白樺小舎便り(しらかばごやだより)

北信濃の田舎暮らしの日々

乾いた風が草原を優しく渡って行った 

2015年10月04日 21時35分42秒 | 登山

もう40年近く前、山仲間から話を聞いた。静かで良い山だと。

それ以来、ずっと気にかかっていた。

風吹大池と風吹岳。

今は紅葉でどこの山も混雑しているのだろう。

それならば、北アルプスの白馬岳のさらに北にある静寂の山、風吹岳に行こうと決めた。

土曜日が天気が悪ければ日曜日と思ったが、土曜日は快晴。

かみさんと、もうすぐ77歳になる義姉を誘って出かけた。

小谷村の土沢コースを選定。このコースは結構大変な山道が10キロも続く。

駐車場には長野、石川、群馬のナンバーが付いた車が3台。

少し紅葉が始まったブナ林の中を登る。

100年以上は生き続けているブナの木は実に堂々として立派。

ブナの実がたくさん落ちている。

所々に楓の赤い葉やヤマボウシの赤い実が混じる。

広葉樹の森は色々な様相を見せてくれる。

2時間ほどで風吹大池に到着。

この池は北アルプスで最大の白馬大池に次ぐ大きな池だ。

 

風吹大池、風吹岳。この名前を見ているだけで、いいなあと思う。

北の静かな、爽やかで凛としたイメージが沸々と湧いてくるではないか。

そんなイメージを40年近く抱き続けた。

それが今目の前にある。

風吹岳は大池から100mあまり登ったところにある。標高は1,888m。

大池と較べればおまけみたいなものだが、それでも山頂は山頂だ。

登ってみると数人の先客があずまやで食事を作っていた。

関西なまりなので、遠くから来たのだろう。

知る人ぞ知る隠れた名山(大池とセットで)というところだろうか。

風吹山荘前では群馬から来たという夫婦がいた。

 

 

 

秋になって植物たちは色々な実を付ける。

赤い実はルビー、青い実はサファイヤ。宝石なんかよりずっと美しい。

 

大池を挟んで、風吹岳の反対側には尾瀬を想わせる草原があった。

草原の一角に腰をおろし、持参したおにぎりをほおばった。

形の良い雪倉岳がむこうに見えていた。

 

かたはらにあきくさのはなかたるらく  ほろびしものはなつかしきかな  牧水

 

日差しは柔らかく僕らを包み、優しい風が草原を渡って行った。

義姉は6日で喜寿を迎えるという。

田部井さんとほぼ同じ歳だ。

山に登る為に毎日歩いているという。

また誘ってあげよう。

 

 

雪が来る前にまた登りに行こう。

うじうじと悩んだり、考える前に歩きだそう。

僕らは森で生まれ、草原に出て、やがてコンクリートの建物に幽閉された。

ふるさとの森に帰ろう。

そんな風に思う。

 

 

 

 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
感謝 (yuitojj)
2015-10-05 22:59:04
いつも乍ら白樺便り楽しく見させていただいています。
写真、文章私たちを連れて行ってくれているみたいです。
それにしても義姉様もお元気で素晴らしい、案内の仕方もうまいのでは。
ふるさとへ帰ろう、本当にそう思います。帰りたい。
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簡素に出来るだけ手作りで (nob)
2015-10-10 21:34:29
一応リタイヤして、それでもまだ年金も僅かしかもらえない年齢なので仕事はしています。それでも会社員ではないので気は楽です。車も1台手放してバイク移動が主です。それと歩きと走り。体は使っていないとすぐの錆びつきますね。義姉をみていると、そう思います。見習わなければ。
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おはようございます♪ (くるみ)
2015-10-11 08:39:03
山はもうすっかり秋の色ですね。
紅葉が美しいです。
この前拝見した時から気になっていたのですが
最後のお写真の木は何でしょうか?

ルビーやサファイアの様な木の実も綺麗ですね~☆
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じつは (nob)
2015-10-11 20:49:02
ぼくも名前を知らないのです。それなりの名を持った木だとは思うのですが、また調べてみます。ただ、名前を知らなくても実物をこの目で見て楽しむことはできます。
足は日増しに良くなっていくと思います。4年ほど前、ぼくも右手首を骨折し、3ヶ月半ギプスで固められていました。時が来れば治るように出来ているのですね。それにしても、自分の足で自由に歩きまわれるというのは素晴らしいことですね。
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