーランドの領主様は、「クリムゾン・ピーク」にも出てきたけど、イングランド人だったはず。

しかし、Wikiってみたら、11世紀の書物に「イングランドのエドモンド王からスコットランドのマルコム1世に譲られた」と書いてあると!場所はイングランドの最北端なので、フランスとドイツの間のアルザス=ロレーヌのような微妙な立場の土地だったのですね。これでまたカンバーランドに詳しくなりましたね。

The Wars of the Roses:1.Henry VI 1

2016-05-12 17:06:00 | ベネディクト・カンバーバッチ
The Hollow Crownシリーズが英国BBC2で始まりました。日本でもhuluで今月下旬に配信予定とhuluさんからのメールに書いてありました。楽しみですね。



シェイクスピア没後400年ということで世界的に作品がフューチャーされている今年は、去年までのように「ハムレットを見る数ヶ月後までに原作を読む」などしている余裕もありません!

本来ならば予習などせずとも、ビルさんことシェイクスピアは舞台で上演するために戯曲を書いたので、劇を聞けば原作を読むことと同じなんですよね。ところがシェイクスピアの英語は私には聞いても読んでも難しいので、もうズルしてあらすじだけを読んでドラマを見てしまいました!

The Wars of the Roses(薔薇戦争)の1作目は「 Henry VI / ヘンリー6世 1」

良き美しき王であったヘンリ-5世の死後から始まります。ヘンリ-5世の弟であるグロスター公はなんとダウントンの伯爵様=ヒュー・ボネヴィル!



ううーん、ちょっと待った、前シリーズのホロウ・クラウン1のヘンリー5世で、トムヒ王子が戴冠するとき王の弟達は皆少年だったはず。ヘンリ-5世は35歳で亡くなったのに、弟がなぜすでに伯爵様の年齢なのかがミステリー・・・

ともかくヘンリー5世の亡骸から嘆きの王冠を外したのがグロスター公で、この時まだ9ヶ月だったヘンリ-6世の摂政となり実権を握ったのです。

赤ちゃん王も美しく成長しました。トム・スターリッジお似合いです。



顔は父に似て綺麗だけど、頭や意志は受け継がなかったのが災いしたのはリチャード2世を思い出させました。ずる賢い家来に王妃を押し付けられて、赤ちゃんの時からお世話になってるはずのグロスター公夫妻を罠にかけられ、王妃にも影で裏切られてるのにグロスター公を失う羽目になるのです。

公夫妻は、宮廷ではあんなに立派だったのに(妻はサリー・ホーキンズ)、捉えられてからの扱いはひどかったようでボロボロの罪人に成り果てていたのが辛かったです。

いくら戦国の世とはいえど、あんなに身分の高い人でも陥れられたら簡単にやられてしまうなんて、ジャンヌ・ダルクも出てくるんですが、魔女で火あぶりなんて映像で見たのは初めてです。さらし者になって生きたまま焼かれる恐ろしさ・・・15世紀、中世が暗黒時代と呼ばれるのもごもっともです。

ヘンリ-6世の王妃マーガレットはソフィー・オコネドで、私は彼女を見るのは初めてなので役と一体化させて見てしまいます。王からは「メグちゃん」なんて呼ばれてるけど、恐ろしいったら(汗)。

今度の土曜日には「Henry VI 2」が放送され、この恐い王妃は戦場に行き、そしていよいよリチャード3世となるベネディクト・カンバーバッチも出てくるんですね。

今のヘンリーのおじいさんが威圧してリチャード2世から「ほらあげるよ」と放り投げられてもらった王冠、これからどういう風に渡り歩くのか。

カーディガンが好き

2016-05-11 17:04:00 | ファッション
きょう家を出たら暑くて、いよいよ夏の服の出番!と感じました。
折しも本日お買い物の予定があったのです、Paul Smithさんのサンプルセールへ。ここ数週間ずっと欲しかった「白くて大きいVネックのカーディガン」があったら買いたい、なくてもとにかく見に行きたい、と^^。だってカーディガンは暑くてぬいでも邪魔にならないから、寒暖差の激しい都会の夏には欠かせませんものね。

1Fのメンズから見たら、白じゃないけど白の次に欲しかったグレーがありまして、素材は麻とコットン、パーフェクト!2Fのウィメンズを見るには清算するか、これを一旦手放して置いていくという選択に。つまり戻ってもまだあるかどうかの保証はないし、ウィメンズにもなかったら悲しい。ということで購入決定しました。

これです。ネイビーのアクセントが個性的でかわいい。



そして2Fのウィメンズに上がってみますと、な、なななんと、私が欲しいと思っていたそのものがあるではないですか?!だいたいお洋服というのは頭で考えてこんなの欲しいと思って探して見つかることは99%ないものですが、今日は私のラッキーデーなのでしょうか?!しかも素材はシルクとコットン、シンプルながらも素材に凝ってこそオシャレさんというものでしょう。

と思うもつかの間、なんと数か所に汚れが・・・・そ、そうか、だから誰にも買われずにそこにいたのね。なんの汚れなのか、もしやスタッフさんがご存知なら教えてもらおう、と聞いてはみたものの「断言はできません」とのお返事。

手に持って見つめながら、汚れは後ろで目立ちにくいし、これくらい着てるうちに白だから自分でつけてしまういそうだし、他のお店を探しても見つかるかはわからない、と購入の意思をスタッフさんに告げました。

そしたらスタッフさん「内緒ですが、○○○○○○○。」と、内緒だから書けませんが、嬉しいことをしてくださいました。わ~~~い!!!やっぱりラッキーデーだったのですね。

これです。



今年の春夏はビッグシルエットの服を着たい気分なので、メンズのでも大丈夫。ただやはりウィメンズは身頃は大きめでも袖が細くなっていて洗練されていますね。


夫へのお土産は恒例のパンツ。左は自転車チェーン柄。夫は自転車乗りです。右はシルクなので、要らないと言われたら私のものに・・・







天の戴冠/森川久美

2016-05-10 22:43:00 | イギリス


母の日も兼ねて週末に実家に行きました。実家には昔の蔵書もひっそりと私の帰省を待つように冬眠しております。その中の1冊、花とゆめコミックス/森川久美の「青色廃園」に収録されている「天の戴冠」です。

実はこれは、薔薇戦争を舞台にリチャード3世の少年時代の話です。今、イギリスではBBCで放送中、日本ではhuluで今月下旬に配信予定の「ホロウクラウン2」も同じですので、読み返してます。

リチャード3世は醜い容姿に残忍な性格という定説を覆す意図か、このマンガでは繊細で華やかな一族の影となり自信に欠ける少年という設定で、シェイクスピアともまた違う視点が面白いです。

しかしそれよりも、昔読んだ時には、重い歴史モノだな、と思ったのですが、あれから数十年の年月を経て自分が重くなってしまったせいか、センチメンタルな描写だな~~と思う自分に驚きます。

ドラマや映画で散々鍛えられてしまった私には、もうちっとも重くなかったです。

森川久美さんのマンガは、少女マンガより西洋絵画を見るようなアカデミックな憧れがありました。あと和物の歴史モノも良かったな・・・花子さんシリーズとか。